ヘラクヌギカメムシ? 福島県安達太良山 標高1000メートル Urostylis annulicornisScott, 1874

先週末、福島県へと紅葉を見に行った際に見かけたカメムシである。

大きさは、体長11ミリといったところであったであろうか。

外気温は、10度は越えておらず、この日、昆虫を見かけた記憶がない中、このカメムシだけが唯一見かけた昆虫かもしれない。

早速、何というカメムシなのか調べ始めたところ、クヌギカメムシのどれかだというところまでは直ぐに行き着けた。では、何というクヌギカメムシなのかという事だが、クヌギカメムシ自体は、近隣の雑木林にもいる春に時々見かけれるカメムシである。ただ、今回は、標高1000メートルといったずいぶん気温が低い場所で見かけているのと、脚の赤さが特徴の種類だと思った。

果たして、標高30メートル前後にある我家の近くで見る事が出来るクヌギカメムシと同種なのであろうか?………ということで、更に調べを進めてみた。

すると、寒い場所にいるのは、ヘラクヌギカメムシとサジクヌギカメムシの2種であり、単なるクヌギカメムシは、本来西日本に生息している暖地系のクヌギカメムシだと分かった。この事から、我家の近辺の雑木林で見ることが出来るクヌギカメムシは、種名の頭に何も付かない単なるクヌギカメムシの可能性が大だと思うようになった。自分の投稿で、そのカメムシをヘラクヌギカメムシ?と投稿しているのを確認したので、そのうち加筆修正しておこうと思う。

ところで、上の写真の個体との出会いで印象に残ったのは、11月の後半の気温が7度ぐらいの高地(標高1000メートル)で、葉っぱの上にいた事である。どうも、この理由は、このカメムシが、この時期に交尾活動をしているかららしい。そして、おそらく、産卵された卵が越冬して、成体は寿命を全うしているのではと推測する。

脚の赤さに関しては、秋が深まり寒くなると、赤くなるようで、夏場には緑色とのことである。ちなみに、平地の近隣で見かけるクヌギカメムシは、主に5月から7月ぐらいまでは見かける気がするが、脚が赤くなっている個体を見かけた記憶は、今のところない。ただ、過去に1月中に近隣の雑木林で見つけたクヌギカメムシ属の卵なる投稿をしているので、近隣の平地でも11月ぐらいまでは、交尾産卵のために生きているものと予測したい。

一応、クヌギカメムシと他のヘラクヌギカメムシやサジクヌギカメムシとの相違点として、幼虫時の色合いに赤い要素が入っているのは、クヌギカメムシであったり、クヌギカメムシの腹部の気門は、黒色だったりとの違いがあるようなので、来年、近隣の雑木林でクヌギカメムシを見かけた時には、確認してみようと思う。

一方で、ヘラクヌギカメムシとサジクヌギカメムシの相違は、生殖器の微妙な違い程度であり、住む環境も外見もとても類似した両種がどう進化したのかは、とても気になると事である。

最後に、上の写真の個体をヘラクヌギカメムシとして、生息分布を眺めてみると、国内は、北海道から九州まで。海外の生息分布は、朝鮮半島とロシア沿海州南部には生息しているものと思われる。参考までに、外見上も生活環境もそっくりなサジクヌギカメムシUrostylis striicornisの生息分布は、海外は、韓国からの生息報告が、ヘラクヌギカメムシほどではないもののあるようである。では、クヌギカメムシUrostylis westwoodii Scott, 1874はと言うと、国内は本州以南、九州までで…‥海外は、やはり韓国からの生息報告があるようである。ただ、何となく想像できるのは、ヘラクヌギカメムシとサジクヌギカメムシの2種は、寒さに順応した高地や冷地に見られる種達で、クヌギカメムシは北関東以南といったような温暖な地域で平地で見られる種なのではないかなとの予測は立つ気がする。

ウラギンシジミ 雌 Curetis acuta paracuta (Niceville, 1901)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていた蝶である。

大きさは、モンシロチョウを微妙に小さくしたぐらいである。

翅を閉じて止まっている瞬間を見ていたので、種名は直ぐにお馴染みのウラギンシジミだろうとの予測は付いた。しかし、翅を広げた時の、翅表の色彩パターンを見て、?となってしまった。見たことの無いパターンだったのである。

そして、ウラギンシジミの雌なのではとの予測の下で調べたところ、やはりウラギンシジミの雌であった。翅表が、焦茶地にオレンジの大きな斑が入るウラギンシジミのオス達は沢山見かけるけど、雌には滅多に出会えない印象を持った。

そして、この10月の終わりに見かけた個体達は、越冬して、翌年の春に産卵して、おそらく、5、6月に夏型の成虫が出現するんだと思われる。そして、その夏型達の産卵した卵から生まれたのが、今回写真に撮っているような秋型の個体達になるといったサイクルを持っていると思われる。

ちなみに、幼虫の食草は、マメ科のフジやクズの花ということである。今のところ、フジやクズの花にいる本種の幼虫は見たことがないし、葉にいる場面にも、私は出会したことはない。

生息分布の方は、暖地系の蝶ということで、関東(東北南部)以西………九州、四国……沖縄本島含む南西諸島まで。ところで、上のタイトルの学名は日本産亜種に対する学名であり、そっくりな蝶が、数種の亜種の学名をそれぞれ持ち、中国や台湾や、インドシナ半島やインドにも生息しているようである。

ハラグロオオテントウ Callicaria superba (Mulsant, 1853)

最近、近隣で見かけたかなり大きなテントウムシである。

テントウムシとしては凄く大きいし、ハムシの仲間の路線も視野に調べてみたが、やはりテントウムシであった。

大きさは、体長11-12ミリぐらいだった。大きいテントウムシとしては、カメノコテントウなんかも凄い大きなテントウムシであるが、似たようなサイズ感である。ただ、頭部を縮めた状態だと、私はカメノコテントウの方が大きいような記憶を持っている。

種名は、ハラグロオオテントウ。ハラグロ(腹黒)を表している写真を以下に。

さて、このハラグロオオテントウは、カメムシ目キミジラミ科のクワキジラミという極小のカメムシの仲間の幼虫を好むため、桑の木の付近にいるとのことである。確かに、この写真を撮った側には、桑の木はある。

また、紹介サイトの多くでは、6-7月に見られるテントウムシとして紹介されているが、今回、成虫が元気に動き回っていたのは、秋も深まる10月の後半のことである。

元々は西日本に生息する種のようだったが、近年の温暖化傾向により、分布域を北上させている種のようである。海外は、台湾からの生息報告が上がっているようである。2023年の秋には、私が暮らす茨城県の南部には生息していることを掴んだ。

意外だったのは、都道府県が独自に定めるレッドデータでは、純絶滅危惧種に指定しているのが、長野県、大阪府、和歌山県、熊本県、宮崎県……滋賀県と兵庫県も注目種に指定していることだった。少し珍しい種であることを知った。