マダラマルハヒロズコガ 成虫 Ippa conspersa (Matsumura, 1931)

少し前に毎晩、我家の外灯下に来ていた蛾なのだが、なかなか種名に辿り着けなかった蛾がいる。

以下が、その蛾である。

大きさは、案外と大きくて、大きいのは前翅長で13ミリぐらいある蛾である。

キバガの仲間と思いたいが、牙のようなものは見えない。ヒメハマキの仲間にしては、口元が違う。マダラノメイガの仲間は、もっと細い印象である。

迷宮入りしてしまっていたのだが、たまたまヒロズコガ科の蛾の一覧を見ていたら、「えっ、これじゃん」という蛾に巡り会えた。

種名は、マダラマルハヒロズコガ。

幼虫は、所謂、ツヅミミノムシ(鼓蓑虫)とも言われる幼虫で、不思議な蓑に隠れながら生活する習性がある。そして、幼虫は、たまに出て来て、蓑の近くの昆虫の死骸等を食べるのである。ゆえに、蟻の棲家の近くで、お溢れを利用しているとも言われている。一応、この蛾の蓑か分からないが、過去に投稿済みなので、良かったら、そちらも見て頂きたい。

さて、このマダラマルハヒロズコガの生息分布域は、国内は、本州以南……九州を経て、南西諸島まで。海外は、予想外に、あまり情報がヒットして来なかった。

マダラマルハヒロズコガ 蓑(幼虫 or 蛹) Gaphara conspersa (Matsumura, 1931)

最近、地上に掘り起こされ数年放置されている大きな樹の根っこを、ひっくり返してみたことがあった。(日頃からよくやってる事だが……)

この日は、その下から勢いよく飛び出して来た物体が居て、その森でよく見かけるカナヘビかとも思ったが、下草に見え隠れする姿がどうもズングリしている。目を凝らして見ると、野ネズミの一種だと分かった。

その日は、手のひらに収まるようなコンパクトな網を持っていたので、その野ネズミが次の移動から小休止に入った瞬間に掬える自信があったのだが、その野ネズミは、次の移動先で忽然と気配を消した。

なんちゃない。姿を消した場所を見に行くと、地中に繋がる穴があった。

話が脱線したが、マダラマルハヒロズコガに戻すと、そのネズミの追いかけっこの前にひっくり返した大きな樹の根っこを観察し始めた際に、目新しい生き物は見つけられなかったのだが、以下の得体の知れない薄っぺらい物体が目に入った。

過去に何かしらの昆虫の幼虫が穿孔した穴というかスポットの中に、2個入っていた。それを、その場の小枝でほじくり出して写した写真が上のものである。

写真を撮った理由は、この物体が、何かしらの昆虫の痕跡である事を知っていたからであった。現場では、分からなかった。

後で調べたところ、マダラマルハヒロズコガという2センチ前後の蛾の蓑である事を知った。

この中で、幼虫時代と蛹時代を過ごすようである。手に取った感じでは、中からの生物反応は感じられなかった。また、平べったい物体であり、中に何かが入っている凸凹感も感じられなかった。

今度、同じものを見つけた際には、少しだけ中を覗かせてもらおうと思う。