エビガラスズメ 成虫 Agrius convolvuli (Linnaeus, 1758)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長40ミリちょっとぐらい。

種名は、調べたところ、エビガラスズメと判明。

既に投稿済みかを確認したところ、4年前の10月の頭に幼虫の投稿はしている事が分かったが、成虫の写真を撮ったのは、今回が初めてだとも分かった。

ここで、早速疑問が生まれたのだが、10月の頭に幼虫だったものが、1ヶ月も経たない11月の頭には蛹を経て、こんなに大きな成虫になるとは思えないので、一体どういうライフサイクルを送っているの蛾なのか気になり始めた。(ただ、温度条件が分からないが、実験だと最短一ヶ月で孵化から成虫までのサイクルが記録されているようである。)

大概のエビガラスズメを紹介するサイトでは、成虫が5月-11月の間に見れるとの記載があるが、この5月ぐらいに成虫が見始めれるということは、この蛾が基本的に成虫で越冬していないということかもしれない。もし、成虫で越冬していれば、早春の暖かい日には目撃されている可能性があるからである。蛹の状態で土中とかで越冬して、5月ぐらいに羽化して来ていると推測出来る。

この5月、6月に羽化してきた成虫が、11月まで生きているかというと、これも、どうなんであろうと思ってしまう。ここから、年2回羽化していると考えたいが、ネット上のエビガラスズメを紹介するサイトで気が付くことは、目撃記録の多くが晩夏から晩秋に集中していることである。この目撃頻度のバランスは、とても気になるところである。

単純に、越冬蛹より、夏蛹の方が生存率が高いのかなとの仮説を立てたくなるのだが、真相は、自分では分からないし、現段階では調べていない。

こうなって来ると、一体、どういう気候を好んでいる蛾なのかと言うと、生物(動物)地理学的に、新北区(北米大陸)と新熱帯区(南米大陸)には生息していないものの、他の旧北区のユーラシ大陸にはヨーロッパから極東アジアまで生息しており、エチオピア区と呼ばれるアフリカ大陸にも生息しており、ヒマラヤ山脈以南の東洋区と呼ばれる東南アジアにも生息しており、オセアニア区と呼ばれるオーストラリアやニュージーランドにも生息している。ただ、それらの区の全土に平均的に散らばっているわけではなく、なんとなく、人類の人口密度の多い地帯からの報告が多い気がする。これが意味することは慎重に考えなければならないが、人類の食物となる作物と共生していることも否めないと思う。

ちなみに、エビガラスズメの幼虫の食草は、ナス科の植物やマメ科やブドウ科の植物であり、サツマイモの葉を食べたり、ヒルガオの葉を食べたりしていることがよく知られている。私が、4年前に幼虫を目撃した時には、ナス科のマルバルコウソウという外来植物を食べていた。

最後に、エビガラスズメの生息分布は、国内は、北海道から南西諸島まで。海外は、北米大陸と南米大陸に居ないのが不思議なぐらいで、他の大陸のナス科の作物を作っていそうなエリアには必ず生息しているような勢いである。

アメリカシロヒトリ 幼虫 Hyphantria cunea (Drury, 1773)

近隣のとある場所で、アメリカシロヒトリの成虫をごくたまに見かける場所がある。

そして、その地点から数百メートル圏内の桑の木で、何かしらの種類のヒトリガ科の蛾の幼虫を見かけたのだが、何というかヒトリガの幼虫なのか分からないでいた。(目撃したのは、本年の9月末)

もしかして、アメリカシロヒトリの幼虫ではないかとの勘が働いたが、その勘は正解だったようである。

上の写真の個体で4センチぐらいあったと思う。

よくアメリカシロヒトリの幼虫達が、桜の木の葉を丸坊主にするといったようなイメージがあるが、この桑の木には、確認出来る限りで4,5匹の幼虫が点在していた。しかし、蛹になるまでに、このクワの木の葉を丸裸にするとは思えなかったし、現在もこの桑の木の葉は大部分が残っている。

この場所のアメリカシロヒトリのライフサイクルも、普通にこの場所の生態系の一部に溶け込んでいるように見える。

アメリカシロヒトリの習性や分布に関しては、過去にアメリカシロヒトリの成虫の投稿の中で紹介しているので、興味がある方は、そちらを参照して頂きたい。

また、アメリカシロヒトリは、特定外来生物や生態系被害防止に係る法律の対策種にも選ばれていない。

ユウマダラエダシャク 秋型 Abraxas miranda miranda Butler, 1878

数日前に、我家の庭で見かけた蛾である。

直ぐに、ユウマダラエダシャクであろうと思ったが、一応、調べて見たところ、やはりユウマダラエダシャクで間違いなさそうである。

大きさは、前翅長23ミリぐらいだった。

過去にも投稿済みのユウマダラエダシャクを再投稿してみようと思った理由は、10月の半ばにも、まだ成体(今シーズン2化目の個体だと思われる)が確認出来たと言う証と、春型と秋型とで何か外見的違いがあるのであろうかという点からである。

この外見的特徴の差異に関しては、私が気付けるのは、秋のユウマダラエダシャクの方は、若干小さいかなと感じるぐらいである。

このユウマダラエダシャクの幼虫の食草は、ニシキギ科のマサキやマユミ等とのことであるが、我が家の生垣にマサキが長い距離使われている場所がある。嫌でも視界に入って来る生垣なのだが、未だユウマダラエダシャクの幼虫を、その生垣で目にしたことはない。

ユウマダラエダシャクの生息分布は、国内は、北海道から九州を経て屋久島辺りまでいるようである。(沖縄本島含む南西諸島にも生息しているかは、目下、私なりに、情報を整理検討中である。)海外の分布は、韓国からの報告が上がっている。

ちなみに、ヒメマダラエダシャク(Abraxas niphonibia Wehrli, 1935)という少し小さくて酷似した外見の種がいるが、我が家の庭では、ユウマダラエダシャクと、このヒメマダラエダシャクが、同時期に混生しているようである。ヒメマダラエダシャクの方の生息分布は、国内は、北海道から九州を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布は、朝鮮半島を経て、ロシア沿海州南部まで。

個人的には、この2種の生息分布が被りすぎているところに興味が湧く。