キハラゴマダラヒトリ 変異に富む翅の紋様 Spilosoma lubricipeda

さてさて、4月になり気温が緩み始めるのと同時に、少しづつ蛾の活動も見られるようになってきたが、よく蛾の観察に立ち寄る場所に、明らかにヒトリガの仲間と思える蛾が複数集まっていた日があった。

一見、翅の色合いや紋様が変異に富んでおり、翅の紋様からは同一種には見えない印象を抱いたが、今回は、片っ端から捕まえて手に取っては、前脚の色や腹部上面の色合いを確認してみる事にした。

この作業をした理由は、これらの蛾が、キハラゴマダラヒトリなのかアカハラゴマダラヒトリなのか、突き止めたかったのが第一の理由であり、他にも腹部や脚の色合いから種を特定する手掛かりを見つけるとの試みもあった。

作業の結果、翅の紋様に関わらず、腹部上面は、山吹色をしており、その場にいたヒトリガ達は、所謂、全てがキハラゴマダラヒトリに当てはまるのかなとの結論に至った。

以下に、キハラゴマダラヒトリと同定した個体達の上翅の変異を見れる写真をアップロードして行こうと思う。

黒点が多く目立つ個体
黒点は小さく目立たず、黄色味がかった個体。
水死していた個体で、こちらも黒点は、殆ど目立たない。拡大しているから、黒点が見て取れるが、現場での目視では、単に白い蛾の印象。

以下は、腹部の色の参考に、横からのショットを載せるが、どの個体も腹部は同じ色合いであった。

以上のような事から、この時期に同じ場所に一斉に出現している蛾は、キハラゴマダラヒトリであろうとの結論に至った。

同時に、腹部の色が違うだけで、とてもよく似た習性のアカハラゴマダラヒトリとの関係性が気になった。2種は別種なのかとか、どういう棲み分けになっているのであろうとの好奇心が芽生えてきた。

とにかく掴んだのは、春一番に現れているのは、キハラゴマダラヒトリの方であるということである。

また、今回見かけたキハラゴマダラヒトリの大きさにバラツキがあった事も感じたが、これが雌雄の違いから来ているのか、雌雄によって紋様に違いがあるのか等を、今後観察していきたい。

次回の観察は、1年後に同じ場所になるのかな。

キハラゴマダラヒトリ  成虫

先程、仕事の移動中に、地面にヒトリガの仲間の死骸と思われるものを発見。

急いで写真にだけ納めようと、しゃがんでよく見ると、交尾中であり、生体であることも分かった。

大きさは、下の微妙に大きい方が、前翅長が2センチぐらい。

上翅の紋様から判断するだけだと紛らわしい類似種が幾つかいると思うので、今回は、ちょこっと車の鍵で翅をめくって腹部の色を見せてもらった。

すると、黄色と黒色の縞々であった。この黄色い腹部に上のゴマダラの紋様を加味すると、キハラゴマダラヒトリという種類に行き着く気がする。

上の写真をよく見ると、下のちょっと大きい方の触角は糸状で、上に乗っている少し小さい方の触角は、櫛髭状なのが見て取れる。これから考えて、下の少し大きい方が雌で、上の櫛髭状の触角を持ったものが雄と分かる。

スマホのカメラで白い被写体を写すのがとても難しく感じるが、実際の現場での目視だと、上の雄の翅色は微妙にオレンジがかっていた。

さて、このキハラゴマダラヒトリの幼虫……ヒトリガ科の毛むくじゃらの幼虫は、毎年数種類を目撃するのだが、未だにどのヒトリガ科の毛虫が、どの成虫になるのか確証出来ないでいる。

日頃からよく目にする機会の多いヒトリガ科の幼虫……キハラゴマダラヒトリの幼虫は、果たしてどれなんだろう??