ホンドタヌキ

昨日、お昼頃、帰宅時に、ちょうど家の玄関の脇を、見慣れない動物のシルエットが小走りに移動するのが目に留まった。ただ、その動物の正体を見抜くには、目撃場所は玄関から少し遠かった。

疾走するわけでもなく徘徊しているわけでもないその未知なる生き物(灰色で猫より少し大きくバサバサの長毛であった)の正体を突き止めようと、シルエットが消えた壁の向こうに回り、その生き物が進んだ方向を探すと、遠く隣家の裏庭で、こちらを振り返ってるその生き物の姿があった。

遠過ぎたし、スマホも持っていなかったので、写真に撮れなかったが、明らかに狸であった。

さて、昼間に警戒心薄く出歩いている狸に私が一般的に抱く印象といえば、もう超高齢の少し認知症の兆候のある晩年タヌキといったイメージである。これまでの出会いで、こうした狸たちは、大概が毛並みや毛艶がボロボロと言った印象がある。たまに、交通事故で亡くなった丸々太った艶々の毛並みの狸の死体も目にする事が有るので、狸の毛並みや毛艶も、年齢や栄養状態によって様々な気がする。

近所で狸の交通事故による亡骸は、たまに見ていたが、我家の庭での狸との遭遇は、初めてだったので、細やかな感動と共に投稿をしてみた次第である。

暇な時に、近所の林を散策していると、狸が溜糞(同じ場所に糞をする習性)している痕跡によく出会す事がある。

最後に、随分昔の写真であるが、冬場に小貝川の護岸を歩いていた時に、数十メートル置きに狸の溜糞を見つけ、それを写真に撮ったものを投稿して、この投稿を締め括らせてもらう。その写真を撮った場所は、大きな河川の護岸という事で、辺り一面障害物になるようなものは何もない場所だったが、夜行性の狸には危険な場所では無いようである。

ニワトコ

昨年の秋に家の裏手の荒廃した土地に、どんな植物があるのか、これまた荒れた市道を伝い見ていた時に、この木も目に止まった。

茨城の林の中では、よく見かける木である。名前はニワトコ。

写真では分かりづらいが、緑の葉が付いてる枝だけではなく、画面上で地際から叢生してるつぶつぶした幹肌が全て一本のニワトコの木であると思われる。

秋に紅葉しないのと樹形や枝振りもそれほど美しさを感じず、個人的には、それほど関心を持っていなかった樹木であるが、先ほどネット上で色々調べていたら、比較的多彩な薬効を持っている樹木である事を知ることになった。

漢字では、接骨木と書かれるニワトコだが、この漢字の言われは、古くから枝を黒焼きにして粉末にしたものを、他の薬効成分と混ぜてペースト状にして、骨折している場所に塗り添木すると良いとして利用されてきたところから来ていると思われる。

他にも、新芽や蕾は、山菜として食べる事ができる。記憶が蘇ってきたが、実際、ニワトコの赤紫の蕾をお浸しみたいにして食べた事があったのを思い出した。蕾が小さ過ぎて、空腹を満たすには効率が悪く、味は多少の苦味を感じさせ、美味くも不味くもないと言ったところであろうか。その時点で既に、多食すると下痢や嘔吐をするという記事を読んでいたが、食した後も、体調に異変は感じなかった。ただ、結論として、林に踏み入り、小さな蕾を集める労力をまた掻き立てるほどの魅力を、味の面でも効率の面でも感じなかったのであろうか、それ以降、ニワトコを食べたことはない。きっとニワトコの山菜としての活用を促す切り札が有るとしたら、薬効のアピールなのかなと思う。

という事で、ニワトコの薬効の見地からのいくつかの魅力を書いておくことにする。

枝や葉を集めて布袋に入れて煮出して、その煮汁と一緒に布袋を風呂に浸けておくと、リュウマチや神経痛に効くお湯ができる。

あとは、どれぐらい近縁種なのか分からないが、ヨーロッパにはセイヨウニワトコ(エルダーフラワー)という木があり、日本以上に色々な形で利用されているようであり、ドイツでは、秋に熟す赤い実をリキュールに入れて作るお酒は、エルダーベリーワインとして親しまれている。

あと、粘膜を綺麗にしてくれることから、インフルエンザや風邪の初期症状を緩和してくれるとも言われている。

イギリスでは、魔除の木としても知られていて、映画「ハリーポッター」の中で、魔法の杖なるもの登場するが、それは、このセイヨウニワトコの木から作られている。

ただ、杖と言うと頑強頑丈でしっかりしたイメージを抱きそうだが、もしも日本のニワトコの木で杖を作ったとしたら、水分を含ませて少し屋外に放置したら、直ぐに腐ってしまいそうな柔らかい幹質の木である気はするが……

キツネノマゴ

秋に家から数十メートルのところにある空き地で見つけて写真に収めていた植物の事を投稿してみようと思う。

下の薄紫の小さな花を花穂に付けている植物である。

名前は、キツネノマゴ。日本には、キツネノマゴ科の植物は数種しか無いようだが、世界には暖かい地域を中心に、かなりの数のキツネノマゴ科の植物が生息しているようである。

ネット上で、キツネノマゴの事を検索してみても、それほど多くの特徴を紹介した記事に出くわさない。どの記事も、情報量少なく、同じ事が書かれているだけである。このことからも、それほど人の興味に触れて来ていない植物とも捉えたいが、極論過ぎるであろうか?

ネット上のキツネノマゴに関する記事で、共通して書かれていた事柄で、一番印象に残った事と言えば、名前の由来がハッキリと知られていないという事がある。狐や狸や動物の名前が植物の名前の冒頭につく事はよくある事なので、兎も角として、確かに、私も何でマゴ(漢字で書かれる時に、孫が充てられてる事が多かった)なのかは、一瞬では結び付けられない。

孫ではなく馬子の可能性は無いであろうか、馬子と同じ意味合いの駒の可能性はないであろうかなど、色々思いを巡らせるのだが、どうも当時の昔の人達が皆で頷いたであろうほどの名前誕生の仮説まで辿り着く事が出来なかった。

そして、キツネノマゴのマゴは、やはり孫なのかなと原点に帰った時に、私なりに考えて、この説明というか、この説なら、かろうじて当時の昔の人たちの間で浸透したのではと思うものは、この草本自体を、親と考え、次に成長して来る花序(花穂)が子供、そしてその後にその花序に出て来る小さな花が、孫に見立てられたのではという推測である。

真実や如何に?