ジムグリ? Euprepiophis conspicillata (Boie, 1826)

つい最近,近隣で見かけたヘビである。

少し薄暗い場所のアスファルトの道路上を横切っているのに気が付き、直ぐに写真を撮ろうと追いかけたのだが、竹藪の倒木の中に逃げ込んでしまった。

逃げたあたりの竹の倒木を慎重に退けたところ,なんとか写真に撮れたのが以下の写真である。残念ながら、頭部を探して竹の枯葉を退け始めると,枯葉の下の土中へとスルスルと消えてしまったのである。

本個体は、道路上を横断している際の目測だと,80センチぐらいだったと思う。

さて、今回,ヘビを追いかけてまで写真に撮ろうと思ったのは、このヘビの体色に理由があった。薄い赤系の地色が気になったのである。当初から、もしかしてジムグリではないかなとの予感がしていたのであった。

近隣で見かける蛇は、最近は圧倒的にアオダイショウが多くなったが、時々シマヘビにも出会える。あとは、林縁の石や倒木を退けると,ヒバカリにも出会える。そして、ごく稀には、シロマダラ。が、こんなに薄い赤系で無地に近い紋様をしている蛇って何であろうとなるのである。アオダイショウのこのサイズだと、鎖状の紋様が見え、やっぱりもっとダークな色合いである。シマヘビのこのサイズだと、黒く太い縦縞が見える個体が殆どでである。ヒバカリは、黒が強くて、もっと小さいく、こんなに肌感が艶だっていない。

そうすると,1番雰囲気が似ているのは、やはりジムグリかなと思いたい。

ところで、このジムグリの生息分布は、知られているところでは、日本国内に限定されるようである。(国後島からの報告が載っているサイトも見た。)では、北海道から九州までのメインランド以外の島嶼はと言うと、主要なものでは、伊豆諸島、隠岐、五島列島、種子島、屋久島であった。対馬と言及しているサイトは一見しただけでは、なかった気がする。ここで、気になるのは、南方系の蛇ではないのは分かるが、その生息分布である。本当に,対馬や朝鮮半島やロシア沿海州南部には居ないのであろうかという疑問である。似た亜種みたいなものも居ないのであろうかという疑問である。

もし居ないとしたら、どの蛇から進化して来た種なんだろうとの好奇心が湧く。

ところで、このジムグリの習性として、モグラやヒミズや、他にも土中で暮らす地ネズミの類を彼らの巣穴に入り捕食することがあげられる。この行動から、地潜りが訛ってジムグリの名前が付いたようである。

この見かけた日も、姿を消した場所の周りの竹の落ち葉を退けてみたのだが、再発見することは出来なかった。竹の落ち葉の下を擦り抜けている気配も感じ取ることが出来なかった。もしかしたら、土中に潜り込んで行ったのかもしれない。

最後に、このヘビは可愛くって、我家の庭に居て欲しいなって思った。理由は、このヘビの好む土中性の小型哺乳類を減らしてくれればなとの期待があるのかもしれない。モグラは、毎年,芝エリアの地中を動き回り,芝エリアを凸凹にするし,ヒミズも、相当な数が我家の庭に暮らしていると思われ、細い坑道も塵も積もればなんとやらである。

あと,上の写真のヘビをジムグリとすると,ジムグリは比較的珍しいヘビになって来ているらしく、都道府県が独自に定めるレッドデータにおいて、絶滅危惧Ⅰ類に指定しているのが、千葉県、絶滅危惧Ⅱ類に指定しているのが東京都、準絶滅危惧種に指定しているのが、福島県、埼玉県、奈良県,徳島県、島根県、福岡県、大分県である。他にも幾つかの県で、要注目種のような括りで扱われているようである。

ツマグロスジハゼ? Acentrogobius sp. A 千葉県袖ヶ浦市

先週末、野暮用で千葉県袖ヶ浦市近辺で時間を潰す必要性があった。

久しぶりに、運河でハゼ釣りでもしながらのんびりと時間を過ごしてみようと思い,ジャリメを購入して、いざ実釣。

この時期にしては、大きめに成長しているマハぜが結構釣れたが、1匹だけいわゆるダボハゼが釣れて来た。

果たして、種名は?

大きさは、6センチぐらい。(この種の最大サイズぐらいらしい。)

調べてみたところ,ツマグロスジハゼというらしい。

元々は、スジハゼとして親しまれていたが、その後、どうも外見が少しづつ違うということで、スジハゼA、スジハゼB、スジハゼCとして区別されていた時代もあったらしい。そして、その3種が、2013年に,スジハゼBが、スジハゼAcentrogobiusvirgatulus (Jordan and Snyder, 1901)、スジハゼCが、モヨウハゼAcentrogobiuspflaumii (Bleeker, 1853)、スジハゼAが、本種ツマグロスジハゼAcentrogobius sp. A にといった具合に、和名が振り分けられたようである。

