ニセオレクギエダシャク  Protoboarmia faustinata (Warren, 1897) 茨城県と福島県の県境付近 標高600メートル近辺

茨城県と福島県の県境付近に、植物観察をするお気に入りの場所があり,先週末に出かけてみた。

観察中には、数種の昆虫にも出会ったが、本種もその一つ。

大きさに関してだが、この手のグレー系のエダシャクの仲間にしては小さいなというのが第一印象であった。開帳で30ミリぐらいであろうか?

種名は、おそらくニセオレクギエダシャクだと思う。

幼虫の食草は、杉や檜の枯葉や枯れ枝とのことである。

生息分布の方は、国内は、北は北海道から、南は対馬含む九州まで。海外は、樺太の南部やロシア沿海州南部からの生息報告を見てとった。

ここで、ピンと気たのは、食草が針葉樹の昆虫達と、北方系の起源との関連性である。今後は、この辺の傾向(規則性)も、昆虫達の生態を眺める上で、注目してみようと思う。

ところで、オレクギエダシャクという種もいるが、自分には本種と外見で類似しているようには、あまり見えない気がする。

カクムネベニボタル? Ponyalis quadricollis (Kiesenwetter, 1874) 茨城県と福島県の県境付近 標高600メートル

茨城県と福島県の県境付近に、植物観察をするお気に入りの場所があり,先週末に出かけてみた。

観察中には、数種の昆虫にも出会ったが、本種もその一つ。

指を離れ飛んで行く直前の写真をもう一枚。

大きさは、体長で12ミリ弱ぐらいだった。

種名は、カクムネベニボタルだと思う。ヒメカクムネベニボタルという種も紹介されているサイトも見かけたが、両種の違いをしっかりと納得の行くように説明してくれているサイトには出会えなかった気がするので、投稿の多かったカクムネベニボタルの種名を使ってみたく思った。

さて、このカクムネベニボタルというネーミングには思い出がある。身近な近所の昆虫達に関心を持ち始めた5年ほど前に、近所の里山で見かけた似たような赤褐色の上翅を持ち、立派な串髭状の触角を持つ甲虫を、カクムネベニボタルと紹介して投稿したことがある。しかし,その後、同じような特徴を持ち近所で見かけることが出来る虫に、アカハネムシの仲間達が居ることを知ったのであった。結果として、5年前の投稿は、種名をカクムネベニボタル改めアカハネムシの仲間に変更した思い出がある。

ただ、今回出会った本種は、カクムネベニボタルで合っていると思う。ちなみに,他にも本種と紛らわしい種がいて、それはニホンベニコメツキと言うらしいが、私はまだ出会った事がない。

このカクムネベニボタルの生息分布は、国内は、本州以南……九州までである。海外はちょっと分からなかったが、カクムネベニボタル属(Ponyalis Fairmaire, 1900)という属まで範囲を拡げると,国内でも暑そうな沖縄含む南西諸島にそれぞれの島に少し特化した亜種達が居ることが知られており,海外は、韓国や台湾からの報告がある。

アカガネアオハムシダマシ? Arthromacra decora (MARSEUL,1876)  福島県と茨城県県境付近 標高600メートル

茨城県と福島県の県境付近に、植物観察をするお気に入りの場所があり,先週末に出かけてみた。

観察中には、数種の昆虫にも出会ったが、本種もその一つ。

大きさは、体長10ミリぐらい。

近辺には、結構沢山居て、サイズ感にバラツキはないのだが、色合いは千差万別であったかもしれない。

他にも。

この甲虫の第一印象は、とにかく金属光沢が綺麗ということだった。とりわけ、緑色に見える個体達が綺麗に見えた。

カミキリムシにしては触角が短いし,腿が太めなのでカミキリモドキの仲間も考えたが、カミキリモドキ達の上翅はもっと角角していて筋もハッキリしているし。そうこうしているうちに、ハムシダマシの仲間に行き着いた。

そして、厄介な事に、似たような外見の仲間が18種もいる属に属する種と分かったのだが、生息域と外見的な特徴を照合して、アカガネアオハムシダマシなのではないかと思っている。

アカガネアオハムシダマシの生息分布は、国内は、本州福島県以南と九州北部と紹介しているサイトが多かった。ところで、世界の分布を調べようと思ったら、当然、日本の中でも18種に分類されているようなアオハムシダマシ属(Arthromacra Kirby, 1837)のそれぞれの種の分布情報など辿り着けなかったのだが、このアオハムシダマシ属(genus)の世界分布は掴むことができた。同時に,自分にはとても興味深い分布であった。要は日本や朝鮮半島や東アジアの一部に分布している一方で、北米大陸の合衆国東側に濃く生息しているのである。温帯極東アジアのこの属のものがアメリカに外来種としてもたらされたものなのか、元々遠い昔に枝分かれしていったものなのかは、今の私には分からない。