ニゴイ Hemibarbus barbus (Temminck and Schlegel,1846 )

本日、夕方から、家から車で4-50分のところの小川に、小学生の娘を連れて釣りに出かける。(最近、よく遊びに付いて来てくれる。)

この小川は、昨年の真夏に、忙しすぎる中学生のライフスタイルに疲れてしまっているように見えた長男に、小物のウキ釣りでもさせて少しでもプレッシャーから解放させてあげたいと思い連れて来た小川である。その時に、橋の上から、大きなナマズがユラユラ泳いでいるのを目にしていた。

という事で、先週、ナマズでも釣ろうと、ほぼ1年ぶりに再び、その小川を訪れていた。家の庭にいた小さめのミミズを付けて、ブッコミ釣りをすると、ナマズではなく、30センチに満たないメソサイズの鰻が2匹釣れて来た。ただ、2匹とも、殆ど、鈴を鳴らしたり、竿を曲げたりする事なく、なんか掛かっているっぽいなと思い上げると、釣れていたみたいな感じであった。

という事で、本日は、直前に家の近所で捕まえた大小様々なミミズ達と穂先の繊細な竿を数本用意して、再度訪れていた。

現場への到着は、17時半過ぎ。1本目の竿をぶっ込み、2本目の竿を用意していると、いきなり一本目の竿の鈴が軽快に鳴り響き、穂先が絞り込まれる。この時点で鰻では無い事が分かるが、軽く合わせを入れて巻き上げようとすると、思ったより良い引きである。水面付近に顔を出した魚体を見ながら、「セイゴっぽい?いや、ブラックバス?」と思いながら抜き上げると、正体は、以下の魚であった。

正体は、ニゴイであった。上の写真の個体で、25センチぐらい。このサイズだと、幼魚にある斑点は無くなるのかとも思った。

そして、最近、ちょうどニゴイは美味だという情報を自分自身で確かめてみたいと思っていたので、持ち帰って直ぐに捌いて3枚に下ろして唐揚げにしてみた。

すると、私の予想を覆す味だった。どうせ美味と言っても、所詮川魚の味であろうと予想していたのだが、これが想像を超えるバランスの取れた美味さだったのである。実が柔らかく、油が実の隅々まで染み込み、油の味以外に、魚自体の旨味もしっかり感じられるのである。そして、何故っていうぐらい、川臭さや泥臭さがしないのである。もちろん、腹骨はすき取るが、上身と下身の間にある小骨は取らなかった。しかし、25センチぐらいのサイズなら、小骨は取らなくても、気にならない。何回か噛んだ後の身質というか食感が、微妙に海の鯵(アジ)に似てて、少し粘るとも思ったが、アジよりは全然美味しいと感じた。

色んな料理で食べてみたいと思わさせてくれる魚である。冷凍することによって、顎口虫の危険性がなくなるなら、冷凍して刺身で食べてみたいとも感じさせてくれる魚であった。

まぁ、結論から言って、今の時期の水が決して綺麗に見えない時期でも、今回ぐらいのサイズのニゴイは、本当に美味しいんだなと思った。

それに、ニゴイなら、我家から徒歩圏内の川でも釣れてくる。将来的な世界情勢を予想した時に、海外から現状と同じ価格で食料が入ってくる根拠は少なく、食糧の輸入自体の安定性にも根拠があるようには思えない。身近な自然が産み出す食材にも目を向け、今一度、国内食料自給率の重要性に国民が目を向けていく事が求められ始めている時代かと感じるし、それこそが、身近な自然に関心を持ったり、大切にする気持ちに繋がりながら、地域循環に繋がっていくのかなと予想する。

ところで、本日の釣果に話を戻すと、ニゴイの後は、50センチぐらいのアメリカナマズに、メソサイズの鰻が数匹、本命だった和ナマズが1匹、かなり大きな鮒が1匹であった。

カネヒラ 

昨日、何処かへ釣りに出かけようと準備をしていると、結構良い時間……午後過ぎになってしまった。

遠くに行くのは面倒になったし、冷蔵庫には、餌のアカムシがあった気がするし、家の近所の小川(用水路)で、タナゴ釣りでもしてみるかと出掛けた。

しかし、小さな手頃なサイズの針が無いことに気が付き、(極小のタナゴ鈎は沢山あったが、その川のタナゴはもっと大きめの鉤で大丈夫なのである)、近所のホームセンターに買いに行って現地に着くと、時間は16時半。今から仕掛けを作って釣り始めるのも、夕暮れに追われて忙しないし、いっその事、長靴に履き替えて、車にあるタモ網でガサガサをしてみることにした。

直ぐに、タイリクバラタナゴではない小さなタナゴの稚魚が採れた。釣ろうとしていた魚達は居ると確信し、ガサガサを続けると、婚姻色の薄めになったアカヒレタビラのオスが網に入った。

もう少し、タナゴの顔が見たいなとガサガサを続けると、かなり大きめのタナゴが2匹網に入った。直ぐに、カネヒラというタナゴだろうと思ったが、家に帰って、確実に確認したところ、カネヒラで間違いなかった。

カネヒラというタナゴが、近隣の水系に所々居るのは知っていたが、我家の近所でも繁殖している事を確認した。

そして、本日、同じ場所に子供とタモ網を持って出掛けると、今度は大きなメスに混じり、少し小ぶりなオスも2匹取ることが出来た。

さて、このカネヒラとの自然下での出会いは、何十年ぶりだろう。おそらく30年ちょっと前に、九州の福岡市を流れる河川の中流部の堰堤で、真夏の炎天下の中、ピンクに色付くカネヒラを数匹釣ったのを覚えている。その川では、他の日に他のポイントで結構な流れの中からニホンバラタナゴも釣れてきたのを覚えている。

本来は、このカネヒラというタナゴは、琵琶湖辺りから九州まで日本海側を生息域にしていた魚である。関東の霞ヶ浦水系では、1970年代には定着が確認されている。

我家の近所のカネヒラは、その時代からの生き残りなのか、最近、タナゴ釣りの愛好家が放流したものが短期的に自然繁殖したものなのかは、私には分からない。