オオトビサシガメ? 幼体 Isyndus obscurus (Dallas, 1850)

最近、近隣で、この細長いカメムシというか、おそらくサシガメの幼体に出会い、写真に撮っていた。

体長12ミリぐらいだったと思う。

翅がないことから幼体であろうと推測したが、結構長い手脚も相まって、幼体にしては大きいなと感じる。

特徴としては、爪が一本なのと、触角の先の方が黒とオレンジのまだらになっているところであろうか。これらに、手脚の長さを含めた全体的な印象と合わせて眺めた時に、オオトビサシガメの幼体として紹介されている画像と一致して来るのである。

ところで、日本のサシガメの中では大きくなるらしいオオトビサシガメの成体を、まだ私は見たことがない。そして、興味深いのは、このオオトビサシガメが、クサギカメムシを餌によくしているという情報である。オオトビサシガメもクサギカメムシも、どちらも越冬すると思われるが、クサギカメムシの越冬場所に合わせて、オオトビサシガメも越冬していると思われる習性の報告も目にした。

確かに、今回、初めてこのオオトビサシガメと思しき昆虫を見かけた場所は、時期によってはクサギカメムシとツマキヘリカメムシが、大量に集中して集まってくる場所ではある。

最後に、このオオトビサシガメの生息分布は、国内は、本州以南……九州までとのことである。海外の生息分布は、韓国、台湾、その近辺の中国といったところであろうか。

本種が属するオオトビサシガメ属には、国内では本種一種しか属していないとのことである。

ヨコヅナサシガメ 脱皮直後

最近、巨大な赤いサシガメを目撃して、一瞬何だろうと考えてしまった。

ただ、傍には普通の黒いヨコヅナサシガメが付き添っている事から、赤いのもヨコヅナサシガメなのかなとは感じていた。ただ、大きさは、赤い方は、サシガメとしては半端なく大きく、黒い通常サイズのヨコヅナサシガメより全然大きく見える。

まさに、ヨコヅナサシガメの女王みたいなイメージである。

体長で2センチは超えそうな大きさである。

写真には写ってないが、木の皮にはサシガメの抜け殻みたいのが、沢山付着している。最初発見した時には、ちょうど頭のところに抜け殻を被っていて、現場では、全部、このサシガメが吸汁した後の死骸かとも思ったが、後で調べたところ、それらは、脱皮後の抜け殻であることが分かった。

それにしても、ちょっと大き過ぎるヨコヅナサシガメだと感じたが、脱皮直後で少しブヨブヨしているからと思いたい。きっと、時間の経過と共に、黒く変化する過程で、身体も引き締まるのかなと考えたい。そじゃなかったら、ヨコヅナサシガメとしても巨大過ぎる。また、どうやって、どれぐらいの時間で、体色が黒色に変わるのかも、知りたくてしょうがない。

最後に、近隣で、ヨコヅナサシガメの存在に気が付いたのは、私は昨年からである。目下、温暖化に伴い北上を続けている昆虫である。

今回、このヨコヅナサシガメがいた木は、ハリエンジュ(ニセアカシア)であったが、他に、ヨコヅナサシガメをよく見かける木は、クヌギだろうか。どちらの木にも共通しているのは、分厚く空気も含んでそうな樹皮をまとった木で、所々、樹皮と幹の間に隙間とかが生まれやすい木である。南方の昆虫であるヨコヅナサシガメ達は、冬場は、そうした天然のダウンジャケットの中に潜り込んで、冬を凌いでいるのが窺える。

もっとペラペラの樹皮の下で越冬している昆虫達も知っているので、ヨコヅナサシガメ達の寒さへの警戒感は、寒さへの弱さの現れとも深読みしたい。数10年に一度の大寒波とかで、グッと数を減らしてしまう昆虫なのかなとも思いたい。

ヨコヅナサシガメ 幼虫

仕事のお昼休みに散歩していたら、散歩道の枯れた木の洞の近くの幹肌に、数匹の昆虫の幼虫らしきものを発見。

遠目に、てんとう虫の幼虫にしては大きいなとは思っていたが、近づいてみて、サシガメの幼虫と分かった。そして、見たことない気がしたのと、その大きさが気になった。この辺りで見かけるサシガメの幼虫にしては、終齢と言えど大きいと思った。

その大きさと紋様に対する前知識から、外来種であるヨコヅナサシガメが臭いのではと推測してみたが、正しい推測であったみたいである。

ヨコヅナサシガメ……昭和初期には、外国からの荷物に紛れて来たのか、九州地方では確認されており、1990年代には、関東でも見かけるようになったとのことである。

現在のところ、関東以北では、それほど確認の報告が無いようである。

この事からも、南方系の外来種の気もするが、ヒロヘリアオイラガの天敵として知られており、実際にヒロヘリアオイラガの幼虫をかなり吸汁して減らすようである。

ヒロヘリアオイラガ自体も南の方から広まって来ている外来の蛾であり、葉の食害及び、刺されるとかなり痛い毒針を幼虫が持っている事から、ヒロヘリアオイラガの幼虫が減ることは、個人的に悪くないと思う。

さて、このヨコヅナサシガメは、6月7月に大きな木の洞に産卵し、幼虫は来春に向けて、集団でその洞の中で成長してゆくようである。本日、見かけた幼虫達も危険を察すると、洞の中や樹皮の間へと隠れていった。

サシガメ類を見ていると、蛾の幼虫に限らず、色々な昆虫を吸汁捕食している瞬間を目撃するが、サシガメがいるから他の小昆虫達が減ったり、逆にサシガメだけが沢山いるといったアンバランスを、近隣の自然下で感じたことはない。

ヨコヅナサシガメの確実な繁殖場所を見つけたので、今後、ちょっと時間がある時などに、このヨコヅナサシガメの生態や動向を観察して行ってみようと思う。