ツマグロスジハゼ? Acentrogobius sp. A 千葉県袖ヶ浦市

先週末、野暮用で千葉県袖ヶ浦市近辺で時間を潰す必要性があった。

久しぶりに、運河でハゼ釣りでもしながらのんびりと時間を過ごしてみようと思い,ジャリメを購入して、いざ実釣。

この時期にしては、大きめに成長しているマハぜが結構釣れたが、1匹だけいわゆるダボハゼが釣れて来た。

果たして、種名は?

大きさは、6センチぐらい。(この種の最大サイズぐらいらしい。)

調べてみたところ,ツマグロスジハゼというらしい。

元々は、スジハゼとして親しまれていたが、その後、どうも外見が少しづつ違うということで、スジハゼA、スジハゼB、スジハゼCとして区別されていた時代もあったらしい。そして、その3種が、2013年に,スジハゼBが、スジハゼAcentrogobiusvirgatulus (Jordan and Snyder, 1901)、スジハゼCが、モヨウハゼAcentrogobiuspflaumii (Bleeker, 1853)、スジハゼAが、本種ツマグロスジハゼAcentrogobius sp. A にといった具合に、和名が振り分けられたようである。

違いとしては、鰭の紋様等の細かい点があるが、体側にある数本の縞の雰囲気で、自分は見分けれると思った。体側の縞が4本で、一番腹側の縞が太く,顔の方に2本の縞模様がハッキリ見て取れるのも,本種ツマグロスジハゼの特徴のような気がする。

さて、生息分布は、その3種共に、比較的南方系なのは掴めるのだが、その中でも本種ツマグロスジハゼが一番,暖かい水温を好んでいるように、ネット上の情報からは読み取れた。地球温暖化で、目下日本を北上中の種なのかもしれない。

一応,高知県と徳島県が、準絶滅危惧種に指定しているようである。

キビレ Acanthopagrus latus (Houttuyn, 1782)

 我家の近隣の生物とは言い難いが、7月の頭に九十九里浜に注ぐ河川の河口で釣れた魚である。

まだまだ10センチを少し超えるぐらいの幼魚であるが、同じような環境でよく釣れてくるクロダイ(チヌ)の幼魚と、なんか違うと感じた。

そして、これがキビレという魚かと思い調べたところ、やはりキビレなのかなとの結論に至った。

ヘダイはもっと頭部が張り出しているし、クロダイの幼魚にはうっすら縞紋様が見える。

ところで、このキビレは見たかった魚である。昔から馴染みのあるチヌの幼魚(チンチン)ではなく、このキビレ(キチヌ)という魚が、どのような生息分布をしているのかを学ぶキッカケが欲しかったのである。

という事で、キビレの生息分布を、クロダイ(チヌ)との比較も交えて眺めてみる事にした。

国内は、関東以西の太平洋岸が主な生息域で、兵庫県以西では日本海側にも生息しているようである。ただ、日本の領域である南西諸島にはいないとの情報もあった。海外は、中国の南部沿岸に多く見られて、遠くは、オーストラリア沿岸や、インドの沿岸やペルシャ湾の方まで生息しているようである。

一方で、同じクロダイ属のクロダイの方は、国内は、北海道南部を北限に、日本の沿岸部にはほぼ生息しているようである。ただ、奄美諸島以西の南西諸島には、ナンヨウチヌという似た種が生息しており、生息していないとのことである。海外の生息分布は、韓国沿岸、台湾沿岸、中国南部沿岸に生息しているようで、本投稿の主であるキビレよりは、クロダイの方が世界規模では限定的な生息分布を示している事が分かった。

シロギス Sillago japonica (Temminck and Schlegel, 1843)

この魚は、近隣の低い沖積平野のところが海に戻ったり、近くの霞ヶ浦に再び海水が入り汽水化しても、身近に見られる魚にはならないと思うのだが、幼き頃より、とても親しみのある魚なので、投稿してみる事にした。