違いとしては、鰭の紋様等の細かい点があるが、体側にある数本の縞の雰囲気で、自分は見分けれると思った。体側の縞が4本で、一番腹側の縞が太く,顔の方に2本の縞模様がハッキリ見て取れるのも,本種ツマグロスジハゼの特徴のような気がする。

さて、生息分布は、その3種共に、比較的南方系なのは掴めるのだが、その中でも本種ツマグロスジハゼが一番,暖かい水温を好んでいるように、ネット上の情報からは読み取れた。地球温暖化で、目下日本を北上中の種なのかもしれない。

一応,高知県と徳島県が、準絶滅危惧種に指定しているようである。

ヒミズ Urotrichus talpoides (Temminck, 1841)

珍しく哺乳類の投稿である。

数日前に我家のコンクリートの駐車エリア上で息絶えていた。一瞬、モグラと思ったが、あまりにも小さい。

腹側から写した写真をもう一枚。

大きさは、尾長を入れないで、60ミリぐらいしかなかった。

種名は、おそらくヒミズ(日見不)と思われる。近似種にヒメヒミズというのが居るらしいが、ヒメヒミズは、もっと標高の高いところに生息しているとのことである。

ヒミズの平均サイズが、90-110ミリぐらいであり、今回の個体は、ヒミズにしては小さいが、幼体の可能性もあるだろうし、尾の太さや毛の色合いや生息環境を考慮すると、ヒミズの方であろうと思いたい。

前々から、モグラとは違うが、モグラのような生態を持った哺乳類が、我家の庭には生息している予感はしていた。根拠は、庭に無造作に置いた木の板やブロック等を退けると、その退けた後に、明らかに小型のモグラが使っていそうな細い通路が見られることがあったからである。また、そんな半地中みたいな浅過ぎるところに通路が作られている事と、その近辺に、明らかにその小動物が出入りしていそうな穴が、時々、草むしりの際に目に留まることもあったからである。私は、てっきりモグラの放棄した坑道を利用しながら、地ネズミの類が住み着いているのかもしれないとの仮説は持っていた。

そして、今回、その地中生活をしている小動物の一つがヒミズだと確信できたわけである。

ただ、地ネズミの類も生息していないとは言い切れない。地元では、時々、地べたの障害物を退けると、穴に潜り込んでいく小動物に出会うことがあるが、物凄い速いのもいれば、目に焼き付く残像が、ヒミズのような黒ではなく、もうちょっと明るい色の小動物も見るからである。

今回、我家の庭で息絶えていたヒミズは、死んでから間もない個体だったと連想する。と言うのも、1、2時間前にその場所を通った時には、その個体はその場所には無かったように記憶しているからである。

きっと、移動の途中で、ヒミズからすると想像以上に温度の高かったコンクリートの上で息絶えてしまったのかなとも想像する。

では、このヒミズは、いつ頃から我家の庭に住み着いていたのかと推測するに、我家がこの土地を購入する以前は、棲息していなかったのではと思いたい。理由は、元々は、除草剤を撒いて管理されていたような草原の空き地であり、土は固く詰まったガチガチの土壌であった。その後、樹木を植え、その落ち葉も積もり、みるみる土壌が改良されて、フカフカの土に戻っていったのを覚えている。また、私が、落ち葉をそのままに放置するタイプだったので、まさに落ち葉の下で半地下生活をしているようなヒミズには好環境だったんだと思われる。

しかし、昨年ぐらいから、庭の雑草管理の観点から、落ち葉を掻いて、ところどころ除草剤も撒くようになってしまったのである。そういった点では、ヒミズの好むような環境が減って来ていた矢先の出来事であった。

また、話は少し飛躍するが、昨年からオスの地域猫が庭を我が物顔で徘徊するようになっていた。ある日、窓越しに、その猫を眺めていると、不自然な場所の地面に、じっと長時間座り続ける光景が目に入って来た。いくら我家の庭が気に入ったとしても、不思議だと思い、猫の視線の先を注視すると、2メートルぐらい先の小さなモグラ塚が少し動いているのが見えた。この時は塚の主のモグラを猫が捕まえることはなかったが、この猫が、ヒミズが地表との出入りする小穴の近くで、待ち構えてヒミズを捕まえている可能性は大いにあるなとも推測している。

最後に、ヒミズの生息分布を記しておく。エッて思ったが、どうも国内固有種のようである。本州から九州まで分布しており、対馬や隠岐といった島嶼にも生息しているとのことである。なお、都道府県が独自に定めるレッドリストでは、千葉県が準絶滅危惧種に、東京都と鹿児島県が動向を気にしているような扱いの種に指定している。

一方、近似種のヒメヒミズ(Dymecodon pilirostris True, 1886)も、国内固有種のようであるが、明らかに1000メートル以上といったような亜高山帯で見られる種のようである。その傾向を知っているのかは分からないが、17もの都道府県が、上は絶滅危惧Ⅰ類を筆頭に、何らかのレッドリストの括りに登録している。(元々、標高の低かったり、気温が高めの都道府県には、それほど生息していない種の可能性もあるような気はする。)