カバフクロテンキヨトウ? 成虫 Mythimna salebrosa (Butler, 1878).

最近、近隣で見かけて、写真に撮っていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長12ミリといったところであったであろうか。

種名は、限りなくカバフクロテンキヨトウだと思う。

ただ、カバフクロテンキヨトウのよく出回っている写真の個体達は、カバフ(樺斑)と言うだけあって、樺色が差し色的に入る形で、上の写真のように全体が樺色には見えていない個体が多い。また、翅脈が凸凹した形の筋が目立つ雰囲気になっている個体が殆どである。

こうして来ると、別種の可能性も視野に入れているが、上翅後端中央辺りに見える黒い薄っすらとした斑は、カバフクロテンキヨトウの特徴なのである。

羽化直後は、きっと翅脈上の鱗粉も落ちておらず、筋が目立たないんだ等の仮説を勝手に立てている自分がいるが、同じ場所で、一般的なカバフクロテンキヨトウのイメージに沿った個体に今後出会えれば、上の写真の個体もカバフクロテンキヨトウだと断言出来ると思い、そのチャンスを待っている状態である。

さて、上の写真の個体をカバフクロテンキヨトウとして、話を進めると、幼虫の食草は、イネ科のチジミザサが知られているようである。そして、チジミザサがメインの食草なら、今頃、この蛾に出会うのは頷ける。チジミザサが目立ち始めるのは、自分の主観的印象では、夏以降の気がするからである。

カバフクロテンキヨトウの生息分布の方は、国内は、本州以南……九州近海まで。海外の方は、ちょっと調べても辿り着けなかった。

ノコメセダカヨトウ 成虫 Orthogonia sera (Felder & Felder, 1862)2

先週末の猛暑の晩、近所の雑木林に散策に行った時に見かけて写真に撮っていた。

大きさは、前翅長25ミリぐらいあったのではなかろうか。大きめの蛾だなと感じた。

1年前にも投稿しているが、その時よりも良い写真が撮れたと思うのと、その投稿時の個体と異なる色合いの個体の写真が撮れたので、色合いに個体差が激しい種である事を知ってもらうためにも、再投稿してみようと思った。

幼虫の食草は、タデ科のイタドリやギシギシ類らしい。また、山地性の蛾との紹介をされている方もいたが、この山地性という点は、凄く興味深く感じる箇所かもしれない。

というのは、私の暮らす近隣の環境は標高的に山地とは程遠い環境である。そうした環境下で、もし山地性の生物が好み集まる場所があるなら、そこには、山地とどのような共通点があるのか見出したいのである。気温なのか、植生なのか等である。

最後に、このノコメセダカヨトウの生息分布は、国内は、北海道から九州近接の島々まで。海外は、韓国全土と中国の一部であろうか。

ナワキリガ 成虫 Conistra nawae Matsumura, 1926

最近、近隣でこの蛾を見かけて写真に撮っていた。

大きさは、前翅長20ミリぐらいだった。

種名は、ナワキリガだと思う。ナワキリガの幼虫の食草として挙げられているブナ科の常緑のアラカシをシラカシに置き換えるなら、まさにシラカシの森みたいな場所で見つけた。

しかし、時期が合わないのである。この蛾は、成虫越冬するような蛾であり、秋の暮れに現れ、成虫で越冬して、翌年の4月ぐらいまで見られる蛾である。

今は6月も後半。

その時、繋がった!「あなたが、手に乗せている蛾は生体ですか?」と自問自答してる自分がいた。そうだ、この蛾は、自動ドアの溝の一番端に落ちていた死んでいた個体であった。

要は、この写真の個体は、数ヶ月前にお亡くなりになった個体かと思われ、これならシーズンのズレも頷ける。

常緑のブナ科カシ類を食する蛾(もちろん、ブナ科落葉樹もいけるはず)なので、生息分布も暖かい西日本と考えられる。ゆえに、関東以西……南西諸島まで。海外の分布は、ちょっと分からず。