この頭部をオレンジ色にしたサギの一種を眺めるようになって、かれこれ10年以上経つ。
会社の近くの田んぼにいつの間にか飛来し、寒さが厳しくなる前に何処かへと居なくなっている気がする。そして、居なくなったなと気付いた時には、毎年一抹の寂しさを感じさせてくれる鳥である。
昨日、たまたま会社に帰社中に、田んぼに群れているのが目に入り、車中からスマホで撮影してみた。
名前はアマサギ。このサギの名前を教えてくれたのは、今の会社に勤め始めた頃の同僚というか先輩。頭部の薄いオレンジっぽい色を亜麻色っていうと教えてくれた。
この頭部の薄いオレンジ色は、今から亜麻色とは掛け離れるもっとハッキリしたオレンジ色へと変化して行く。
ここで、このアマサギの名の由来と亜麻色を結び付けている投稿やwebサイトをよく目にするが、ここは、少し慎重になった方が良いと思う。アマサギの頭部の色は、亜麻色というよりは飴色に近く、梅雨の長雨の時期に色づきが目立ち始める等から、雨も絡んでいる可能性も否めない。
さて、このアマサギを、何気なく毎年見ていて思うのは、かき混ぜられた田んぼに集まる習性があるという事である。
この写真の田んぼも、周りの田んぼが既に稲が青々と成長し始めている中、季節外れに代掻きがされ急に水が張られた田んぼである。同じように5月や秋口に水が無い田んぼを耕運機が混ぜている時も、その後ろに必ずいるのがアマサギである。そういう意味では、耕運機や耕運機を運転している人間のことなんかは、信頼しきっているというか見切っている。
このアマサギの外見的特徴としては、よく観察しない気付かないと思うが、形が似ている他のサギ達と比べると、首が短く太い気がする。
そして、このサギが見れる環境はラッキーだと思う。毎年、毎年、決まったエリアの田んぼにしか飛来せず、近隣の田んぼに飛び火していったり、ここ以外の他の田んぼで見かけたことはない。(一回だけ、家の近所の通勤路から見える田んぼで1匹見かけて期待したが、その後何千回とその場所を車で通っているが、2度と出会ったことはない。)
そうやって考えると、そのアマサギの訪れる田んぼの農家とこのアマサギの先祖達は、いつからの付き合いなんだろうと思いを馳せる事がたまにある。その昔は、一体どんな田園風景だったのであろうと目を閉じて思い描く自分が居る。
さて、このアマサギは、8月になり稲の収穫までの、田んぼが稲で溢れかえっている時期は、田んぼから姿を消す。理由は、田んぼに降り立てれるようなスペースがなくなるからだと思う。この時期は、少し遠出するのか、普段見かけないようなエリアで、山林とかが伐採されると、そこに現れたりしている。凄い勘というか、情報網だと思う。そして、また稲刈りの終わった田んぼには戻ってくる。
あまり見かけれないだけあって、山形県、栃木県、福岡県等が、準絶滅危惧種に指定している渡りの鷺である。