トラフカミキリ  Xylotrechus (Xyloclytus) chinensis kurosawai (Fujita, 2010)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていた。

最初は、スズメバチの仲間だと思い近づいたが、「いや、カミキリムシの仲間だ。」と気がつく事が出来た。ただ、虫に興味の無い人は、絶対にハチだと間違えるはずである。

大きさは、体長20ミリぐらい。

種名は、トラフカミキリ。この手の蜂に擬態したカミキリの代表格と言えるカミキリムシである。しかし、意識的な出会いは、今回が初めてである。

個人的には、あまり出会えないカミキリムシの印象を持ったが、これは一般的にも当てはまるようで、各都道府県が独自に定めるレッドリストで、絶滅危惧Ⅰ類に指定しているのが、東京都、和歌山県、長崎県、絶滅危惧II類に指定しているのが、山形県、滋賀県、大阪府、高知県、福岡県、熊本県。準絶滅危惧種に指定しているのが、埼玉県、山梨県、長野県、石川県、岐阜県、香川県、愛媛県、山口県、佐賀県、宮崎県、鹿児島県と、減少を危惧されている種なのが分かる。

クワやヤマグワに集まるとの情報もあった。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州の種子島辺りまでいるとのことである。元々は、奄美大島以西の南西諸島に生息する個体群も、日本本土亜種として同一扱いされていたが、近年、奄美沖縄亜種Xylotrechus (Xyloclytus) chinensis kobayashii (Fujita, 2010)として独立したようである。

海外の分布は、Xylotrechus chinensis (Chevrolat, 1852)という学名で、もう少し大きな捉え方をすると、朝鮮半島を経て、ロシア沿海州南部。それらに隣接する中国北東部にもいる模様。そして、ヨーロッパのフランスやギリシャの辺りにも生息していることが知られている。

イネクビボソハムシ(イネドロオイムシ)?Oulema oryzae (Kuwayama, 1929)

最近、ある場所で、この極小のハムシをよく見かける。

大きさは、体長3-4ミリといったところであろうか。

そして、このハムシが見つかるところに必ずと言って良いほどあるのが、葉の表裏についた泥の滴みたいなものである。最初は、何かの糞ぐらいにしか気にしていなかったが、それらをよく観察していると、ティアドロップを横にした感じで、下膨れの方がお尻で、細い方が頭部で、昆虫の幼虫にも見えなくはない。ただ、肉眼で認識できるような動きは感じられないし、拭うと一瞬で拭き取れてしまい、やはり泥か何かの糞かとの結論に至っていた。

しかし、成虫は上の写真の個体のような色彩ではないが、同じような外観のイネクビボソハムシの幼虫が、まさに、その泥の滴みたいな幼虫である事に辿り着いたのである。

という事で、今度は、その泥の滴を、ちょっと根気よく観察してみようと思った。以下が、その泥の滴である。

なんとなく右下の方に顔があり、短い脚のようなものも見える。そして、明らかに葉が齧られた痕が見える。

そして、かなり大きめの泥の滴があったので、優しく拭うと、幼虫本体が現れたのである。

ちなみに、表面を纏っていた物体は、自らの糞を分泌物と混ぜて作ったものらしい。

ここまで来てイネクビボソハムシの幼虫であることは分かったが、成体の紋様である。ネット上のイネクビボソハムシの成体の画像はどれも、上翅は藍色一色なのである。

そして、現場には、上翅が藍色一色のタイプも半々ぐらいでいた。二つのタイプが同種であるのは、それらが交尾していた事から間違いないと思う。現段階では、それらの二つのタイプが雌雄の違いなのか、成長のステージの違いなのか、その辺の真相は分からない。

さて、このイネクビボソハムシの生息分布はと言うと、寒冷地のハムシのようである。元々、北海道や東北や北陸で稲の害虫として知られていたようである。海外にも生息しているらしいが、自分で調べた限り、海外の生息のソースを見つけることが出来なかった。

ちなみに、私が見ているイネクビボソハムシの個体群は、イネ科のメヒシバに特化している気がする。近くにイネ科のエノコログサがあっても、そちらには全く付いていない気がする。

最後に、クビボソハムシ属には13種が属しているようだが、外観上の紛らわしい種類に、キオビクビボソハムシやアカクビボソハムシがいるようだが、どちらも上の写真の個体とは違うような気がする。この両種が好むのは、ツユクサとのことだが、本種が好んでいるのはメヒシバである。

タイトルでは、イネクビボソハムシ?としたが、一体、何というクビボソハムシなんだろう?

スジコガネ
Mimela testaceipes (MOTSCHULSKY,1860)2nd

10日ほど前から我家の外灯下に、このコガネムシが毎晩訪れて来ている。

別の日の個体の写真を以下に。

大きさは、どちらも13ミリから14ミリの間ぐらいだったと思う。よく、スジコガネの平均サイズとして、15-20ミリの間との紹介されているのが一般的だが、そのサイズに当てはまるほどの大きさはないと思う。

種名は、スジコガネなのではと思う。一応、4年前の8月6日に、とても小さく写った写真で、本種を投稿している事も確認した。

混同し易い種に、オオスジコガネという少し大きいらしい種がいるようだが、そのオオスジコガネという種の上翅は、光沢がもっとあるということで見分けられるらしい。上の写真の個体達(特に最初の写真の個体)は、光沢が顕著とは言い難い気がする。すると、上の写真の個体達は、大きさや光沢の具合から、スジコガネなのではと思いたい。

ちなみに、ヒメスジコガネという種もいるらしいが、こちらは明らかに、ネット上に出回る写真を見る限り、違う外観に見える。

さて、このスジコガネの幼虫は、各種植物の根を食すようで、成虫は針葉樹の葉を食すとのことである。

スジコガネの生息分布の方は、国内は、北海道から屋久島辺りまで。海外の生息分布は、自分で複数のソースにあたって調べたわけではないが、朝鮮半島、サハリン含むロシア沿海州南部には生息しているようである。一方、オオスジコガネの生息分布は、国内は、こちらもスジコガネと同じような分布はしているが、海外には生息していないとの情報も目にした。