イネクビボソハムシ(イネドロオイムシ)?Oulema oryzae (Kuwayama, 1929)

最近、ある場所で、この極小のハムシをよく見かける。

大きさは、体長3-4ミリといったところであろうか。

そして、このハムシが見つかるところに必ずと言って良いほどあるのが、葉の表裏についた泥の滴みたいなものである。最初は、何かの糞ぐらいにしか気にしていなかったが、それらをよく観察していると、ティアドロップを横にした感じで、下膨れの方がお尻で、細い方が頭部で、昆虫の幼虫にも見えなくはない。ただ、肉眼で認識できるような動きは感じられないし、拭うと一瞬で拭き取れてしまい、やはり泥か何かの糞かとの結論に至っていた。

しかし、成虫は上の写真の個体のような色彩ではないが、同じような外観のイネクビボソハムシの幼虫が、まさに、その泥の滴みたいな幼虫である事に辿り着いたのである。

という事で、今度は、その泥の滴を、ちょっと根気よく観察してみようと思った。以下が、その泥の滴である。

なんとなく右下の方に顔があり、短い脚のようなものも見える。そして、明らかに葉が齧られた痕が見える。

そして、かなり大きめの泥の滴があったので、優しく拭うと、幼虫本体が現れたのである。

ちなみに、表面を纏っていた物体は、自らの糞を分泌物と混ぜて作ったものらしい。

ここまで来てイネクビボソハムシの幼虫であることは分かったが、成体の紋様である。ネット上のイネクビボソハムシの成体の画像はどれも、上翅は藍色一色なのである。

そして、現場には、上翅が藍色一色のタイプも半々ぐらいでいた。二つのタイプが同種であるのは、それらが交尾していた事から間違いないと思う。現段階では、それらの二つのタイプが雌雄の違いなのか、成長のステージの違いなのか、その辺の真相は分からない。

さて、このイネクビボソハムシの生息分布はと言うと、寒冷地のハムシのようである。元々、北海道や東北や北陸で稲の害虫として知られていたようである。海外にも生息しているらしいが、自分で調べた限り、海外の生息のソースを見つけることが出来なかった。

ちなみに、私が見ているイネクビボソハムシの個体群は、イネ科のメヒシバに特化している気がする。近くにイネ科のエノコログサがあっても、そちらには全く付いていない気がする。

最後に、クビボソハムシ属には13種が属しているようだが、外観上の紛らわしい種類に、キオビクビボソハムシやアカクビボソハムシがいるようだが、どちらも上の写真の個体とは違うような気がする。この両種が好むのは、ツユクサとのことだが、本種が好んでいるのはメヒシバである。

タイトルでは、イネクビボソハムシ?としたが、一体、何というクビボソハムシなんだろう?

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