スズムシ メス Meloimorpha japonica (Haan, 1844)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていた。

大きさは、産卵管の長さは入れないで、体長18ミリほどだった。

見た時に,直ぐにスズムシだよなと思った。

ホームセンターとかで売られている歴代飼育されてる系統より,自然のスズムシの方が若干大きい感じで、頑丈そうな気がした。

さて、このスズムシは、近隣では、夏の終わりから秋の初め辺りまで、ちょっと深い茂みや林縁で、その鳴き声を聞くことが出来る。ただ、鳴き声はしても,その姿は、なかなか見ることが出来ない気がする。今回は、自然のスズムシを初めて拝むことが出来たかもしれない。

ただ、野生個体をしっかりと見たのは初めてというだけで、我家の庭でも野生個体の鳴き声は聞ける。しかし,昔からいたというわけではなく,数年前から聞こえ始めたし,毎年,鳴き声が聞こえる場所は移動している気がする。

では、近隣の自然下のスズムシと、ホームセンターで売られているスズムシと、どちらが美しい音を奏でるかというと,私は、ホームセンターで売られているスズムシの方が、滑らかでムラが無い鳴き声で美しいと感じる。近隣の自然下のスズムシ達の鳴き声は、少し途切れ途切れになってしまうケースが多い。もちろん,時々,自然下でも,美声の持ち主に出くわすこともある。

もちろん,歴代飼育のスズムシ達も,狭い環境で多頭飼いすると、喧嘩鳴きと言って、「チッチッ」みたいな鳴き声が多くなるが、自然下のスズムシ達は、喧嘩鳴きしているというわけではなく,求愛のメロディー自体が、少し滑らかさに欠けるのである。これが、全国共通なのか、我家の周りの近隣のスズムシ達の特徴なのかは、ちょっと分からない。

ところで、スズムシの鳴き声を、私は美しいと思うが、古来より,日本人の遺伝子の中には、秋の鳴虫の声に癒しや快を求める気質が備わって来ているようである。その証拠に,昔より、縁日で鳴く虫が売られていたり,虫売りが行商している光景などを、昔の絵なんかで見たことがある。ちなみに、昭和の初期ごろには、スズムシやマツムシよりも,外来種であったアオマツムシの方が格段に高値で取引されていたのを、何かの本で読んだ記憶がある。

最後に,スズムシの生息分布を記しておくと,国内は、本州の東北南部以南(昔は、秋田県の五城目町が自然分布の北限として知られていたらしいが、今は鳴き声が聞こえなくなったらしい)………九州まで生息しているようである。海外の生息分布は、東アジアには広くいるようである。各都道府県が独自に定めるレッドデータでは、岩手県が絶滅危惧Ⅰ類に指定している。

クサヒバリ Svistella bifasciata (Shiraki, 1911)

昨晩、我家の外灯下に来ていたコオロギの仲間である。

大きさは、体長で8ミリぐらいだったと思う。

何だろう……これって、思いながら、調べると、ヒバリモドキ科、ヒバリモドキ亜科のクサヒバリと判明。

元々、我家の敷地に隣接する茂みから聞こえてくる震えるような美声が、クサヒバリではないかと睨んでいたのだが、とうとうその正体を見た感じである。

似たような鳴き声に、アオマツムシもいると思うが、アオマツムシの方が音量が大きく、若干の高音の気がする。

今回は、写真を撮るだけだったが、次回見つけたときは、捕獲飼育してみて、その美声を脳裏に焼き付けたいと思う。

さて、このクサヒバリは、8月から10月ぐらいにかけて現れる昆虫のようで、生息分布の方は、国内は、本州から、沖縄本島含む南西諸島まで分布しているようである。海外の生息分布は、韓国、台湾、中国の東部に広く生息している模様。

このクサヒバリの鳴き声は、音階の変動するメロディーみたいなものはないが、とても爽やかで伸びのある単純な連続音で、私は美しいと思う。よく、耳を凝らすと、少し金属的な音にも聞こえるが………。

平安時代ぐらいから、その鳴き声が注目されて来た昆虫らしいが、どうも、私にも、その時代からの日本人の遺伝子が受け継がれているようである。

クマスズムシ Sclerogryllus punctatus (Brunner von Wattenwyl 1893)

先ほど、我家の外灯下に来ていたコオロギの仲間である。

大きさは、体長9ミリといったところだったであろうか。

最初に、本年の我家を取り巻く鳴く虫の状況を説明しておくと、今年は、敷地内で初めて、スズムシが鳴いている。近隣のヤブでは、野生のスズムシの鳴き声はよく聞けるが、これまで我家の直ぐ側では聞いたことがなかった。昔から、スズムシの鳴き声が好きで、庭に大量に放したりした事もあったが、基本的に一代限り(運が良くて、翌年少しだけ誕生)で、庭でスズムシが歴代繁殖する事はなかった。

しかし、何故か、今年は、我家の庭でも野生のスズムシが鳴いている。誰かが逃したのではと邪推する必要は無いかと思う。理由は、簡単に放虫出来る人口繁殖スズムシ達の鳴き声とは明らかに違う鳴き声だからである。近隣の野生のスズムシの鳴き声の方が、終盤の余韻がなく、人工的に繁殖させられているスズムシの方が、私はメロディアスで美しいとは感じてしまう。

という事で、庭で鳴いている野生のスズムシの姿を一目見たいと思っていた矢先に、先ほど、上の写真の個体を見つけたのである。

ちょっと小さいけど、これが野生のスズムシかと思ったが、写真を見ながら、似てるけど、なんかスズムシではないと気が付いてしまった。

では、この虫は何という虫かというと、クマスズムシという種である。ただ、スズムシはマツムシ科に属すが、このクマスズムシは、コオロギ科に属しているようである。そして、鳴き声も、美声の部類ではあるが、スズムシの鳴き声とは全然違うのである。

ここで、近隣で鳴いているスズムシの姿を見たいという希望は、また、お預けとなったのである。

さて、このクマスズムシの生息分布の方は、本州以南……九州近海までで、南西諸島は、沖縄本島や久米島にはいるようである。また、チラッと目に入った情報で、伊豆諸島の八丈島にも居るというのが、個人的には興味深かった。海外の生息分布は、韓国や中国から生息報告が上がっているようであるが、どうも沿岸部に多かったり、長江に沿って内陸部へと拡がっているように見える。