名前はシロギス。

生息分布の方は、黒潮が流れる日本国内沿岸。この黒潮という暖かい海流を根拠に、海外の生息分布は、韓国、台湾、中国南東部沿岸。もっと南のフィリピン沿岸にも生息しているようである。

上の写真の個体は、先月の終わりに、小学生の娘と房総を旅行した時に、館山港で娘が釣り上げた個体である。

水面から顔を出した時には、「何だ?この魚は?」みたいな感じであったが、陸に上げたものを近くで見ると、シロギスじゃないかと歓喜することになった。歓喜の理由は、久々の対面であったからであろうか。釣魚としては、20数年ぶりの出会いであった。食材としては、築地市場に行く人についでに買ってもらったり、インターネットで取り寄せを試みたりはしていた。しかし、インターネットでは、送料もかかり、過去に九州や山陰で釣りを楽しんでいた時代にあまりに身近な釣魚であったため、「1匹数百円になってしまうのは高いなぁ〜」と感じて、注文を躊躇する事もしばしばあった。

因みに、上の写真の個体は、体長24センチぐらいあり、現場ではとても大きく感じた。針を外そうと、掌で頭を包むと、パシッパシッと腕の内側を尾鰭で叩いて来る。その瞬間、大ギスと言えば、肘叩きというワードが有ったよなと思い出した。

とにかく、27センチ以上の大きなキスになると、頭を掴むと曲げた肘の辺りまで尾は届き、この肘叩きを実感した物だった。針を5本とか6本付けての、キスの数釣りも面白かったが、大ギス狙いも、ドキドキやワクワク感があり、楽しかった思い出がある。家族会議の結果、熊本県の天草や、長崎県の平戸や、遠くはフェリーで韓国の直ぐそばの対馬まで、大きなキスを求めて、家族で出かけた事があった。

ただ、30センチの壁を超えることは、家族の誰も出来なかったような気がする。大きいのは釣れて来るのだが、29,5センチとか29,8センチとか以上に伸びないのである。確か、当時のシロギスの日本記録は、33センチぐらいであったと思う。

ただ、食すという点では、自分達は、24センチ以上のサイズのシロギスは、味が凝縮しないでボケてしまう事を知っていて、15センチから22センチぐらいまでのサイズに、真っ先に箸が向かったものである。当時の料理としては、綺麗に捌いて、フライで食べるスタイルがメインだった。もちろん、刺身や塩焼きなんかでも食べたことはあるが、育ち盛りの身には、淡白で物足りなかったのである。

今回、釣れたシロギスが1匹で、サイズが大きめであったことから、刺身で食べてみる事にした。シロギスの刺身なんかを食べるのは、本当に何十年ぶりだろう?味の方は、コリコリ感が均等にある身で、上品な旨味もしっかり効いていて、とても美味に感じた。

真ん中の列がシロギスで、両側の刺身は、同じく娘が釣ったマゴチである。

最後に、私にとっての釣りの魅力って、ガソリン代や高速代はかかるが、こうやって、魚屋に流通しない魚が釣れて、味を楽しむことが出来ることかなと思う。スーパーの鮮魚売り場に並ぶ魚は、日本近海の食べれる魚の本当に一部の一握りでしかない。おまけに、味が最高に文句なしに美味しいと思えない魚も多い。日本の沿岸には、スーパーの鮮魚売り場に並ばないけど、美味しい魚がごまんといる事を、多くの人に知ってもらいたい。

今回は、釣りデビューで釣りにハマったのか、帰宅を考えていた時間に、「まだ他の場所で釣りたい!」という娘の要望で、最後に立ち寄った堤防で、岩壁の直ぐそばで、このシロギスは釣れて来てくれた。

同時に、私が小学生低学年の時に、父に連れられて、初めてシロギスなる魚を釣ったのも、この館山の海であった事を、ふと思い出した。

将来、娘に家族が出来たら、この館山の海で、シロギス釣りに興じてくれればなとも、思った。