ヒメエグリバ 成虫 Oraesia emarginata (Fabricius, 1794) 2nd

だいぶ時間が過ぎてしまったが、9月半ばに、我家の外灯下に来ていた蛾の投稿をしてみようと思う。

2年前の9月に過去に投稿済みの種であるが、今回は、我家に訪れていたということと、過去に投稿したタイプと紋様の雰囲気が違う(個体差が大きい種のようである)と言う事で、再投稿することにした。

上から見ると、こんな感じである。

大きさは、体長で、20ミリ弱ぐらいであったと思う。

種名は、ヤガ科エグリバ亜科のヒメエグリバ。

幼虫の食草は、アオツヅラフジ。アオツヅラフジ自体は、近隣に普通に生えているツタ植物である。

成虫は、果実を吸汁するようであるが、庭にあるハナモモの実が、過去にアカエグリバに吸汁されまくっていたのを思い出すと、同じ習性を持っているのだと思う。

さて、生息分布の方は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布は、台湾や韓国にもいるようで、特筆と思うのはインド半島に北から南まで満遍なく生息報告が上がっているところである。そして、オーストラリア大陸の北東岸にも居るのだが、オーストラリアの東岸にいる世界共通生物は多いが、北岸からも生息報告が上がるのは珍しい気がする。アフリカ大陸は、南東岸に集中している。

更にもう少し詳しく見ると、アフリカのマラウイとかザンベジ川を少し上った内陸部にいる事とインドの分布である。インドも、バングラデシュに注ぐガンジス川沿いに生息しているように見えるのである。ただ、標高の低い場所には定着せず、ある程度標高のある場所に集中しているように見える。

同時に気になったのは、ヒメエグリバの幼虫が食草とするアオツヅラフジCocculus orbiculatus (L.) DC.であるが、こちらは、東アジアの温帯地域に特化した植物であることが分かった。

ニトベエダシャク 成虫 Wilemania nitobei (Nitobe, 1907)

2週間ぐらい前の写真になってしまうが、我家の外灯下に来ていた蛾の投稿をしようと思う。

大きさは、前翅長18ミリぐらいだったと思う。

なんとなく初めて見る蛾のような気がしたのだが、調べてみたところ、ニトベエダシャクと判明。晩秋に現れる蛾とのことなので、時期もピッタリと合う。

ちなみに幼虫の方は、たまに見かける気がするが、成虫は、初めて見かけた。

幼虫の食草は、広食性で多岐に渡るようである。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州近海まで。海外の生息分布は、ロシア沿海州、朝鮮半島、中国の一部、台湾で確認されている。

クロネハイイロヒメハマキ 成虫 Rhopobota naevana (Hübner, [1814-1817])

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長8ミリぐらいだった。

種名は、紛らわしい種が多かったが、慎重な検討を経て、クロネハイイロヒメハマキという種であろうとの結論に至った。

幼虫の食草は、バラ科の樹木が多く確認されているようで、他には、モクセイ科の樹木も確認されているようである。

情報では、5月から10月ぐらいに見られる蛾らしいが、11月も半ばに差し掛かった現在見られるという事は、越冬した個体が、春に活動を再開するサイクルかと思いたいのだが、まだ確証は得ていない。ただ、晩秋に活動的な蛾は、越冬個体が、春先から活動している種が多いような気はする。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州近海の島嶼を経て、奄美大島辺りまで生息しているようである。海外の方は、ちょっと興味深かった。この蛾は、寒い地方に特化した蛾であり、ヨーロッパでは南部より北極圏の方に集中しているのが明らかである。そして、カナダの北極圏の方にも濃く生息しているのである。これは、凄い珍しい事だと思う。また、ポルトガルの西方に浮かぶアゾーレス諸島に濃く生息が確認出来て、その流れで、アメリカ合衆国のニューイングランド地方に上陸している気がする。その後は南部沿岸に広がっていったのが分かる。もう一つの流れは、アラスカから南下してきている動きがある事である。そして、勿論、極東の日本、朝鮮半島、ロシア沿海州には、生息しているのである。

ただ、私が、今回見た個体と、他の地域で目撃される個体との間に、少し外見的紋様のパターンに違いがあるようにも思えるので、ある程度の歳月の間に、極東の個体群が亜種化している可能性は視野に入れたい。

最後に、最近、気づいてきたことだが、寒い時期にも活動している昆虫達には、寒い地域に特化している昆虫達も多い気がする。これらが、日本の暑い夏を、どうやって乗り切っているのか、今後、もっと暑くなると、どうなるのか等、好奇心が湧く。