ハスモンヨトウ 幼虫 Spodoptera litura (Fabricius, 1775)

数日前に近隣で見かけて写真に撮っていた蛾の幼虫である。

乗っていた葉っぱは、小川の土手に生えているアレチウリの葉である。

この幼虫は、ハスモンヨトウの幼虫なのだが、気が付いてきたのは、ハスモンヨトウの幼虫は、外見のバリエーションが紛らわしくなく、この色合いのものが多く、この紋様パターンのものが殆どなのではということである。

以下に、近隣の他の場所で、本年の8月に写真に撮っていたハスモンヨトウの幼虫の写真を以下に。一枚目の写真の幼虫が3センチぐらいだったが、2枚目の幼虫は、体長5センチ弱ぐらいあり、ハスモンヨトウの幼虫も大きくなるんだなと感じたのを覚えている。

さて、このハスモンヨトウの幼虫は、多色性で、殆どの野菜や草本植物を食べれるようである。

生息分布の方は、国内は、北海道から九州を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。小笠原諸島の父島、母島にもいるようである。海外の生息分布は、韓国、台湾は勿論、中国の東海岸から東南アジアを経てインド全域にまで。他にも、フィリピンやインドネシア。オーストラリアの沿岸沿いやニュージーランドや、ポリネシアの島々にも生息しているようである。

勿論、もっと寒い地域からの局所的な報告も上がっているが、暑いところに繁栄している蛾のような気がする。

最後に、ハスモンヨトウの名の由来だが、漢字で書くと、斜(ハス)紋夜盗であり、斜紋は、ハスモンヨトウの成虫に見られる斜めの紋様のことなのかなと考えたいが、どうなのであろう?

ニセアカマエアツバ? 成虫 Simplicia xanthoma Prout, 1928

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、クルマアツバ亜科の蛾としては大きい方で、前翅長15ミリぐらいある。

少し横から撮った写真を以下に。

種名は、ニセアカマエアツバだと思われる。

近似種に、オオアカマエアツバという種もいるが、違いは下唇髭の形状のようである。本種ニセアカマエアツバの下唇髭は、上の写真のように、先が少しふっくらと丸くなっているとのことである。(この特徴は、ニセアカマエアツバの雄に当てはまる特徴のようであり、今のところ、雌がどんな下唇髭をしているのかは、深追い中である。)

一方のオオアカマエアツバの下唇髭は、シャープに先が尖っている。(オオアカマエアツバに関しては、雌雄ともに、下唇髭が鋭く尖っているのを確認済みである。)

また、今回、ニセアカマエアツバを秋口と言える9月後半に見かけたが、3月から10月ぐらいまで見かけれる蛾とのことであり、オオアカマエアツバの方は、暖かくなり始めた5月ぐらいから出現し始める蛾とのことである。ここから、類推できるのは、ニセアカマエアツバの方が、おそらく寒さに適応した北方系の種であろうという事である。

この辺は、ニセアカマエアツバとオオアカマエアツバの生息分布を眺めることからも裏付け出来そうなのだが、ここがなんとも、私の仮説と真逆になってしまうのである。

先ずは、本種ニセアカマエアツバの生息分布を記すと、国内は、本州以南……対馬含む九州を経て、沖縄本島含む南西諸島まで生息しているようである。海外の生息分布は、韓国に台湾に、東南アジアのマレー半島やインドネシアのボルネオ島からの生息報告が上がっている。

一方のオオアカマエアツバの生息分布は、国内は、北海道から奄美大島辺りまでいるようである。海外の生息分布は、韓国と台湾からの報告は信用して良いようである。

あと、ニセアカマエアツバは、オオアカマエアツバよりも小さいとの情報もあった。上の写真の個体は、上にも書いてある通り、前翅長15ミリぐらいあって、決して小さい気はしなかった。

以上のような情報を元に、もう一度、上の写真の個体の種名を考えると、ニセアカマエアツバか、オオアカマエアツバか、自信がなくなって来てしまうのである。

今後も、一年を通して、両種の観察を続けて行きたく思う。

フタヤマエダシャク 成虫 Rikiosatoa grisea (Butler, 1878)

最近、近隣で見かけた蛾の一つである。

大きさは、前翅長17ミリぐらいあった。

肉眼では、クロクモエダシャク辺りかと思っていたが、撮った写真を見てみると、どうも違う気がする。

調べてみたところ、フタヤマエダシャクという種であろうとの結論に至った。

幼虫の食草が、興味深くて、アカマツとの事であるが、確かに、この蛾がいた辺りは、アカマツがまだ生き残っているエリアなのである。そのアカマツも、年を追うごとに枯れて本数を減らしていっているのが現状である。

余談だが、近隣の古い地図(明治初期のフランス式地積図)を見ると、近隣の集落周辺の大半は松林と記録されている。この松が黒松なのか赤松なのか分からないが、当時の村々が、灯り用の油取りのために、しっかりと松林を管理していたのが分かる。

しかし、その後に松を枯らす害虫が入ってきたのか、理由は分からないが、平地の近隣の自然下に、黒松や赤松が自生している風景には、先ず出くわせなくなってしまっている気がする。ちなみに、大正時代末期に入ってきた大王松は、農家の近くの雑木林の中に巨大に聳え立ち生き続けている光景に出くわすことはしばしばある。

さて、このフタヤマエダシャクは、年2化しているようで、5-7月と9月ぐらいに現れる蛾のようである。

生息分布の方は、国内は、北海道から、対馬含む九州を経て屋久島まで。海外の生息分布は、朝鮮半島からロシア沿海州にかけて。