キツネノマゴ

秋に家から数十メートルのところにある空き地で見つけて写真に収めていた植物の事を投稿してみようと思う。

下の薄紫の小さな花を花穂に付けている植物である。

名前は、キツネノマゴ。日本には、キツネノマゴ科の植物は数種しか無いようだが、世界には暖かい地域を中心に、かなりの数のキツネノマゴ科の植物が生息しているようである。

ネット上で、キツネノマゴの事を検索してみても、それほど多くの特徴を紹介した記事に出くわさない。どの記事も、情報量少なく、同じ事が書かれているだけである。このことからも、それほど人の興味に触れて来ていない植物とも捉えたいが、極論過ぎるであろうか?

ネット上のキツネノマゴに関する記事で、共通して書かれていた事柄で、一番印象に残った事と言えば、名前の由来がハッキリと知られていないという事がある。狐や狸や動物の名前が植物の名前の冒頭につく事はよくある事なので、兎も角として、確かに、私も何でマゴ(漢字で書かれる時に、孫が充てられてる事が多かった)なのかは、一瞬では結び付けられない。

孫ではなく馬子の可能性は無いであろうか、馬子と同じ意味合いの駒の可能性はないであろうかなど、色々思いを巡らせるのだが、どうも当時の昔の人達が皆で頷いたであろうほどの名前誕生の仮説まで辿り着く事が出来なかった。

そして、キツネノマゴのマゴは、やはり孫なのかなと原点に帰った時に、私なりに考えて、この説明というか、この説なら、かろうじて当時の昔の人たちの間で浸透したのではと思うものは、この草本自体を、親と考え、次に成長して来る花序(花穂)が子供、そしてその後にその花序に出て来る小さな花が、孫に見立てられたのではという推測である。

真実や如何に?

シロノセンダングサ

昨年の秋に、家の周りを散策していた時に、この花の写真を撮っていたのを思い出した。

近隣でよく見かけていた植物であり、近縁の種も幾つかあるのだが、先ほど、シロノセンダングサであろうとの結論に至った。因みに、写真の中で、線香花火のようなシルエットに見えるものは、この植物の種子である。

さて、この植物も帰化植物であり、渡来は江戸末期と言われており、おそらく北米経由では無いかと思われる。現在の生態系被害防止外来種リストの中では、近縁のタチアワユキセンダングサは載っているけど、本種は載っていないのではと思う。

この植物と人間との関わりの中で、一番に挙げたいところは、その種子の持つ性質でないであろうか?所謂、ひっつき虫タイプの衣服にくっ付く厄介な種子である。種子が出来た季節に、野に出て遊ぶと、かなりズボンの下の方にびっしりと付着してくるのである。そして、量も結構多く、小さく取りづらいので、苦労するのである。ズボンに付いた種子を取っても、靴紐にもびっしり、もしかしたら、靴下にも付いている。

最初は、野遊びをして帰ってきた時に、玄関のポーチに座り、種を一つづつ摘むのではなくこそぎ落とす形でそのまま庭先に捨てていたが、最近は庭に生えてくるセンダングサの仲間が増えてきた気がするので、極力、室内で取り、取った種も確実にゴミ袋に捨てるようにはしている。

ただ、これも子供達に徹底しているわけではないので、気休めの防除ぐらいでしか無い。

唯一の救いは、この種子の発芽率が無秩序ではなく、植物の方でコントロールしてくれてる(どの植物も人間が軽視しているだけで、物凄い知能や共存の考えを持っているように感じる)ようにも思えるところである。

こうした植物の気持ちに気付かずに踏みにじるか、評価し手を取り合うか、あなた次第であるが、後者の方が、これからの人間の進むべき道の気はする。

カムルチー (つくば市中部)

古い写真を整理してたら、雷魚の稚魚を捕まえた時の写真が出て来たので、投稿する事にする。撮影年月日は、2013年9月27日となっている。もうかれこれ、7年近く前のことである。捕獲場所は、生態系の濃いお気に入りの水路。その水路にも、かれこれ7年近く行っていない事になる。

いわゆる、ライギョ(雷魚)と言われる魚だが、日本には、タイワンドジョウという南方系の比較的小型中型の種類とカムルチーというシベリア南部まで生息している1メートル以上の大型になる種類が生息している。

上のものが、どっちと言われたら、カムルチーの稚魚だと思う。理由は、3列(2列?)ある班紋様の横列のうちの一つの列の紋様が大きい事(タイワンドジョウは、その班紋様が、列に拘らず比較的均一な大きさである)と、あとは背鰭の条数の数である。偶然、この写真から背鰭の条数が数えやすかったので数えてみたところ、ざっと数えても50近くある。タイワンドジョウは、多くても44までぐらいである。

さて、このカムルチーという日本ぽくない名前の響きに違和感を覚えた人達も多いのではと思うが、この魚は記録では1923年に朝鮮から奈良県に持ち込まれたものが起源で、その後徐々に日本全国へと逸出していったと言われている。ゆえに、このカムルチーという名も朝鮮語なのかなと推測する。当初は、チョウセンナマズとも呼ばれていたらしい。

このカムルチーは、子供の時から雷魚として存在は知っていたが、そんなに身近に出会える魚では無かった。私が成人するまでに暮らした幾つかの地域では、福岡市内の野池や河川で比較的、目撃する事が出来たのを覚えている。ただ、すべての水域に均一に濃く生息していたわけでは無く、ブラックバスも住めるような水質の場所では、ブラックバスに駆逐され、自然と低酸素の劣悪な他の魚が住めないような池や沼だけで生き残っていったようにも思える。(雷魚は水中での鰓呼吸だけでなく、直接空気中の酸素を取り入れることも出来るため、溶存酸素の少ない水域にも生息出来る)ただ、酸素量の豊富そうな河川でも目撃出来たのも事実だった。

また、劣悪な環境でも生息出来る例としては、かれこれ30年近く前になるが、とても暑い夏の日に、東京は溜池山王辺りか、もしかすると桜田門辺りの皇居のお堀だったか、首都高が近くに見えたのは覚えているのだが、水面の睡蓮か蓮の葉の上に、1メートル近い雷魚が彼方此方に大挙横たわっている光景を見て唖然としたのを思い出した。夏場で水中の溶存酸素の量が減り、葉の上に上がり、空気中から直接酸素を取り入れていた姿だと思う。自然の中でもたまにしか出逢わなかった雷魚が、大都会の汚れた環境の中では大繁殖していたのであった。

そんなこんなの雷魚だが、2005年の外来生物法の施行に伴って、要注意外来生物に指定されていたのではと思うが、2015年に見直しが有り、現在は、生態系被害防止対策種にも選ばれていないのではと思う。ただ、都道府県によっては、雷魚の扱いに関して、独自の規制を設けている県が幾つかあるようである。

最後になったが、どの地元にも一つぐらいは、水草ばかりで富栄養に偏った水質で、雷魚ぐらいしか住めない雷魚(モンスター)の聖域となるような沼があった方が、釣り好きの子供たちの夢や好奇心は膨らむのではと思う。そういった観点からも、有識者たちが、慎重な観察・考察の結果、雷魚(カムルチーやタイワンドジョウ)を、外来生物法の対象から外した流れには、私は賛成である。