アトモンミズメイガ 成虫 Nymphicula saigusai Yoshiyasu, 1980

二日前に我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

とても小さかった印象である。大きさは、開張13ミリ行かないぐらいだった。

触角を背負っていて、この雰囲気だとツトガ科の蛾であろうとの予測はついたが、ツトガ科の蛾の中でも小さい方だと感じた。

種名はと言うと、アトモンミズメイガである。

そして、ノメイガ亜科に属する蛾と思いそうになった時に、ミズメイガ亜科という亜科が存在する事を知った。元々は、N. blandialis(WALKER)としてアジアに広く分布している蛾として認識されていたが、更に細分化され、スリランカをタイプ・オリジナルとする種とは枝分かれしたようである。

幼虫の食草は、ツボミゴケとのことである。早速、ツボミゴケってどんなコケだろう調べるが、いまいち「あれかー」と言う風には繋がらなかった。

また、ミズメイガの仲間ではあるが、幼虫は水棲ではなく、本種は陸生である。なお、日本にいるミズメイガの仲間では、一番北にまで進出できている種のようでもある。

これからの季節、近隣では、マダラミズメイガという蛾が、よく見られるようになってくる。

カガリビコモリグモ Arctosa depectinata. (Bösenberg & Strand, 1906)

昨晩、我家の庭にいた蜘蛛である。

大きさに関してだが、体長は、ちょっと分からない。というのも、腹部の上に、卵を産み付けられ、実際の腹部が見えていないからである。

ただ、卵を産み付けられるのは♂であり、オスの腹部は胸部よりも小さいのを知っているので、ここからこの蜘蛛の昨晩の卵を背負った状態での体長が1センチぐらいだった事を考慮して通常時の体長を予測すると、体長5-6ミリの蜘蛛であろうか。まぁ、実際のところ、蜘蛛は手脚の長さがあるから、体長よりは大きく見えるが……。

また、腹部に卵を産み付けられているために、種名の由来であるカガリビ(篝火)の部分が見えていない。

さて、正直なところ、この蜘蛛が卵を背負っていた状態だったから、コモリグモ科の蜘蛛である予測が付き、種名に辿り着いたが、もし卵を背負ってなかったら、種名に辿り付けたか疑わしい。

このカガリビコモリグモの生息分布は、国内は、北海道から九州を経て、南西諸島まで生息しているようである。海外は、ちょっと分からなかった。

ヤマトエンマムシ Hister japonicus (Marseul, 1854.)

昨晩、我家の庭で捕まえたものを写真に撮ってみた。

大きさは、ちょうど体長1センチぐらいあった。

上の写真だと分かりにくいが、リングみたいな感じの顎牙の特徴からエンマムシの仲間であろうとの予測は付いた。

最初の候補は、コエンマムシだったが、大きくても体長5ミリぐらいの甲虫と知った。すると、ヤマトエンマムシというのが、体長9ミリ-13ミリぐらいであり、ヤマトエンマムシという種なのではないかと結論付けている。

見つけた場所は、最近、庭の一角に故意に料理した魚のアラとかを捨てて、どんな生物が来るかを観察している場所である。今回も、沢山のコブマルエンマコガネが居たが、今回はそれらより大きい甲虫も複数いた。そして、捕まえてみたのが、上の1匹である。

このヤマトエンマムシ含むエンマムシ達の習性で、なるほどと思ったのは、生物の死骸を食べに来ているわけでなく、死骸に発生するハエの蛆等を食べているというものである。そういう意味では、人間の視点では、益虫になるのであろうか。

確かに、エンマムシの牙は、動かぬ食べ物を食べるというよりは、暴れる食べ物を押さえ付けるような機能の目的で、微妙に立派な気がする。昆虫の形状的特徴には、それなりの目的があるという事である。

とにかく、今回、庭に捨てた生物の死骸の一部を餌にする昆虫達が集まり、続いて、それを餌にするエンマムシのような昆虫も現れて、擬似生態系のようなものが作れた事が嬉しい。ちなみに、次に現れるのは、シマヘビなんかの幼体で、次にカラスなんかが現れるのであろうか。

こうした小さな生態系が無数に色々と拡がっているのが自然界だと思う。決して一つのピラミッドで説明できないほどに、末端は、多様な生活環境が絡み合い日々変化している。

そして、人類が、この地球上のマネージャーを自負するなら、末端の生物の複雑な生活環境の絡み合いを読み解けるだけの能力を持っていかなければならないと思うが、自然の大らかさに甘えて、「そんなの無理ー」と人類は未だその域に成長していない。

さて、このヤマトエンマムシの生息分布は、本州以南……九州までで、海外に生息しているのかは、分からなかった。