ウラナミアカシジミ 幼虫 Japonica saepestriata (Hewitson, 1865)

最近、近隣で、この幼虫に出会っていた。

大きさは、2センチぐらい。

形状的に、イラガの仲間の幼虫かと思い調べていたが、辿り着けず、イラガにあるはずの棘針が無いことに気が付いた。そして、蛾ではなく蝶の幼虫かと思ったら、直ぐに種に辿り着けた。

ウラナミアカシジミの幼虫であった。この雑木林では、成虫に出会ったことはなかったが、少し離れた近くの雑木林では、ごくたまに見かける、そして、多くの都道府県がレッドリストに載せている、貴重な蝶である。

今回は、この幼虫を数匹目撃したが、この幼虫を集めたい時は、こうやれば良いのかという事を知ってしまった。

さて、このウラナミアカシジミJaponica saepestriata (Hewitson, 1865)の生息分布は、国内は、北海道の一部と本州と四国の北部である。紀伊半島には、Japonica saepestriata gotohi Saigusa, 1993という少し違う亜種がいるらしい。

海外には、また別の亜種がおり、朝鮮半島、中国北東部、ロシア東部に広く生息している。

この日本海を取り囲んだ生息域を眺めた時に、日本海が生まれる前は陸続きで、一塊にいた蝶なのではと思いたい。そして、九州に進出していなかったり、四国の北部にしか居ないのは、この蝶の移動能力も関係しているのではと密かに思っている自分がいる。

イチモンジチョウ 幼虫 Limenitis camilla (Linnaeus, 1764)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていた蝶の幼虫である。

直ぐに、タテハチョウの仲間の幼虫だろうと予測が付いたので、調べたところ、イチモンジチョウの幼虫と分かった。

この幼虫の食草は、スイカズラ科のスイカズラとの事だが、確かに、上の写真の齧られてる葉っぱが、スイカズラもしくはスイカズラの近縁種である。

違う角度からの写真をもう一枚。

さて、近隣でたまに出会うイチモンジチョウだが、生息分布は、国内は、北海道から九州まで。海外の生息分布は、これまた、ヨーロッパ(特に西ヨーロッパ)が原産と思えるような分布だが、次の大きな生息エリアが、極東の日本や朝鮮半島なのである。そのヨーロッパと極東の間には、現在ロシアのシベリア鉄道が通っているラインに沿って、生息地が点在している感じである。ユーラシア大陸の両端に生息エリアが生まれるのは、一体、どんなプロセスを経ての結果なのか、興味が湧いてしまう。ゆっくり、考えてみようと思う。

イチモンジチョウの成虫の投稿は、こちらから。

モンシロチョウ 幼虫 Pieris rapae (Linnaeus, 1758)

ひとつ前で、モンシロチョウの雌雄の違いの投稿をしたが、今回、そのモンシロチョウ達が小乱舞していた場所で、モンシロチョウの幼虫の写真も撮っていた。

付いていたのは、野生のアブラナであった。

大きさは、25ミリぐらい、もうそろそろ蛹になるのではないだろうか。

ここで、疑問に思ったのは、随分と寒くなってきた10月のモンシロチョウの幼虫は、蛹になった後、蛹のまま越冬するのか、それとも羽化した蝶が越冬するのか気になり始めたが、一応、蛹で越冬するというのが通説のようである。今回の写真の幼虫が、今シーズン最後のモンシロチョウの幼虫のサイクルかは分からないが、とにかく、蛹で越冬するようである。(もちろん、寒い時期の屋外で採取した蛹を、暖かい室内に取り入れてしまうと季節外れの羽化みたいな現象が起きてしまう事も想定できるが……。)

さて、話は変わるが、モンシロチョウの幼虫は、当然アブラナ科の野菜もムシャムシャ食べて、それらの野菜の出荷に影響を与えると思うのだが、それを防ぐために農薬が使われるなら、いっそのこと、生で食べる事もある葉物野菜とかは、生物の被害の少なくなる屋内の工場とかで効率的に作るのも有りかと考えるようになって来ている自分がいる。農家の高齢化は顕著であり、一方で、未来の世界事情を反映して食料の輸入や価格維持が、今後、国同士の駆け引きの中で、我が国にとって不利に動く時代も想定しておきたい。

何が言いたいかというと、現在の平和な日本での食糧事情に慣れきってしまっているが、国民が、現代の食糧供給の陰に見え始めている不穏要素(課題)に気が付き、食料の国内自給自立率のアップを真剣に考え、また多収や気候対応に向けて品種改良や、効率的な土地活用によって、アジアの農業先進大国の顔も作っていくことが、日本の未来には必要かなと感じてしまう。

平和って素晴らしい事だが、人間の未来に起こりうる異変を察知する感覚を鈍らせてしまうのも事実のような気がする今日この頃である。

モンシロチョウの幼虫から随分と話が脱線してしまったな。