ツクツクボウシ

幼き頃から馴染みの深いセミである。

生まれ育った関東の低地には、当たり前に居た。引越し先の九州にも居た。

子供の時からこのセミに共通して抱いていたイメージは、晩夏のセミという事である。

私の中では、夏休みも終盤に差し掛かり、宿題を終えていない焦りを助長させてくれるセミだったかもしれない。

北部九州に住んでいた時には、10月の半ばまで、ツクツクボウシの鳴き声を聞く事ができたのを覚えている。セミ=夏のイメージを持っていた私には、随分と季節感を狂わしてくれるセミであった。しかし、秋も深まり始め、このツクツクボウシの鳴き声も日増しに聞こえなくなり始めると、途端に、何処かでツクツクボウシの鳴き声がしないか耳を傾けるようになり、まだ鳴いてたぁみたいに安心するのであった。

数日前に我家の外灯下に来ていた個体である。腹部が短いのが、本種の特徴であり、メスの腹部の先端が尖っているのも本種の特徴らしい。

大きさは、一般的なアブラゼミミンミンゼミよりは小さく、ニイニイゼミよりは少し大きい気がする。ヒグラシと同サイズかなと思う。

こちらは、腹部の先端が尖っていないので、雄だと思われる。

さて、このツクツクボウシの分布域を調べて、頭が混乱することになった。日本国内では、少ないながらも、北は北海道には生息していて、南は鹿児島県のトカラ列島にまで生息しているようである。そして、海外では、朝鮮半島、中国、台湾にも生息しているとの事である。

しかし、南西諸島には、生息しておらず、伊豆諸島には、八丈島にしかいないようである。一応、南西諸島と小笠原諸島には、近似種がいるのである。

ツクツクボウシに限らず、セミの分布には複雑な偏りを感じる。過去に一体どんな自然や環境の変化があったのかを、セミは教えてくれている気がする。

ツノアオカメムシ 福島県 標高1200メートル

この蛾は、近隣近所で見たカメムシではないが、敢えて、近隣近所( 標高5〜標高25メートル)の身近なカメムシ達の比較も込めて投稿してみようと思う。

大きさは、体長18ミリぐらいだったと思う。見つけたのは死骸であったが、こんな標高の高い原生林にもカメムシは居るんだというのが、第一の感想であった。

写真は撮って帰宅したので、早速、種を調べたところ、ツノアオカメムシという種と分かった。山地性のカメムシという情報や、かなり高い山でしか見られないとの情報と、私が見つけた場所の条件とが合致していて、安心した。

このカメムシの食草は、高山に生える樹木は大概行けそうと学んだが、カバノキ科のシラカンバやダケカンバと限定している紹介もあった。

さて、この山地性のツノアオカメムシも、私の持論だと、氷河期で陸地が多く、北海道から九州まで陸続きであった時代には各地に生息しており、その後気温が上昇するに連れて、気温の低いままの山地に取り残されたのかなと想像したい。

ただ、陸続きという点では、現在のアジア大陸とも陸続きの時代があった筈なので、このカメムシの学名にjaponica が付いて、日本にしか居ない日本固有種みたいな存在になった経緯が腑に落ちないので、その辺の経緯も素人推理してみたくも思うようになった。(笑)