この昆虫も、最近見かけて、写真に撮っていた。
その日の出会いは、半枯れの桜の木を眺めている時から始まる。何か虫でも居ないかなと近付いて見ていると、樹皮の間に顔を突っ込み何かをしている黒い甲虫が目に飛び込んで来た。
こうなったら、引っ張り出して、正体を確認させてもらいたくなり、引っ張り出した。
大きさは、体長で2センチをちょっと超えるぐらいではなかったであろうか。
そして、この虫は、何だっけの無言の凝視の時間が少しあった。暫くして、「あぁ、ユミアシゴミムシダマシかぁ。」と心の中で呟く自分が居たが、少し間があったのは、近隣で時々出会うユミアシゴミムシダマシにしては、小さめであったからであろう。
樹皮の下に顔を突っ込んで、モゾモゾやっていたから、さぞかし立派な顎で木の幹を掘っていたのかと見てみると、予想を反する貧弱さである。科は違うが、似たような黒いゴミムシ達の顎というか牙の機能性とは、違う方向である。
理由は、ゴミムシの仲間達と違って、植物質のキノコとかを主に食べているからであろう。同時に、動きのない餌を捕食していることから、敏捷性も少し衰えた可能性も無きにしもあらず。
このユミアシゴミムシダマシは、国内でも生息している地域によって、微妙な差異がある個体もいるようで、それぞれに学名が付いているみたいである。
最後に、こうした地表徘徊性の甲虫が飛べるのか否か(飛翔能力)に関してであるが、今回の個体はどうなのであろう?
飛べなそうな気はする。科は違うが、マイマイカブリなんかもそうだが、上翅が左右くっ付いている(くっ付いていても、下翅だけで飛べると思うが)ように見える種もいるし、上の個体も、上翅が左右にパカっと開きそうな気はしない。
そうなって来ると、上の写真の個体の尾部の方で下翅が見えているのは、現場でも気になっていた事であった。閉じようと思えば、上翅を綺麗に閉じれるのか、それとも空きっぱなしなのであろうか、空きっぱなしの場合は、その形質は遺伝するのであろうか。
今度、近隣でユミアシゴミムシダマシに出会った時の観察点というか宿題をいっぱいくれた出会いであった。