シロマダラ

写真の整理をしていたら、約6年前の写真に面白い蛇の写真を見つけた。撮影年月日は、2014年6月26日。撮影場所は、現在の我家の玄関先。

記憶が蘇ってきたのだが、梅雨の雨混じりの朝方、子供や妻から、「玄関に見たことない小さな縞紋様の蛇が死んでるから見てみて。」と言われ、どうせシマヘビの幼蛇だろうと思っていたのだが、見に行くと、どうも確かに見たことのない蛇だった。出勤前の慌ただしい時間帯だったので、写真だけは撮り、蛇の死骸は近くのコンクリートの上に移し、そそくさと会社へと出勤したのを憶えている。

撮っていた写真からシロマダラという蛇であることは突き止めていたが、帰宅後の夜に、もう一度写した写真が、上の一枚である。

さて、このシロマダラという蛇は、比較的見かけない蛇ということで、珍しい蛇の部類らしい。特徴としては、夜行性、餌はトカゲ類やより小さな蛇等の同じ小型の爬虫類。無毒だけど、捕まえると、果敢に噛み付いてきたりするらしい。夜行性。日本固有種。

自宅の庭では、懐中電灯を片手に夜に草抜きをしたりする事もあるが、我家の庭では、この一回きりしか遭遇したことはない。ただ、その後、一度だけ千葉県の九十九里浜に注ぐ小河川(海まで1キロ圏内)でウナギ釣りをしていた時に、付近の草むらをゆっくりと移動するシロマダラを目撃した事があるだけである。その時見たシロマダラも40センチぐらいのサイズで、細い印象の蛇だった。そして、シロと名前に入っているが、ベースとなる体色は、上の写真と同じように、ピンクグレーだったのを憶えている。

そして、夜行性ということで、なかなか人目につかない蛇であり、時に幻の蛇と言われたりしているようだが、実態は、殆ど知られていないようである。

餌は、トカゲや小型の蛇といった小型の爬虫類ということだが、それだけしか食べないのであろうか?

餌は、どれぐらいのスパンで食べるのであろうか?

夜行性に進化した理由は、どこに有るのであろうか?

どれぐらいの行動半径が有るのだろうか?

直ぐにこういった素朴な疑問が浮かんでくる。

因みに、元々現在の我家の土地に引っ越してきた時に、カナヘビが好みそうな条件が揃った土地であったが、カナヘビは本当に稀にしか出会えなかった。それゆえに、他の地で捕まえたカナヘビを移植しようと、7、8匹玄関近くに放した矢先に、シロマダラが玄関で死んでいた時系列は、はっきりと憶えている。

このシロマダラという蛇は、環境省のレッドデータには、何も登録されていないが、都道府県や自治体レベルでは、絶滅危惧や要注目や、何かしらの危急種に指定している自治体が多い。

ミツバアケビ

先程、キヅタの投稿をした際に、同じような身近な自然に馴染の蔦植物に、ノフジとアケビが有ると書いたが、去年の秋に、家の裏の林の中で撮った写真にミツバアケビのものが有ったのを思い出したので、ミツバアケビの投稿をしておく事にする。

近隣の市町村の雑木林でも、このミツバアケビは、比較的よく目に付く。しかし、では、実が生ってたり、実が近くに落ちているかというと、そうでも無い気がする。

雌雄同株で雌雄異花のこの植物は、うまい具合に雄しべの花粉が雌しべに到達しないと実は出来ないと思うが、受粉を媒介するもの(虫等の有無)が原因になっているのかもしれない。

このミツバアケビは身近な森で比較的目にする気がするが、似た種のアケビよりは生育環境に幅が有り、この辺が身近に見かける事が出来る原因なのではないであろうか。

この日、近くに、実も落ちていたので、その写真も以下にアップしておく。因みに、アケビの実は、もっと細長いらしい。

上の2枚の写真が撮られたのは、11月3日となっているが、これらの実は、その年のものが、何らかの原因で熟した後に落下した跡と思われる。中に、それほど種子が含まれていないのが見てとれることからも、中にあったはずの多数の種子を含むゼリー部分は、鳥類や哺乳類の重要な餌になっているのではと類推したい。

