カトリヤンマ? ヤゴ Gynacantha japonica (Bartenef, 1909)

最近、家の近所の谷津田を散策した時に、捕まえて、自宅に持ち帰って来た個体である。

マルタヤンマ、ヤブヤンマのヤゴと迷ったが、カトリヤンマのヤゴと思いたい。

さて、このカトリヤンマ……丘陵地の森林脇の水田や湿地で見かけるヤンマとのことである。まさに、捕獲場所は、ぴったりの場所である。

また、卵で越冬して、早いと孵化後1ヶ月ぐらいで成虫になる事もあるようである。幼虫期間が最も短いヤンマとも言える。

平均して7月下旬から羽化が始まるとのことなので、その時期には、また、その場所を訪れて、成虫のトンボの姿を確認してみようと思う。ただ、黄昏活動が顕著なヤンマらしく、日中は、竹藪とかでじっとしているとのことである。

ところで、このカトリヤンマ……各都道府県が独自に定めるレッドデータでは、絶滅を宣言しているのが、青森県と秋田県、絶滅危惧Ⅰ類に指定しているのが、岩手県、富山県、石川県、千葉県、東京都……要は、関東甲信越エリア以北で、準絶滅危惧種以上の指定をしていない都道府県は、茨城県に埼玉県に群馬県に山梨県しかないのである。北海道には、もともと生息していない可能性あり。

そんなレアなトンボなので、羽化したトンボが夕暮れに飛び交い始める頃に、是非また観察に行ってみようと思っている。

オオアオイトトンボ Lestes temporalis (Selys, 1883 ) 2

目下、この大きなイトトンボに沢山触れ合える場所がある。

種名は、オオアオイトトンボだと思う。日本のイトトンボ属最大のトンボである。

5月の今頃現れ、11月ぐらいまでは見れるトンボである。

この手のトンボには、オオ(大)が付かないアオイトトンボという種もいるが、両種とも、近隣の自然下では時々見かけるイトトンボである。

ただ、今回、このオオアオイトトンボが、それほど広くない草むらに密集している場所を見つけたのである。この場所は昔から知っているが、オオアオイトトンボの存在には気が付かなかったので、今が旬なんだと思いたい。

さて、このオオアオイトトンボと戯れてて感じたのは、このトンボは、人間の接近を、どれほど危険に感じているのであろうかという点である。というのは、近付くと逃げるが、決して遠くへ逃げようとはしないのである。飛んで逃げても、せいぜい数十センチ先の草茎に直ぐに止まるのである。もし、小さな網でも持っていたら、直ぐに数十匹は捕獲出来てしまう。

このオオアオイトトンボの生息域を眺めると、世界中に分布するアオイトトンボが、極東の日本近辺で固有進化したものと考えたくなる。国内では、北海道南部から、九州まで……国外では、ロシア沿海州南部から朝鮮半島にかけて生息報告されている。

一応、現在、北海道では、絶滅危惧種として扱われているイトトンボである。

最後に、胸部のアップの写真を以下に。

ナツアカネ

最近、とうとうナツアカネの写真を近隣で写すことが出来たので、投稿してみる。

大きさの方は、アキアカネより微妙に小さい。体長4センチ弱のトンボで腹部は2センチぐらいである。捕まえてみると、小さいなという印象が芽生えた。

目下、近隣で見かけるトンボと言えば、ノシメトンボとアキアカネである(シオカラトンボやオオシオカラトンボのシーズンは終わっている)が、ノシメトンボが、巡洋艦なら、アキアカネが軽巡洋艦、ナツアカネが駆逐艦といったところであろうか。サイズ比較の個人的なイメージである。

ところで、アキアカネやノシメトンボに混じって、極たまに、ナツアカネが混じっているのは感じていた。ただ、いつも写真で確認出来るようにと、写真を撮ろうと近付くと、逃げられてばかりであった。

という事で、今回は、いっその事こと、捕まえてしまった。

ナツアカネとアキアカネの違いとしては、両種とも6月から12月の頭ぐらいまで見られるトンボであるが、アキアカネの方は、夏の間、涼しい高地に移動するという習性を持っている。

近隣でアキアカネよりもナツアカネを見かけない気がするが、ナツアカネは止水環境でヤゴが育ち、アキアカネの方は少し緩く流れがある環境を好むようである。

形態的特徴としては、ナツアカネのオスは、アキアカネのオスと違って、顔から胸部から尾の先まで全身赤く染まるトンボである。私は、この胸部まで赤く染まっている特徴を、フィールドで見分けている。そして、胸部を横から見た時の真ん中の黒い筋の形で、決定的にナツアカネと同定出来るのである。

ナツアカネやアキアカネに代表されるアカトンボ……昔の方が沢山いた気がする。なんか寂しさを憶える。