クサヒバリ Svistella bifasciata (Shiraki, 1911)

昨晩、我家の外灯下に来ていたコオロギの仲間である。

大きさは、体長で8ミリぐらいだったと思う。

何だろう……これって、思いながら、調べると、ヒバリモドキ科、ヒバリモドキ亜科のクサヒバリと判明。

元々、我家の敷地に隣接する茂みから聞こえてくる震えるような美声が、クサヒバリではないかと睨んでいたのだが、とうとうその正体を見た感じである。

似たような鳴き声に、アオマツムシもいると思うが、アオマツムシの方が音量が大きく、若干の高音の気がする。

今回は、写真を撮るだけだったが、次回見つけたときは、捕獲飼育してみて、その美声を脳裏に焼き付けたいと思う。

さて、このクサヒバリは、8月から10月ぐらいにかけて現れる昆虫のようで、生息分布の方は、国内は、本州から、沖縄本島含む南西諸島まで分布しているようである。海外の生息分布は、韓国、台湾、中国の東部に広く生息している模様。

このクサヒバリの鳴き声は、音階の変動するメロディーみたいなものはないが、とても爽やかで伸びのある単純な連続音で、私は美しいと思う。よく、耳を凝らすと、少し金属的な音にも聞こえるが………。

平安時代ぐらいから、その鳴き声が注目されて来た昆虫らしいが、どうも、私にも、その時代からの日本人の遺伝子が受け継がれているようである。

クマスズムシ Sclerogryllus punctatus (Brunner von Wattenwyl 1893)

先ほど、我家の外灯下に来ていたコオロギの仲間である。

大きさは、体長9ミリといったところだったであろうか。

最初に、本年の我家を取り巻く鳴く虫の状況を説明しておくと、今年は、敷地内で初めて、スズムシが鳴いている。近隣のヤブでは、野生のスズムシの鳴き声はよく聞けるが、これまで我家の直ぐ側では聞いたことがなかった。昔から、スズムシの鳴き声が好きで、庭に大量に放したりした事もあったが、基本的に一代限り(運が良くて、翌年少しだけ誕生)で、庭でスズムシが歴代繁殖する事はなかった。

しかし、何故か、今年は、我家の庭でも野生のスズムシが鳴いている。誰かが逃したのではと邪推する必要は無いかと思う。理由は、簡単に放虫出来る人口繁殖スズムシ達の鳴き声とは明らかに違う鳴き声だからである。近隣の野生のスズムシの鳴き声の方が、終盤の余韻がなく、人工的に繁殖させられているスズムシの方が、私はメロディアスで美しいとは感じてしまう。

という事で、庭で鳴いている野生のスズムシの姿を一目見たいと思っていた矢先に、先ほど、上の写真の個体を見つけたのである。

ちょっと小さいけど、これが野生のスズムシかと思ったが、写真を見ながら、似てるけど、なんかスズムシではないと気が付いてしまった。

では、この虫は何という虫かというと、クマスズムシという種である。ただ、スズムシはマツムシ科に属すが、このクマスズムシは、コオロギ科に属しているようである。そして、鳴き声も、美声の部類ではあるが、スズムシの鳴き声とは全然違うのである。

ここで、近隣で鳴いているスズムシの姿を見たいという希望は、また、お預けとなったのである。

さて、このクマスズムシの生息分布の方は、本州以南……九州近海までで、南西諸島は、沖縄本島や久米島にはいるようである。また、チラッと目に入った情報で、伊豆諸島の八丈島にも居るというのが、個人的には興味深かった。海外の生息分布は、韓国や中国から生息報告が上がっているようであるが、どうも沿岸部に多かったり、長江に沿って内陸部へと拡がっているように見える。

ウスグモスズ 長翅型 Amusurgus (Usgmona) genji (Furukawa,. 1970)

先ほど、シバスズ?の投稿をしたが、同じ日に、我家の外灯下では、別種のスズも写真に撮られていた。同種とばかり思い込んでいたが、どちらの写真を使おうかと写真を見比べている時に気が付いた。

大きさは、やはり後端となる翅先までで12ミリぐらいだったと思う。(もうちょっと小さかったか?)

種名は、ウスグモスズ。

このウスグモスズも、先ほど投稿したシバスズ同様に、長翅型と短翅型が存在するようである。

そして、このウスグモスズを調べていて、興味深い事実を知ったのであるが、どうも外来種らしいのである。正式に発見されたのは、東京都渋谷の個人宅で1966年。しかしおそらく、もう数十年前には日本に定着していたと考えられているが、この考え方の方が現実的な気はする。

現在では、関東から近畿地方を経て、九州にも分布を拡げているようである。では、原産地域はと言うと、中国の東岸からもっと南方の国にかけての地帯であると思われる。ただ、これらの地帯で、確実に種として確立認識されてはいないようである。

となると、本当に外来種かとも思いたいが、日本に生息するこの手のスズの中で、唯一鳴かないとの事であり、この特徴は、進化の過程上、日本に生息するスズ達と同一線状に有るのかと思いたくなり、外来種と落ち着けたくなるのは頷ける。

さて、最後に、これら長翅型と短翅型の出現がどうして起きるのかという事だが、これが調べたところ、私の知識レベルでは結構耳慣れない難しい説明だった。一応、日長に関係しているとの事だが、それに遺伝も絡んで来ると事である。今のところ、私には、イメージが湧かず何のこっちゃといった感じである。