コクワガタ

コクワガタは、私の家の周りに結構生息している。雑木林の蜜源にも居るし、灯火に飛んで来たと思われる個体が地面を這い回って居る瞬間にも、たまに出くわす。

この写真の個体のもので、4センチちょっとぐらいの大きさだったのでは無いだろうか。我が家の近隣では、比較的大型のコクワガタを見つける事が出来て、私の中で、4,5センチ以上だと大型の部類に意識する中で、最長記録4,9センチという記録(記憶)がある。しかし、5センチの壁を越えることは、未だに出来ていない。

そんな今では、家の周りに当たり前に生息しているコクワガタだが、私が子供の頃に育った千葉の都心部では、身近な自然の中で見つける事は無かった。唯一、家から数キロ離れた地区の空き家の敷地に忍び込んで遊んでいた時に、確かイチジクの木に付いているのを捕まえた記憶が有るぐらいである。

他には、墓参りを兼ねて横須賀の別宅を訪れたときに、お墓のお供え物のバナナにコクワガタのつがいが居るのを発見し、小躍りして虫籠に入れたのを、ハッキリ覚えている。

そんな都会の子供達には、ある意味憧れの昆虫であったクワガタやカブトムシが、我家の周りには、沢山生息している。

ただ、昔より、遥かに、樹液の出ている木が少なくなってる気がする。これは、ひとえに、樹液を出す代表的な木のクヌギやコナラに産卵し、樹液が出るキッカケを作るシロスジカミキリやボクトウガの幼虫が少なくなっている事が原因していると思われる。

シロスジカミキリは、近隣の栗林を荒らす害虫になる可能性が有るので、安易な増加は現時点で推奨出来ないが、ボクトウガ等は、もっともっと数が増えて、子供達の自然との触れ合いの機会の増加の為にも樹液の出る木を沢山増やして欲しいと思う。

そういう樹液が出る仕組みやサイクルを教えれる大人や先生達が少ない気がする。お金や食い扶持を守る為の知識ばかりに目が行くと、こうした自然界の知識は後回しにされるのが、世の常である。

世の中は、全て小さな現象の結び付きで成り立っているんだけどね………

ヒグラシ

私の家の近所では、夏の訪れと共に、このヒグラシの♪カナカナカナカナカナ〜♪という鳴声を耳にする事ができる。

初めてヒグラシの鳴声を聞いたのは、小学校時代の子供会で行った宿泊遠足の時だったと思う。千葉から、中央線の鈍行列車に揺られ行った先は、高尾山(御嶽山?)だった記憶がある。山頂近くの古びた宿の一つに宿泊したのだが、その時に夕方、宿を囲む杉林の中から、聞こえてきたのがヒグラシの声だった。

引率の大人達に、声の主を尋ねるが、分からない人も多く、カエル(カジカガエル?)だろうと教えてくれた人も居た。そんな中で、ヒグラシという蝉の鳴き声だと断言する大人が現れ、私達もヒグラシという蝉なんだろうと半信半疑の中、落ち着いた微かな記憶がある。

ただ、その初めてヒグラシの鳴声を耳にした時も、このヒグラシという蝉の鳴き声が、薄暗くなる時間帯と相まって、子供心にも、その優美な憂いた響のユニゾンが、何とも少しせつなくメランコリックな気持ちにしてくれているという感覚は抱いていた。不思議なアドレナリンが体内に染み込んでいく気持ち良さを味わえる声だった。

また、そのヒグラシの鳴声を聞きたいと願うのだが、聞けるチャンスが来るのは、夏の家族旅行で出かけた数日のみだった。そして、夏の旅行先によっては、耳に出来ない。

その後、日本の幾つかの街を、親の転勤と共に渡り歩いたが、成人する前に、唯一、家の近所で、このヒグラシの鳴声を耳に出来たのは、福岡県福岡市の香椎という新興住宅地の中にポツンと取り残された小さな杉林からだけであった記憶がある。

その後も、上京して後の十数年も、一人暮らしで転々とした地でも、ヒグラシと家の近所での出会いは無かった。しかし、状況が一変するのは、結婚と共に移り住んだ茨城において、薄暗い森林からは、このヒグラシの鳴き声が、夏の到来と共に、こだましてくる。家の近所の彼方此方の森林からである…

下の写真は、近所の小学校の体育館に迷い込み、一生を終えたヒグラシの写真である。大きめのサイズから、雄であろう事が伺える。(この写真からは、サイズ比較できませんね)

さて、この独特な印象に残る耳触りの良い声の持主のヒグラシが、現在私が暮らす家の周りの林には沢山生息している。ただ、地元に長く暮らす人達からすれば、生まれた時から、当たり前に耳にして来た鳴き声であり、私のように幼少を街中で育った人間ほどは、ヒグラシの鳴声に思い入れは無いかもしれない。

そして、昨今、このヒグラシの棲む森が、ソーラー発電含む開発で、どんどんと切り開かれて行く現状を目の当たりにしている。

開発による土地の利用目的の変更で、市町村の税収がアップする可能性もある。でも、都心部から、こうした街中には無い自然の良さを体感・享受出来る自治体として、新たな居住者を惹き寄せることにより、人口をアップさせる方が、将来的には、あらゆる面で、自治体の民度の成長に繋がるような気はするのだが…

目先の損得や利益で動いてしまう人達が多い事が嘆かれる。ただ、こうした人達が生まれる原因の一つは、教育に在る。もっともっと自然と調和した将来が展望出来る人達が生まれ、育っていく日が来ることを願う……

アオモンイトトンボ

少し前に近所の里山を散策した時に、イトトンボの類が多く見られる地帯があった。基本的に、私が住む郊外の環境では、茂みや草叢に目を凝らすと、想像以上にイトトンボを見つける事が出来る。それにしても、この地帯は、他の場所よりも、かなり沢山イトトンボが生息している地帯と言い切れる一帯であった。

この写真のトンボは、アオモンイトトンボと思われる。日本海側の寒い地域や北海道には居ないトンボらしい。また生まれた水辺を余り離れないとの記事も多く見かけた。

という事は、明らかに蓮田の近くに沢山居たので、蓮田がヤゴの生育場所で有り、発生源になっていると思われる。

ちなみに、雌には、雄と同じ模様のタイプと、全く違った雰囲気のオレンジ色になるタイプが存在するとのことである。

そんなアオモンイトトンボの雌と思われるオレンジ色のタイプの写真が以下の一枚。(同じ場所で撮影)

このアオモンイトトンボ始め、イトトンボは空中を縦横無尽に派手に飛行しているというよりは、草から草へ、枝から枝へと、ゆっくりフラフラと目立たぬように飛んでいるので気が付きにくいが、茂みに目を凝らすと、意外と身近に居るトンボである。そして、フラフラとのんびり飛んでいるように見えても、小さな虫が目の前に現れると、手足を器用に使い、一瞬で捕まえてしまうのである。

また、我が家の庭でも数種類のイトトンボを見かける事があるが、どこの水場で誕生したものが飛来しているのか、想像できない。近場にそれらしき水場が思い当たらないので、比較的移動距離(水場から200メートル圏内とか)は持っているトンボだと思うというのが、私の私見である。