モクメシャチホコ Cerura felina (Butler, 1877)

最近,近隣で見かけて写真に撮った蛾である。

大きさは、前翅長25ミリぐらい。

羽化から日が経つのか鱗粉や綿毛が殆どなくなり劣化が激しいが、辛うじて木目(杢)のようなものが見える。

この情報にプラスして、上翅の後端の背側に向けての切れ込み度や頭部の雰囲気等から、シャチホコガの仲間の気がしたので、シャチホコガの仲間を当たると,シャチホコガ科ウチキシャチホコ亜科に属するモクメシャチホコという蛾がヒットして来た。

羽化したての状態だと、もっとハッキリと翅の全面に渡って木目紋様が見え,胸部背面側や脚部も,モコモコの毛で覆われているはずである。

ちなみに、似た種に少し大きいオオモクメシャチホコという種がいるらしいが、本種モクメシャチホコの翅脈は写真でも分かるようにハッキリと橙色をしているが、オオモクメシャチホコの翅脈は、翅の表面色と同化して目立たないようである。

両種とも,幼虫の食草はヤナギの類である。上の写真の個体がいた付近には、西洋ヤナギ(ポプラ)が生えている場所がある。

本種モクメシャチホコの生息分布の方は、北海道と本州。海外の生息分布は、朝鮮半島。他には、樺太やロシア沿海州に、ロシアの内陸部でも確認されているようである。

一方の,オオモクメシャチホコの方は、国内は、北海道から九州まで。海外の生息分布は、朝鮮半島に中国の東部では確認されているようである。

ホソバシャチホコ 成虫  Fentonia ocypete (Bremer, 1861)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長で18ミリぐらいだった。

最初は、細めのシルエットが、ヤガ科のモクメキリガの仲間達辺りを連想させたが、直ぐにシャチホコガの仲間だと見抜けた。

そして、見た目の細いという第一印象通りに、種名も、ホソバシャチホコという種であることが分かった。

幼虫の食草は、ブナ科のコナラやクヌギ等である。

生息分布の方は、国内は北海道から九州の屋久島まで。対馬にも生息しているようである。そして、対馬に生息しているとなると、日本海を取り囲む形で、北海道の緯度辺りまで北上して生息している種が多くなるが、本種もそのパターンであり、朝鮮半島を経て、ロシア沿海州南部まで生息しているようである。ただ、台湾にも生息しているようである。南西諸島を飛ばして、高地のある台湾に分布しているパターンも、珍しい分布ではないと感じる。

ウスキシャチホコ 成虫 Mimopydna pallida (Butler, 1877)

二日前に、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長20ミリちょっとぐらいだったと思う。

翅端からはみ出した尾部や、肩毛の下に潜り込んだ頭部の形状から、直ぐにシャチホコガの仲間だとは分かるぐらいには成長している自分がいる。そして、いつも迷うのは、キシャチホコだろうかウスキシャチホコだろうか……どっちなのかという事だが、正直、これまでは、色合いだったり、紋様だったり、微妙な形状の差異だったりから、なんとか両種を見極めようとして来ていた。ただ、色も紋様も形状(形状に関しては、雌雄で少し差があるため、両種を違う性別で比べてしまうと、分かり難くなってしまう気がする)も、これでもかというぐらいバラツキがあり、なかなか自信を持って同定出来ない2種である。

しかし、ここに来て、前から情報としては知っていたが、ここを押さえれば、絶対に見分けられるというポイントを自分なりに掴んでしまった。それは、真上から写した写真を見た時の肩部の雰囲気(毛の流れ方)である。以下に、真上から写した写真を貼ってみる。

肩部の左右に後方の尾の方に流れる毛束が見て取れる。そして、真ん中に色が違う部位があるが、ここは逆に、頭部の方に毛は流れているのである。

これが、キシャチホコの場合は、肩の毛が全部、後方に流れているのである。この部位は、両種ともほぼ例外がない特徴と言いたいのだが……。

それでは、このウスキシャチホコの幼虫の食草は、イネ科のススキやササとの事である。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州まで。海外は、朝鮮半島、ロシア沿海州南部、サハリン(樺太)や択捉島との事である。ヒマラヤの南麓にもいるとの情報も見たが、有り得ない話では無い気はする。