セイヨウカラシナ

昨日、子供達と近所の小川の土手を散歩している時に、この時期の土手沿いの定番の菜の花が、嫌でも目に入ってきた。

実際のところ、こうした野生化した菜の花は、年明けぐらいから至る所で目にしていたのだが、あまりに葉の形に変異が多く、それらが混在しているため、種を特定する事を諦めていた。

ただ、昨日見かけた菜の花は、どれも均一で、またその外見的特徴から調べるまでもなく、カラシナの一種の群落であろうと推測出来た。

その時、撮った写真を以下に貼り付けておく。

ちなみに、このカラシナは、中央アジアが原産のようで、早くは、弥生時代には、大陸を伝い伝い日本に伝播していたようで、平安時代に編纂された『本草和名』や『和名抄』に既にカラシナの記載があるらしい。

次に、このカラシナの大移入があったのは、明治時代。西洋アブラナと共に、種子からの油生産を目論んで、海外からの種子を元に計画的な植え付けと生産が始まった時である。この時の名残りがセイヨウカラシナという名前である。

さてさて、今でも菜種油なるものは売っているが、近隣で利用目的で植えられた菜の花畑は、全然見かける気はしない。何が菜種油を衰退(?)させてしまったのであろうか?ひとつに、大量摂取すると、甲状腺機能に障害を起こすらしいという事で、アメリカが、使用を禁止した過去も有るのかなと想像する。

今では、菜の花といえば、私達には、菜種油より菜花を食べる習慣の方が身近になってる気がする。気にならない程度のエグミと共に、とても健康的で、美味しく食べれる植物だと思う。

ちなみに、今回の土手のカラシナも、少しそのまま生でかじってみたのだが、カラシナというだけあって、ハッキリと辛味成分を感じた。土手の反対側には、アブラナの一種があったので、こちらもかじってみたが、辛味はなくエグミだけが舌に残った。しかし、茹でて、お浸し等で食べるなら、アブラナの方がマッチしている気がする。また、カラシナの変種に、九州地方でよく食べられる高菜(タカナ)なんかもあるらしい。

そして、カラシナの種子は、和辛子の原料になったり、カラシナに含まれる成分というかそれを持つアブラナ科の植物は、癌予防の効果が有ると期待されているとのことである。

近隣の小川に沿う土手によっては、セイタカアワダチソウが群落を作っているところが多く、これはこれでセイタカアワダチソウの根張りを考えると物凄い土砂流出防止の効果に繋がっていると思うのだが、イマイチ、セイタカアワダチソウの利用法を見つけれてないのが現代人の実際である。

それならば、生態系被害防止に関する法律で重点対策外来種に指定されていて、対策が望まれるセイタカアワダチソウの替わりに、土手にカラシナ(アブラナの方が株が大きく根張りは強そう)の種を播き管理したなら、春先には、一面がレモンイエローの絨毯になり、人の目を和ませ、また、種子が出来れば、それなりの利用法が有りで、とても魅力的な植物の気はするのだが…….いつか同じ考えの仲間が出来たら、実現させてみたいと夢想する今日この頃である。