ミツバアケビ

先程、キヅタの投稿をした際に、同じような身近な自然に馴染の蔦植物に、ノフジとアケビが有ると書いたが、去年の秋に、家の裏の林の中で撮った写真にミツバアケビのものが有ったのを思い出したので、ミツバアケビの投稿をしておく事にする。

近隣の市町村の雑木林でも、このミツバアケビは、比較的よく目に付く。しかし、では、実が生ってたり、実が近くに落ちているかというと、そうでも無い気がする。

雌雄同株で雌雄異花のこの植物は、うまい具合に雄しべの花粉が雌しべに到達しないと実は出来ないと思うが、受粉を媒介するもの(虫等の有無)が原因になっているのかもしれない。

このミツバアケビは身近な森で比較的目にする気がするが、似た種のアケビよりは生育環境に幅が有り、この辺が身近に見かける事が出来る原因なのではないであろうか。

この日、近くに、実も落ちていたので、その写真も以下にアップしておく。因みに、アケビの実は、もっと細長いらしい。

上の2枚の写真が撮られたのは、11月3日となっているが、これらの実は、その年のものが、何らかの原因で熟した後に落下した跡と思われる。中に、それほど種子が含まれていないのが見てとれることからも、中にあったはずの多数の種子を含むゼリー部分は、鳥類や哺乳類の重要な餌になっているのではと類推したい。

さて、このアケビを、極たまに、食してみようと思う事があるが、甘いゼリー部も種ばかりで、また外側の厚い皮の部分も工夫して調理するまでには至らず、繰り返し食べようとの気にさせてくれる食としての魅力は、現時点では、個人的には備えてくれていない。

ただ、無数の種は秋田地方では、油の原料として利用されており、また蔦は、弾力と強靭さを備え持っているらしく、籠編みの最高の材料となるらしい。また、茎は漢方の世界の名では木通と呼ばれていて、利尿効果や抗炎症や通乳成分があると言われている。

身近にあるとても魅力的な有用植物の気がするが、有効に活用しようとしている人など、身近にもはや居ない気はする。

アケビの蔦で編んだ籠とか、物凄くクールに感じるんだが……

キヅタ

この常緑の蔦植物を初めて身近に意識したのは、近所の親族の家の裏庭であった。裏庭の掃除をしてあげていた時に、杏の木にがっしりとへばり付きながら登るかなり厄介な植物との印象を持ったのがスタートだと思う。そんなに遠い昔の事ではなく、12、3年前の事かと思う。

当時は、この常緑の蔦植物が、園芸で植えたものが逸出したのか、自然なものなのか分からなかった。ただ、ここ最近、近所の林縁を眺めている時に、広範囲に渡って所々で目にするに至って、古来より自然に生えている植物なんだろうとの結論に至った。

つい最近も、近所の針葉樹にへばり付くキヅタ(フユヅタ)を目にし、写真に収めていたので、その写真を以下にアップしてみる。

1枚目は、葉が幾つかに分かれている写真である。続いて、葉が幾つかに分かれずに、菱形のものの写真を以下にアップしてみる。

2枚目のものは、熟し始めた黒紫の実も見てとれる。キヅタの花期は、10月〜12月との事である。

私は、このキヅタの写真を撮りながら、葉の形に変異がある事に気が付き、この違いに興味を抱いたのだが、ネット上で、簡単にその違いを説明している文章を見つける事が出来た。どうも、若い幼い茎から分岐した葉は分裂するようで、老齢した旧い枝から出た葉は分裂せずに菱形のような形になるとの事である。また、そうした菱形の葉が付く蔦茎に花が咲き実ができるようである。

キヅタの名の由来は、冬に葉を落とす蔦植物のような草っぽい細い蔦ではなく木のような太い蔦を育むまで成長出来るところから、木蔦(キヅタ)となったらしい。以下に、その太い蔦が写っている写真を載せてみる事にする。

何本もの蔦が上へと昇っているが、真ん中右寄りに昇る無数の針のような気根が目立つ太い枝も老齢キヅタの蔦というか幹である。そして、ここで注目して欲しいのは、蔦が木の周りを回転しながら昇るのではなく、比較的真っ直ぐと昇っている事である。この特性のために、キヅタは、同じように身近に見かけるノフジやアケビ(ミツバアケビ)と異なり、巻き付く木を締め付け殺してしまうことも無いようである。実際のところ、木が巻き付かれた圧力で死ぬとは思えないが……潰され変形しながら生き抜きそうな気はするが。

また上の写真から見てとれる無数の針のような気根は、木にへばり付くためだけのものであり、親木の栄養を吸収したりはしていないとの事である。

さてさて、このキヅタが木に登る性質を持っているのは、光合成を効率よくする為と言われている。確かに、陽陰どんな環境でも育つと言われるキヅタが開けた明るい場所で見かけない気がするのは、自然環境下では他の少し背の高い草に埋もれて光合成があまり出来なくなるからではないかと想像できる。ゆえに、上の写真のような針葉樹林の林縁や、冬に葉を落とす紅葉樹の林内に、それらの木と共存しながら生きている気がする。ゆえに、私の中では、キヅタは、少し暗い日陰に生えてる蔦植物のイメージがある。

また、古来より、このキヅタが、ずっと生息して来ているなら、辺りの木は全てキヅタに占拠されてそうな気もするが、そうはなっていない。この辺のバランスを管理しているのが、何に依るものなのか、とても興味が湧く。

