ハンミョウ

ちょうど2週間ぐらい前の事だが、家族で一番近い山系の山に登山に出かけた。

その際に、見かけて写真に撮った。

大きさは、体長15ミリぐらいだったと思う。登り始めて何合目ぐらいなのであろうか、標高200メートル付近の開けた日当たりの良い場所に群れでいた。

どの個体も近付くと直ぐに飛び立つが、ハンミョウという虫である事は分かった。ハンミョウ自体は、カラフルに鮮やかな虫として知っていたが、実物に出会ったのは、初めてであった。

確かに、頭部に金属光沢があり、全体的に多彩で、人目を引き、人間の記憶に残りやすい虫ではあるが、タマムシの全体的な光沢と輝きには敵わない気がした。ネット上で、美しいと言われている虫達は、実際にフィールドで出会って、自分の目で見て、自身の感想を持つ事は大切であると思う。同じく、ネット上で美しいと言われているアカスジキンカメムシなんかも、同じタイプであろう。ただ、どちらも繊細に味のある美しさ(光沢)を持った色彩の昆虫である事は同意する。

さて、このハンミョウを、その場で捕まえる事は出来たが、ハンミョウ=カンタリジン(有毒水脹れ成分)の子供の頃からの前知識があり、指で摘むことを躊躇した。

しかし、もう一度、調べ直してみると、時代は変わっていた。正確には、。ツチハンミョウ科のツチハンミョウマメハンミョウは、カンタリジンという有毒成分を持っているとの事だが、所謂、本種含むオサムシ科ハンミョウ亜科のハンミョウ達には毒は無いと紹介されるようになっていた。ちなみに、同じ毒成分は、私が近隣で出会う昆虫達の中では、ハネカクシ科のアオバアリガタハネカクシ(アオバアリガタハネカクシの毒成分は、ペデリンという別成分であるらしい事が後日分かった)やカミキリモドキ科のモモブトカミキリモドキなんかも備え持っている。

という事で、今度は素手での捕獲にチャレンジしてみようと思う。このハンミョウは、同じ山の600メートル付近の開けた林道の辺りにも居た。要するに、水が染み出すような山間の開けた乾燥した場所に群れていた印象である。

最後に、沖縄には、オキナワハンミョウという種が居るらしく、本土のハンミョウと瓜二つの外見なのだが、沖縄本島含む南西諸島は、170万年前には、大陸や日本本土と地殻的に分離していると認識している。それほど長い期間を瓜二つの形態維持で生きてきている事に、ちょっとだけ好奇心がくすぐられる。

アオハナムグリ 福島県 標高800メートル

最近、気が付いた事だが、昆虫の分布状況を把握する際に、地図を上から眺めながら横方向の繋がりを模索するよりも、どの標高をメインに棲息しているかを掴んだ方が、昆虫の食草や種の進化の過程に繋がる情報を絞りやすいという事が分かって来た。

という事で、私が暮らす標高5〜25メートルぐらいのエリアの生物相の特徴を掴むためには、標高800メートルの辺り(気温が重要)のエリアとでも、違いがあるのか否かの比較は、少なからず色々なヒントをもたらしてくれる気がする。

では、このコガネムシの仲間は、どうなのであろう。

大きさは、体長18ミリぐらいだった。直ぐにハナムグリの仲間である事は分かったが、調べたところ、アオハナムグリという種と分かった。

このアオハナムグリという種は、あくまでも私の数年の観察経験だが、近隣近所で見かけた事は無い。この手のハナムグリだと、一回り小さいコアオハナムグリという種は、近隣近所や我家の庭でも、春に、ハルジオンを筆頭にした白い花に群がっている姿をよく目撃する。

簡単に調べたところ、アオハナムグリは、北海道から九州まで分布。コアオハナムグリは、それに、南西諸島が加わる。この事から、単純に、アオハナムグリの方が暑さに弱い印象になる。

取り敢えず、以上。

エゾカタビロオサムシ

昨晩、家から車で5分ぐらいのところにある田園地帯に立つ外灯下で見かけた。

一目見た瞬間、上翅の穴ぼこの点列が見えたので、オサムシの仲間と分かったが、身近な自然下でオサムシの仲間には、それほど出会えないので、とても嬉しい気持ちになった。

そして、絶対に写真に撮ると意気込んだが、その場で上手に撮れる自信がなかったので、咄嗟に捕まえて、なんとか車から持ち帰るための容器のようなものを見つけて、詰め込んで持ち帰ってきた。(余談だが、捕まえた時に、この手の甲虫にしては初めての匂いが漂って来た。甘い香りである。そして、初めて嗅ぐ匂いではない気がしたので、その場で、懸命に記憶を辿り始めたのだが、案外スパッと辿り着けた。子供の頃に舐めていた飴の匂いである。榮太棲の紅茶飴か黒飴の匂い。)

そして、撮った写真が以下のものである。

大きさは、定規で測ったので、結構正確だと思うが、体長23ミリといったところ。

調べたところ、エゾカタビロオサムシという種と分かった。同時に、蛾の幼虫、ヨトウガ類の幼虫を餌にしている甲虫だと分かった。おそらく、ヨトウガの幼虫でも、ヨトウムシ(夜盗虫)と言われるような地表間際の植物を食べている幼虫達を捕食していると思いたい。

ところで、名前にエゾ(蝦夷)が付いている昆虫が、大体、北方系の種であると最近理解してきたが、こうした北方系と私が個人的に思っている昆虫は、暖かい地方では気温が低くなる山地に残る傾向があると、私は考えている。

ゆえに、現代の気候では、決して寒いイメージのない我家の周りの環境(平地)で、このエゾが種名に付く昆虫達の繁殖を見れることは、とても意義のあることのように感じる。

年々、夏場の平均気温が高くなって来ているように感じられる昨今、こうしたエゾが名に付く北方系と思しき昆虫達が暖地の平地で見れる機会は、減って来ているのではないかとも推測したい。

因みに、近所で見かけた昆虫で、エゾが種名に付くものを思い出してみると……エゾヨツメという蛾も居たなと思い出した。