オイワケヒメシャク?  成虫 Idaea invalida invalida (Butler, 1879)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長8-9ミリで、とても小さなシャクガが来ているなみたいな印象を持った。

そして、このサイズで、この雰囲気のヒメシャク達は、紛らわしいのが多すぎて、正直、種を特定するのが簡単ではない。そして、簡単ではないことが、誤った種の同定を起こす可能性は大である。

では、上の写真の個体は、 何というヒメシャクかを考える時に、私が着目したのは、亜外縁線の黒点の列である。ここが、他の類似種とは違い、翅脈に沿っているのか、縦に微妙に伸びている点である。大概は、亜外縁線を形作るように横に伸びる種が多いのである。

そして、外横線と翅脈が交わる箇所が、ところどころ、微妙に濃い点に見える気がする。

これらの特徴と、全体的な雰囲気から選び出すと、オイワケヒメシャクという種がかなりの有力候補だと感じた。オイワケヒメシャクの平均サイズとも、上の写真の個体のサイズは一致する。

幼虫の食草は知られていないようである。

生息分布の方は、国内は、本州以南……屋久島辺りまで。海外の生息分布は、ちょっと分からなかった。

追伸: 枯葉育ちのウスキヒメシャクという種も、凄く似ている事を確認したので、ウスキヒメシャクの可能性もないか、今後、こうした似た雰囲気の極小のヒメシャク達の観察は続けて行きたく思う。

ウンモンオオシロヒメシャク 成虫 Somatina indicataria morata (Prout, 1938)3rd 2化目 or 3化目?

最近、近隣でこの蛾の写真を撮っていた。

大きさは、前翅長14ミリぐらいだった。

見覚えのある蛾なので、過去の投稿を振り返ったら、昨年は、5月21日に、一昨年は、7月9日(目撃場所:我家)に投稿しているのを確認した。

この出現のインターバルを考慮すると、年に2回か3回は、羽化している蛾だと分かる。

ちなみに、幼虫の食草は、スイカズラ科のスイカズラやヒョウタンボクとの事だが、近隣では、スイカズラが有力だと思われる。

この蛾の生息分布の方は、国内は、北海道から九州近海の屋久島辺りまで。海外の生息分布は、この蛾の学名ではヒットしてこなかったが、おそらく近縁の亜種が、近隣国には生息していると思われる。

多くの方の紹介で、平地から低山地、山地まで見られる蛾という件が多かったが、これもこの蛾の寒さへの順応の歴史を物語っている気がする。

キオビベニヒメシャク 成虫 雌雄の見分け方 Idaea impexa impexa (Butler, 1879) 3

数日前に、我家の外灯下にキオビベニヒメシャクが複数匹訪れていた。

近隣で馴染みの種なので、いつものルーティンで何気なく写真を撮っただけだったが、撮った写真を見返しながら、色合いに個体差があるなという感想は抱いた。

そして、更に少し目を凝らして写真を眺めていると、撮った写真の個体達の色合いが違うだけでなく、触角の形状が違うことに気が付いた。

要は、触角の形状に関しては、櫛髭状と糸棒状の差があるということである。

では、触角が櫛髭状の個体の写真から。

触角が櫛髭状なのは確認出来て、色合いは、上のような感じで、キオビベニヒメシャクのキ(黄)の部分は、人それぞれの主観で許容範囲としても、ベニ(紅)の部分は、紅というよりは、茶色っぽく見える。

次に、触覚が糸棒状の個体の写真を以下に。

こちらは、触角が糸棒状であり、色合いは、下地が上の写真の個体より黄色っぽく見えて、帯の部分も、より紅色がかっている気がする。

以上のような比較から、触角の形状の違いで、キオビベニヒメシャクは、雌雄が見分けられる事を掴んだ。更に、色合いの違いも雌雄差と連動していないかと類推したいが、その類推をするには、まだ比較の回数が少ないとも感じている。(光源の当て方によって、蛾の色合いは随分変わるし……。)

今後も、キオビベニヒメシャクに出会った時には、色合いに意識して、観察を続けて行きたく思う。