オオバトガリバ   成虫   Tethea ampliata ampliata (Butler, 1878)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長23ミリぐらいあり、大きい蛾の部類に入ると思う。

ホソトガリバと迷ったが、種名は、オオバトガリバの方だと思う。

幼虫の食草は、ブナ科のクヌギやコナラ等である。

生息分布の方は、国内は、北海道から対馬含む九州まで。海外の生息分布は、朝鮮半島、ロシア沿海州南部に生息しているようである。

近似種に、ホソトガリバというそっくりな種Tethea octogesima octogesima (Butler, 1878)がいるが、こちらの生息分布は、大体、オオバトガリバと被っているが、中国の少し内陸部にもいるようである。元々のルーツは一緒と思えるこの2種が、どうやった分断を経て、種分化していったのか気になるところである。

ヤマトカギバ オス メス

最近、近隣の雑木林で、交尾中と思われるヤマトカギバ達に出会った。

上の横に大きい方が雌で、下の触角が櫛髭状に見て取れる方が雄だと思われる。

思ったより、サイズや色調に違いがないなといった印象を持った。

エゾカギバ 成虫 標高1200メートル 福島県

この蛾は、近隣近所で見た蛾ではないが、敢えて、近隣近所の身近な蛾達の比較の意味合いも込めて投稿してみようと思う。

大きさは、前翅長15ミリぐらいだった。随分、標高の高い所にも見覚えのある蛾がいるもんだと思い、一応、写真に撮っていた。

見覚えのある蛾というのは、ヤマトカギバの事であり、近隣の雑木林の林縁で、まぁまぁ見かける蛾である。ただ、そう考えると、殆ど標高のない我家の近くから標高1200メートル辺りまでと、生息域に幅があり過ぎる気もするというのが正直なところであった。

という事で、もう一度調べると、殆どそっくりな外見で、エゾカギバという山地性の蛾がいる事を突き止めた。

2種の違いは、翅を裏から見た時に前縁に紋様があるか否かと、エゾカギバの方が全体の翅色が暗めというぐらいである。あとは、前翅の内横線と外横線の間が無紋かへの字状の実線になるという点である。(ヤマトカギバは、この場所に二つの分かれた点が現れるようである。)

この事実を基に、上の写真を見返すと、確かに私が知るヤマトカギバよりは、暗い色をしている気がするし、への字状の実線がある。

エゾカギバなのかなと思いたい。

さて、エゾカギバの幼虫の食草は、ブナ科のブナ、ミズナラ、カバノキ科のダケカンバ等との事である。

ちなみに、学名は、Nordstromia griseariaであり、極東ロシアや中国にも生息しているとの事である。一方、ヤマトカギバの学名は、Nordstromia japonica であり、日本と対馬、中国に棲息しているようである。やはり、2種とも誕生は中国と考えるべきであろうか。