さて、このアケビを、極たまに、食してみようと思う事があるが、甘いゼリー部も種ばかりで、また外側の厚い皮の部分も工夫して調理するまでには至らず、繰り返し食べようとの気にさせてくれる食としての魅力は、現時点では、個人的には備えてくれていない。

ただ、無数の種は秋田地方では、油の原料として利用されており、また蔦は、弾力と強靭さを備え持っているらしく、籠編みの最高の材料となるらしい。また、茎は漢方の世界の名では木通と呼ばれていて、利尿効果や抗炎症や通乳成分があると言われている。

身近にあるとても魅力的な有用植物の気がするが、有効に活用しようとしている人など、身近にもはや居ない気はする。

アケビの蔦で編んだ籠とか、物凄くクールに感じるんだが……

キヅタ

この常緑の蔦植物を初めて身近に意識したのは、近所の親族の家の裏庭であった。裏庭の掃除をしてあげていた時に、杏の木にがっしりとへばり付きながら登るかなり厄介な植物との印象を持ったのがスタートだと思う。そんなに遠い昔の事ではなく、12、3年前の事かと思う。

当時は、この常緑の蔦植物が、園芸で植えたものが逸出したのか、自然なものなのか分からなかった。ただ、ここ最近、近所の林縁を眺めている時に、広範囲に渡って所々で目にするに至って、古来より自然に生えている植物なんだろうとの結論に至った。

つい最近も、近所の針葉樹にへばり付くキヅタ(フユヅタ)を目にし、写真に収めていたので、その写真を以下にアップしてみる。

1枚目は、葉が幾つかに分かれている写真である。続いて、葉が幾つかに分かれずに、菱形のものの写真を以下にアップしてみる。

2枚目のものは、熟し始めた黒紫の実も見てとれる。キヅタの花期は、10月〜12月との事である。

私は、このキヅタの写真を撮りながら、葉の形に変異がある事に気が付き、この違いに興味を抱いたのだが、ネット上で、簡単にその違いを説明している文章を見つける事が出来た。どうも、若い幼い茎から分岐した葉は分裂するようで、老齢した旧い枝から出た葉は分裂せずに菱形のような形になるとの事である。また、そうした菱形の葉が付く蔦茎に花が咲き実ができるようである。

キヅタの名の由来は、冬に葉を落とす蔦植物のような草っぽい細い蔦ではなく木のような太い蔦を育むまで成長出来るところから、木蔦(キヅタ)となったらしい。以下に、その太い蔦が写っている写真を載せてみる事にする。

何本もの蔦が上へと昇っているが、真ん中右寄りに昇る無数の針のような気根が目立つ太い枝も老齢キヅタの蔦というか幹である。そして、ここで注目して欲しいのは、蔦が木の周りを回転しながら昇るのではなく、比較的真っ直ぐと昇っている事である。この特性のために、キヅタは、同じように身近に見かけるノフジやアケビ(ミツバアケビ)と異なり、巻き付く木を締め付け殺してしまうことも無いようである。実際のところ、木が巻き付かれた圧力で死ぬとは思えないが……潰され変形しながら生き抜きそうな気はするが。

また上の写真から見てとれる無数の針のような気根は、木にへばり付くためだけのものであり、親木の栄養を吸収したりはしていないとの事である。

さてさて、このキヅタが木に登る性質を持っているのは、光合成を効率よくする為と言われている。確かに、陽陰どんな環境でも育つと言われるキヅタが開けた明るい場所で見かけない気がするのは、自然環境下では他の少し背の高い草に埋もれて光合成があまり出来なくなるからではないかと想像できる。ゆえに、上の写真のような針葉樹林の林縁や、冬に葉を落とす紅葉樹の林内に、それらの木と共存しながら生きている気がする。ゆえに、私の中では、キヅタは、少し暗い日陰に生えてる蔦植物のイメージがある。

また、古来より、このキヅタが、ずっと生息して来ているなら、辺りの木は全てキヅタに占拠されてそうな気もするが、そうはなっていない。この辺のバランスを管理しているのが、何に依るものなのか、とても興味が湧く。