ジャコウアゲハ 雄? Byasa alcinous alcinous (Klug, 1836)

数日前に自宅の庭で写真に撮影した蝶である。

その数日前から、小さめの黒いアゲハチョウの仲間が飛んでいるなということには気が付いていたが、休みのこの日は、なんとか葉に止まり休息している瞬間を写真に押さえた。

この蝶の印象として、黒いアゲハチョウの仲間にしては小さいなという感覚があった。

そして、黒いアゲハチョウに見られるオレンジ色の部分が目立たず、一見すると黒一色に見えると感じていた。

調べたところ,ジャコウアゲハという蝶である事が分かったのと同時に,会いたかった蝶ではないかと、嬉しく感じた。

なかなか近隣で飛んでいるのを目撃出来なかった蝶なので、ちゃんと身近に生息している事が分かったことは大きな収穫であった。

翅裏が見える写真も,以下に。

さて、このジャコウアゲハの食草は、ウマノスズクサの仲間である。

どうもウマノスズクサ自体は、河原とかに生えている蔓性の植物らしいが、現時点で、私は河原の中で、これがウマノスズクサと言うふうに見分けることは出来ないと思う。似ているような雰囲気の蔓植物が混在しているからである。

生息分布の方は、国内は、本州以南……南西諸島まで生息しているのだが、南西諸島のものは、幾つかの亜種に分類されているようである。海外の生息分布は、朝鮮半島、ロシア沿海州南部、中国の東部の一部からの生息報告があるようだが、こちらも微妙な違いがある可能性は感じる。

ところで、ジャコウアゲハの名の由来は、雄が麝香の匂いを発するかららしい。

また、ウマノスズクサという植物は、根に有毒成分を持つ事が知られている植物だが、そのウマノスズクサを食べる幼虫も体内に毒の成分を溜め込むようである。ゆえに、ジャコウアゲハの幼虫を捕食してしまった鳥達等は、毒の成分を嫌がって吐き出してしまうとのことである。

その特徴を真似ようと,アゲハモドキという蛾が存在するというから、これまた興味をそそる情報である。

ヤマトスジグロシロチョウ? 雄 春型 Pieris nesis Fruhstorfer,1909 or Pieris nesis nesisFruhstorfer,1909 福島県南部 標高600メートル付近

先週末に茨城県と福島県の県境辺りで渓流釣りをしていた際に見かけた。

最初は、こんな薄暗い場所にモンシロチョウがいるのは珍しいなと思った。同時に,モンシロチョウと同じ属には、少し山地生で食性も少し違う似たような種が居たよなという知識が脳裏をかすめた。確か名前はスジグロシロチョウ。

確かめるために,半ば寿命を迎えかけていたこの個体の翅裏を見てみた。

明らかにモンシロチョウとは違うし,スジグロ(筋黒)の所以みたいなものを見て取れる。

ここから、初めて、スジグロシロチョウなるものの生態を少し掘り下げて調べる作業をしてみたのだが、元々は、日本には、スジグロシロチョウ(Pieris melete Menetries,1857)とエゾスジグロシロチョウ(Pieris dulcinea tomariana Matsumura,1928)とヤマトスジグロシロチョウ(Pieris nesis Fruhstorfer,1909)の3種が知られていたようである。やがて、1952年には、ヤマトスジグロシロチョウは、本州中南部のものは少しまた違うということで、本州北部&北海道亜種と本州中南部亜種(Pieris nesis japonica Shirozu,1952)に区別されることにたったようである。

では、上の写真の個体が、どのスジグロシロチョウに当たるのかというと、おそらく、ヤマトスジグロシロチョウ本州北部&北海道亜種の春型♂であろうと思う。

スジグロシロチョウの見分けかたに関しては、ウェブ上に多くの紹介サイトが存在するので、それらの方々のサイトに譲ろうと思う。

一応,幼虫の食草は、自然のアブラナ科の植物ということである。

生息域の方は、上の方でも触れたが、北海道の一部と本州の山間部と思ってておけば無難なのではないだろうか。

モンシロチョウ 幼虫 Pieris rapae (Linnaeus, 1758)

ひとつ前で、モンシロチョウの雌雄の違いの投稿をしたが、今回、そのモンシロチョウ達が小乱舞していた場所で、モンシロチョウの幼虫の写真も撮っていた。

付いていたのは、野生のアブラナであった。

大きさは、25ミリぐらい、もうそろそろ蛹になるのではないだろうか。

ここで、疑問に思ったのは、随分と寒くなってきた10月のモンシロチョウの幼虫は、蛹になった後、蛹のまま越冬するのか、それとも羽化した蝶が越冬するのか気になり始めたが、一応、蛹で越冬するというのが通説のようである。今回の写真の幼虫が、今シーズン最後のモンシロチョウの幼虫のサイクルかは分からないが、とにかく、蛹で越冬するようである。(もちろん、寒い時期の屋外で採取した蛹を、暖かい室内に取り入れてしまうと季節外れの羽化みたいな現象が起きてしまう事も想定できるが……。)

さて、話は変わるが、モンシロチョウの幼虫は、当然アブラナ科の野菜もムシャムシャ食べて、それらの野菜の出荷に影響を与えると思うのだが、それを防ぐために農薬が使われるなら、いっそのこと、生で食べる事もある葉物野菜とかは、生物の被害の少なくなる屋内の工場とかで効率的に作るのも有りかと考えるようになって来ている自分がいる。農家の高齢化は顕著であり、一方で、未来の世界事情を反映して食料の輸入や価格維持が、今後、国同士の駆け引きの中で、我が国にとって不利に動く時代も想定しておきたい。

何が言いたいかというと、現在の平和な日本での食糧事情に慣れきってしまっているが、国民が、現代の食糧供給の陰に見え始めている不穏要素(課題)に気が付き、食料の国内自給自立率のアップを真剣に考え、また多収や気候対応に向けて品種改良や、効率的な土地活用によって、アジアの農業先進大国の顔も作っていくことが、日本の未来には必要かなと感じてしまう。

平和って素晴らしい事だが、人間の未来に起こりうる異変を察知する感覚を鈍らせてしまうのも事実のような気がする今日この頃である。

モンシロチョウの幼虫から随分と話が脱線してしまったな。