クシナシホシオビコケガ Aemene takahashii (Kishida, 2018 )or クシヒゲホシオビコケガ Aemene altaica (Lederer, 1855) 茨城県と福島県の県境付近 標高600メートル近辺

茨城県と福島県の県境付近に、植物観察をするお気に入りの場所があり,先週末に出かけてみた。

観察中には、数種の昆虫にも出会ったが、本種もその一つ。

大きさは、前翅長10ミリ弱。とても小さな蛾である。

種名は、一昔前であったなら、ホシオビコケガで良かったんだと思う。ただ、情報だと,2018年に,クシヒゲホシオビコケガAemene altaica (Lederer, 1855)とクシナシホシオビコケガAemene takahashii (Kishida, 2018 )の2種に細分化されたとの事である。

そして、これ以降,両種の外見的特徴を紹介してくれているサイトが増えつつあるようであるが、この手のそっくりな蛾達を視覚的な外見的特徴で判断することが難しいと感じている今日この頃でもある。知りたいのは、両種にどんな生息分布の傾向があったりといったような進化や変異に繋がる情報が、本音、必要と感じている。

という事で、一昔前のホシオビコケガとしての生息分布を記しておくと,国内は、北海道から南は屋久島辺りまでのようである。海外の生息分布は、朝鮮半島や東シベリアにはいると思われる。GBIFのオープンソースを見ると,韓国の済州島からも報告があるようである。

ところで、最後に,このホシオビコケガを調べている際に、幼虫の姿が目に留まったのだが、この幼虫に見覚えがあるのである。近所の田んぼ脇のコンクリート用水路のコンクリートに生える苔を食べている幼虫ではないかとの記憶があるのである。とにかく、見覚えのある幼虫なのである。時間がある時に,確かめに行ってみようと思う。そして、ドンピシャだったら、持ち帰り,羽化させてみようとも考えている。

ちなみに、上に書き忘れてしまった重要な情報だが、幼虫の食草は地衣類である。

ベニヘリコケガ 成虫 Miltochrista miniata (Forster, 1771) or Miltochrista miniata rosaria (Butler, 1877)

数日前に、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

ハガタベニコケガとして投稿しそうになったが、最終確認で違うと気が付いた。最初に写真を見た時には、肩のふさ毛の辺りに横に並ぶ黒い小点があるように見えたが、よく見ると両端に2個見えるのみである。ふさ毛に隠れているようにも見えない。

大きさは、前翅長11ミリといったところであろうか。

種名は、ベニヘリコケガ。

言われてみれば、縁(ヘリ)の方が、紅というかオレンジ色になっているのが、よく分かる。

幼虫の食草は、種名の後半が示すように、地位類である。

生息分布の方は、国内は、北海道から屋久島辺りまで。海外の生息分布は、Miltochrista miniata (Forster, 1771) の学目を使うなら、寒帯を除くヨーロッパ全土からロシアの亜寒帯の平原を経て極東の日本の辺りまで続いている。動物地理学的な旧北区の亜寒帯/温帯ラインに生息しており、古い蛾なのが伺える。

ヤネホソバ? 成虫 Eilema fuscodorsalis (Matsumura, 1930)

ヤネホソバの成虫というものが、近隣で見かけるヒトリガ科コケガ亜科の蛾達のうち、どれなんだろうとの疑問を常々抱き続けて来ていた。

という事で、秋に限りなくヤネホソバの幼虫であろうと推測して捕まえていた幼虫を、あわよくば成虫に羽化する事を目論み、飼育していたのだが、最近、そのうちの1匹が運良く成虫に羽化してくれていた。

以下が、その羽化した個体である。

飼育下で貧栄養のまま蛹になった可能性も考えられるが、羽化して来た個体のサイズは、私が予想していたより、ずっと小さい。上の写真の個体で、体長で12ミリぐらいしかない。

あと、私が知りたかったのは、この蛾の下翅の色であるが、飛んでいる瞬間に目にする限り、上翅よりは、濃いが、物凄くハッキリとした黒や濃い灰色といったいった感じはしなかった。

という事で、自分の中では、一応、上の写真の個体が、ヤネホソバの成虫なのかなと結論付けたく思っている。

ところで、このヤネホソバの幼虫は、毒毛針を持っているという情報の真偽だが、ヤネホソバの幼虫の投稿の時には書けなかったが、後日、ヤネホソバの幼虫と考えられる幼虫を、人差し指の甲で触ってみたことがある。どうせ、意識できるような影響は起きないであろうと予想を立てていたのだが、触れてから一時間後ぐらいからは、明らかに、触れた指の甲の部分が薄らと赤くなり、同時に固くなり、痒みの症状が現れ始めた。物凄く痒くて、集中力を奪われるというまでは行かないものの、なんか虫に刺されて痒くなってしまったなと感じるような状況にはなった。そして、痒みは6時間ぐらい続き、その後は、自然と知らないうちに影響は収まっていった感じである。

最後に、ヤネホソバの幼虫の投稿でも触れたが、このヤネホソバの生息分布を以下に記しておく。

この蛾の生息分布の方は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布は、ちょっと辿り着けなかった。