クビナガヨツボシゴミムシ

最近、近隣の湿地のような場所で、このゴミムシを見かけた。

なんか初めて出会う種の予感がした。

大きさは、バッチリと記憶した。体長12ミリぐらい。

そして、ヨツボシゴミムシやオオヨツボシゴミムシ等が候補に上がったが、クビナガヨツボシゴミムシという種類が存在する事を知った。

こうなったら、本種は、クビナガヨツボシゴミムシである。現地での最初の感想が、首が細いなというものであったのだから…。

この首が細く進化した根拠は、小型のカタツムリを食べ易いためと、捕食シーンの写真と共にネット投稿している方が居た。確かに、頷ける。本種がいた湿地近辺に、数種類のカタツムリが沢山見かけられる。

ちょっと高いところには、ヒタチマイマイという大型のカタツムリを筆頭に、次に大きいのはウスカワマイマイという地上性の中型種。目に見える次に大きいサイズは、オナジマイマイ(コハクオナジマイマイ)という地上性のカタツムリである。もちろん、更に小さい極小のカタツムリ達もいるに違いない。

そして、この体長12ミリ程度のクビナガヨツボシゴミムシに丁度いいカタツムリというと、オナジマイマイが相応しく思う。ウスカワマイマイは、大きいものは案外大きく、ズッシリと重量感がある。その重量感を細首で支えれるかなと、ちょっと思った。

ここで、自分なりの仮説がひとつたった。コハクオナジマイマイは、比較的新しい国内移入種であり、オナジマイマイは、東南アジアを原産とする外来種と言う人達も居る。ただ、このオナジマイマイは、東南アジアにいるものと同種でも、もう太古から日本列島にやって来ているカタツムリなのではと思いたくなる時がある。(そして、コハクオナジマイマイと言われているカタツムリも、オナジマイマイの色素が薄く遺伝するタイプなのではと思いたくなる時がある。)

自分なりの仮説というのは、このオナジマイマイという小型のカタツムリは、古くから日本に生息しており、クビナガヨツボシゴミムシの首の進化のプロセスにも随伴して来た可能性はないかという仮説である。

まぁ、そんな私の仮説は置いておいて、このクビナガヨツボシゴミムシは、都道県が独自に定めるレッドデータでは、千葉県、大阪府、京都府が、絶滅危惧Ⅰ類に、東京都、神奈川県、群馬県、山形県、が、絶滅危惧Ⅱ類に、埼玉県が準絶滅危惧種に指定している小さめのゴミムシである。

ハンミョウ

ちょうど2週間ぐらい前の事だが、家族で一番近い山系の山に登山に出かけた。

その際に、見かけて写真に撮った。

大きさは、体長15ミリぐらいだったと思う。登り始めて何合目ぐらいなのであろうか、標高200メートル付近の開けた日当たりの良い場所に群れでいた。

どの個体も近付くと直ぐに飛び立つが、ハンミョウという虫である事は分かった。ハンミョウ自体は、カラフルに鮮やかな虫として知っていたが、実物に出会ったのは、初めてであった。

確かに、頭部に金属光沢があり、全体的に多彩で、人目を引き、人間の記憶に残りやすい虫ではあるが、タマムシの全体的な光沢と輝きには敵わない気がした。ネット上で、美しいと言われている虫達は、実際にフィールドで出会って、自分の目で見て、自身の感想を持つ事は大切であると思う。同じく、ネット上で美しいと言われているアカスジキンカメムシなんかも、同じタイプであろう。ただ、どちらも繊細に味のある美しさ(光沢)を持った色彩の昆虫である事は同意する。

さて、このハンミョウを、その場で捕まえる事は出来たが、ハンミョウ=カンタリジン(有毒水脹れ成分)の子供の頃からの前知識があり、指で摘むことを躊躇した。

しかし、もう一度、調べ直してみると、時代は変わっていた。正確には、。ツチハンミョウ科のツチハンミョウマメハンミョウは、カンタリジンという有毒成分を持っているとの事だが、所謂、本種含むオサムシ科ハンミョウ亜科のハンミョウ達には毒は無いと紹介されるようになっていた。ちなみに、同じ毒成分は、私が近隣で出会う昆虫達の中では、ハネカクシ科のアオバアリガタハネカクシ(アオバアリガタハネカクシの毒成分は、ペデリンという別成分であるらしい事が後日分かった)やカミキリモドキ科のモモブトカミキリモドキなんかも備え持っている。

という事で、今度は素手での捕獲にチャレンジしてみようと思う。このハンミョウは、同じ山の600メートル付近の開けた林道の辺りにも居た。要するに、水が染み出すような山間の開けた乾燥した場所に群れていた印象である。

最後に、沖縄には、オキナワハンミョウという種が居るらしく、本土のハンミョウと瓜二つの外見なのだが、沖縄本島含む南西諸島は、170万年前には、大陸や日本本土と地殻的に分離していると認識している。それほど長い期間を瓜二つの形態維持で生きてきている事に、ちょっとだけ好奇心がくすぐられる。

エゾカタビロオサムシ

昨晩、家から車で5分ぐらいのところにある田園地帯に立つ外灯下で見かけた。

一目見た瞬間、上翅の穴ぼこの点列が見えたので、オサムシの仲間と分かったが、身近な自然下でオサムシの仲間には、それほど出会えないので、とても嬉しい気持ちになった。

そして、絶対に写真に撮ると意気込んだが、その場で上手に撮れる自信がなかったので、咄嗟に捕まえて、なんとか車から持ち帰るための容器のようなものを見つけて、詰め込んで持ち帰ってきた。(余談だが、捕まえた時に、この手の甲虫にしては初めての匂いが漂って来た。甘い香りである。そして、初めて嗅ぐ匂いではない気がしたので、その場で、懸命に記憶を辿り始めたのだが、案外スパッと辿り着けた。子供の頃に舐めていた飴の匂いである。榮太棲の紅茶飴か黒飴の匂い。)

そして、撮った写真が以下のものである。

大きさは、定規で測ったので、結構正確だと思うが、体長23ミリといったところ。

調べたところ、エゾカタビロオサムシという種と分かった。同時に、蛾の幼虫、ヨトウガ類の幼虫を餌にしている甲虫だと分かった。おそらく、ヨトウガの幼虫でも、ヨトウムシ(夜盗虫)と言われるような地表間際の植物を食べている幼虫達を捕食していると思いたい。

ところで、名前にエゾ(蝦夷)が付いている昆虫が、大体、北方系の種であると最近理解してきたが、こうした北方系と私が個人的に思っている昆虫は、暖かい地方では気温が低くなる山地に残る傾向があると、私は考えている。

ゆえに、現代の気候では、決して寒いイメージのない我家の周りの環境(平地)で、このエゾが種名に付く昆虫達の繁殖を見れることは、とても意義のあることのように感じる。

年々、夏場の平均気温が高くなって来ているように感じられる昨今、こうしたエゾが名に付く北方系と思しき昆虫達が暖地の平地で見れる機会は、減って来ているのではないかとも推測したい。

因みに、近所で見かけた昆虫で、エゾが種名に付くものを思い出してみると……エゾヨツメという蛾も居たなと思い出した。