ヤマアカガエル

今週水曜日、1月15日の晩、床に就こうと横になった私の耳元に、大きなサッシ越しに、なんとも奇妙な鳴き声が聞こえて来る。時間は、22時。

一瞬、このとても寒い時期に、盛りの付いた猫が奇天烈な声で鳴いてるのかと思いがちだが、私は、この泣き声の主を知っていた。(去年、突き止めていた。)

答えから言うと、アカガエル(ニホンアカガエルもしくはヤマアカガエル)だ。アカガエルの類が、ほとんどの種のカエルがまだ冬眠中のとても寒い時期に産卵行動を始めるのは知っていたが、1月15日というまさに真冬に産卵行動を取っている現場に自宅で出くわせたのは、幸運な気がした。

昨年は、3月8日辺り、3月にしては、少し冷たい雨がシトシトと降った日の晩に、この鳴き声を家の中から初めて聞いた。もしやとピンと来て、その鳴き声がする先の庭のタライに懐中電灯を片手に近寄ると数匹のアカガエルが、ポカーンと浮かんでいた。翌日の朝には、カエルは居なくなっており、卵塊だけが産み落とされていた。昨年の3月の日も雨のシトシト降る日の晩だったが、本年今回の1月15日も、1月にしては気温は高めであったが、日中、霧雨のような雨がシトシト降っていた日の晩であった。

ここで気になってきたのは、鳴き声の主は、ニホンアカガエルなのかヤマアカガエルなのか、どちらなのであろうということであったが、先程ネット上で見つけた音声のデータを聴き比べたところ、ヤマアカガエルの方ではないかなと感じた。

実際、我家の庭では、年に1回か2回、アカガエルの生体を目撃するチャンスに恵まれるが、昨年も10月13日に庭掃除の際に少し常に湿ったような環境から飛び出してきた個体を写真に収めていた。その時に撮った写真が以下のものである。

ニホンアカガエルとヤマアカガエルの違いは幾つかあるが、眼の後ろから始まる背側線が、真っ直ぐに見えるのはニホンアカガエルと言われている。またアカガエルの方が色素が薄く明るい色の個体が多いと言われている。また、ヤマアカガエルの特徴としては、後脚の黒帯がアカガエルよりクッキリしているとか、喉のところに全面にマダラ模様が存在するとかがある。

こうした特徴から上の写真を分析すると、上の個体は、背側線も波打っているし、後脚の黒帯文様もクッキリ鮮明だし、体色も濃い目のような気がして、ヤマアカガエルだと思う。

因みに、今度はニホンアカガエルと思われる写真を2枚以下にアップしてみる。

上の写真は、ほぼ2年前の2017年の12月24日に撮られている。この個体は、北浦湖畔で捕まえたものであり、この写真を撮った後に、我家の庭に逃した。

上の写真は、2014年の9月23日に撮られている。撮影場所は、我家の庭。

さてさて、こうした我家の庭にいるアカガエル達だが、元々庭にいたわけではなく、この地に引っ越してきた後に、近隣の市町村で見つけた卵塊やオタマジャクシを少し持ち帰って来て、タライに入れておいたものが成長したものである。所謂、我家限定の移入種である。ただ、帰巣本能みたいなものが強いのか、その後の年のアカガエルの定着率・産卵確率は高い気がする。

勿論、隣の市町村で卵塊を見つけれる場所が有るなら、同じような条件が揃う私の暮らす地区の里山でも、アカガエルの卵塊を見つけれる場所が有るであろうと、ここ数年は3月の頭のまだ肌寒い日も多い休日に、近所の里山の目星を付けている場所を、幾つか散策するのだが、一度も目にしたことはない。

多分、生息しているとは思うのだが………


2020年1月18日追記

本日は、朝からシトシトと雨が降る日だった。アカガエルが産卵行動を起こしそうな予感を感じる日だったが、予感的中。夜10時を回った頃、家の外から、ヤマアカガエルの雄のクルクル、クルクルという雌を誘う声が聞こえてくる。しかし、数日前と違うのは、鳴き声が、虚しく延々と続くことはない。今晩は、娘と一緒に耳を凝らして聴くのだが、鳴き声より無音の時間の方が長い。そして、泣き声も、前回よりか細い気がする。そのうち、クルクル、クルクルという鳴き声と明らかに違うニュニューみたいな鳴き声が一回だけ聞こえた。もしかして、メスの声等と想像を膨らませていたが、それを境に鳴き声は一切聞こえなくなった。

そして、本日は睡魔にも襲われていなかったので、ダウンジャケットを羽織り、庭の鳴き声が聞こえて来ていた睡蓮鉢を覗きに行くことにした。すると、焦げ茶の小さなカエルが目に付いた。しかし、眼を凝らすと、その下に5倍以上の大きさに見える色の薄い大きなカエルも居るではないか。まさに交尾中のような感じで二匹のお尻の方には、まだ崩れてない卵塊が球形に産み落とされていた。

しかし、印象的なのは、雌の大きさだった。大型とまでは行かないが中大型のヒキガエルといった大きさである。

今回産み落とされた卵塊の形や状態、また、育ったオタマジャクシを観察することによって、今回の卵塊の親が、ヤマアカガエルなのかニホンアカガエルなのかも突き止めてみようと思う。(あまりに寒い時期の産卵だと、過去に孵化しない卵塊も見ているので、室内に取り込もうか検討中である。)