3月の終わりぐらいから、車で走っていると、紫色の大きめの花を咲かせる植物が小さな群落を作っているスポットが近隣各地で視界に飛び込んで来ていた。
ただ生えている場所で共通しているのは、何処も半日陰といったような場所である。古い家の半日陰の裏庭とか、畑の端の垣根の陰とか、目立たない場所が多い。
元々の生息地は、中国北東部辺り。江戸時代には日本に持ち込まれている記録がある。ただ、中国との戦争中の1930年代に栽培が奨励され、大大的に広まるのは戦後ということである。
別名が、ムラサキハナナというぐらいであり、花は紫だが、葉を食用にしたり、菜種油を取ることが出来るらしい。他の別名には、諸葛菜や紫金草等がある。
では、正式名称はというとオオアラセイトウという名が付いているが、イマイチ、ピンとこない。おそらく、アラセイトウという植物の大きいやつみたいな意味合いがあるのかと思われる。
そして、気になるのは、菜花の仲間だし、日向だとどんどん増えるとの記事が幾つかあったが、現在、近隣でこの植物を見かけるのは、どうも人目に付きにくい半日陰のようなひっそりとした場所の気がする。
この理由は、何なのであろう?ちなみに、モンシロチョウに押されて(?)衰退したスジグロシロチョウという蝶が、このアラセイトウに寄生し復活し始めてるとの記事も読んだ。このスジグロシロチョウは、モンシロチョウよりも半日陰を好んでいる蝶との記事も読んだ。
とにかく、その昔、日本と中国は戦争状態の時が長くあり、その中国の北東部やおそらく満洲国辺りに滞在した軍人や民間人は、異国の地でこの植物を目にしていたと思われる。そして、彼らが本国と行き来するうちに、何気に持ち帰ってきた種や知識が、大きく日本での広まりに寄与したのではと想像したい。
ただ、もはや、肉親にも近所の人にも、戦争中に中国の北部に滞在していた経験がありそのアラセイトウの印象を思い出してくれる人は居ない時代になった。