ハマベハサミムシ 雄 雌 Anisolabis maritima (Bonelli, 1832)

3月の終わりに、家族で海辺の宿に宿泊した際に,宿の前の海岸で見つけたハサミムシである。

大きさは、体長25ミリぐらい。

種名は、ハマベハサミムシ。上の写真の個体は、雄である。

ちなみに,同所に雌もいたので、雌は以下の写真である。

雌の方が少し小さいようで、体長20ミリちょっとといったところであろうか。

この日,この海岸では、流木の下に,本種が沢山いた。他にいた昆虫はと言えば、トビムシ、ダンゴムシ、ムカデの一種であろうか。

ちなみに,雄と雌で、明らかに鋏の形が違うが、更に雄のハサミは、左右非対称である事が知られている。ハサミムシ自身から見て右側のハサミが、左側より明らかに大きく湾曲しているのである。

このハマベハサミムシは、現代の内陸地(過去は海進で海辺だった可能性あり)にも生息しているとのことであり,単にハサミムシと呼ばれることもあるようである。私も過去に内陸である近隣で見かけたハサミムシを本種として投稿しているが、果たして、本当に、このハマベハサミムシであったのか自信がなくなって来ている。理由は、今回、海岸で見かけたハマベハサミムシ達の中には大きい個体が結構目立つ事と、こんなに見事な雄のハサミを持った個体がいたであろうかという事である。ただ、近隣で見かけた場所は、よく行く場所であるので、近々,再調査してみようと思う。

さて、このハマベハサミムシの生息分布は、国内は、北は北海道から、南は南西諸島まで生息している。そして、興味深いのは、大概の島嶼にももれなく生息しているのである。小笠原諸島にも生息している。海外の生息分布は、主に,ヨーロッパや北米アメリカや東アジアに生息している。北半球のそれらの地域ほどではないが、南半球の主要な寄港地なんかにも生息しているようである。ただ、海岸沿いに生息している特徴がある代わりに,内陸部奥深くに生息分布が見られないため、比較的新しい時代に,貿易船に紛れ込んだり,海流で運ばれる漂流物と共に移動した可能性は感じる。

キバネハサミムシ Forficula mikado (Burr, 1904)群馬県 万座温泉 標高1750メートル

先週末、群馬県の万座温泉に出かけた際に、見かけたハサミムシである。

大きさは、体長17ミリぐらいだった。

翅が見てとれて、平地の近隣でたまに見かけるハサミムシは、オオハサミムシだが、オオハサミムシのハサミの部分は、身体に占める割合が全然大きい。キバネハサミムシのハサミに関しては、長短様々と書かれている方もいた。あと、頸の辺りも細っそりしている気がする。

この辺の特徴から、高地に生息してそうなハサミムシを調べたところ、キバネハサミムシという種の存在を知ることになった。

ネット上のキバネハサミムシの画像では、もっと上翅の部分の色が黄色がかった個体も多いが、上の写真の個体は、キバネハサミムシだと思われる。

キバネハサミムシの生息分布の方は、国内は、北海道と本州のおそらく標高の高めの場所のようである。北海道のように緯度が上がり、気温が低くなれば、生息場所も低くなっている可能性は感じる。海外の生息分布に関しては、ちょっと情報を見つけられなかったので、日本国内にしかいない可能性はなくはないとも思う。

オオハサミムシ

仕事の休憩中に水田の直ぐ脇に置かれた石の下に居た。石を退けると、この大きなハサミが目に飛び込んできたが、自ら作った巣に潜っている模様で、直ぐに逃げ出しはしなかった。ただ、全身が写らないので、巣穴から引っ張り出して写真を撮ることにした。

少し長めの昆虫だったので、先ずは、頭部の方のパートを撮り、次に尻尾の方のパートを写そうとの魂胆であったが、尻尾の方を写そうと、頭部の方を押さえると、所謂大きなハサミで攻撃されてしまう。凄い力ではないが、挟まれるたびにビクってなって反射的に指を離してしまい、尻尾の方の写真は撮れなかった。

それにしても、動き回るので、頭部の方の写真もピンボケになってしまったのか。残念。

もうやけくそになって、広い地面にリリースして、片っ端から全身の写った写真を撮ってみた。そのうち、使えそうなのは以下の一枚であるが、これも、やはりピンボケ。

さて、大きさは顔の先からハサミの先までで3センチ弱。ハサミの真ん中辺りに瘤というか小さな牙みたいな出っ張りが見えるから雄なんだと思う。

私がこれまで近場で見つけたヒゲジロハサミムシコバネハサミムシ(キアシハサミムシ)と比べると、兎に角ハサミが格段に大きくて立派。色合いも茶色ベースである。

出会ってみたいハサミムシだったので、比較的直ぐに身近で出会えて幸運だった。

昔の人たちの間での別名、チンポキリ。水田周りの害虫対策(益虫との区別が出来るとは思わないが)に、チンポキリ増やそうよ。