マルバネウスグロアツバ? Hydrillodes pacificus (Owada, 1982)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長16ミリぐらいだったのではないだろうか。

直ぐに、ハイハイ……我家の外灯下の定番のソトウスグロアツバHydrillodes lentalis(Guenée, 1854)かヒロオビウスグロアツバHydrillodes morosus(Butler, 1879)のどっちかでしょみたいにスルーしようと思った。しかし、色合いがアップロードした写真だと微妙に変わってしまったが、オリジナルの写真だと、緑色というかオリーブグリーンの要素も結構入っていて、普段我家で見かけるタイプとは違うタイプだなとは感じていた。

こうして、種をもう一度検討していると、マルバネウスグロアツバという種のネット上の紹介に、この色合いと雰囲気のものが使われていることがある事に気が付いた。そして、マルバネウスグロアツバの名の由来であるマルバネ(前翅の頂翔が白い外横線の辺りから丸くなり始めている)の特徴が、確かにあるよなと見えて来たのである。ただ、これも、いつもと違う雰囲気のウスグロアツバということから来る思い込みの可能性もなくはないと慎重になりたくも思う。

という事で、今回はマルバネウスグロアツバにクエスチョン・マークを付けるという形で投稿させて頂いた。

マルバネウスグロアツバの幼虫の食草は、他の2種と同様に枯葉と思われる。

マルバネウスグロアツバの生息分布は、国内は、本州(関東地方南部)以南……九州近海を経て、沖縄本島まで生息しているようである。海外の生息分布は、ちょっと分からなかった。

ヒメエグリバ 成虫 Oraesia emarginata (Fabricius, 1794) 2nd

だいぶ時間が過ぎてしまったが、9月半ばに、我家の外灯下に来ていた蛾の投稿をしてみようと思う。

2年前の9月に過去に投稿済みの種であるが、今回は、我家に訪れていたということと、過去に投稿したタイプと紋様の雰囲気が違う(個体差が大きい種のようである)と言う事で、再投稿することにした。

上から見ると、こんな感じである。

大きさは、体長で、20ミリ弱ぐらいであったと思う。

種名は、ヤガ科エグリバ亜科のヒメエグリバ。

幼虫の食草は、アオツヅラフジ。アオツヅラフジ自体は、近隣に普通に生えているツタ植物である。

成虫は、果実を吸汁するようであるが、庭にあるハナモモの実が、過去にアカエグリバに吸汁されまくっていたのを思い出すと、同じ習性を持っているのだと思う。

さて、生息分布の方は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布は、台湾や韓国にもいるようで、特筆と思うのはインド半島に北から南まで満遍なく生息報告が上がっているところである。そして、オーストラリア大陸の北東岸にも居るのだが、オーストラリアの東岸にいる世界共通生物は多いが、北岸からも生息報告が上がるのは珍しい気がする。アフリカ大陸は、南東岸に集中している。

更にもう少し詳しく見ると、アフリカのマラウイとかザンベジ川を少し上った内陸部にいる事とインドの分布である。インドも、バングラデシュに注ぐガンジス川沿いに生息しているように見えるのである。ただ、標高の低い場所には定着せず、ある程度標高のある場所に集中しているように見える。

同時に気になったのは、ヒメエグリバの幼虫が食草とするアオツヅラフジCocculus orbiculatus (L.) DC.であるが、こちらは、東アジアの温帯地域に特化した植物であることが分かった。

クロクモヤガ 成虫 Hermonassa cecilia (Butler, 1878)

昨晩、我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

晩の冷え込みが増す中、この日は、我家の外灯下で見かけた蛾は、この1匹のみ。

大きさは、前翅長18ミリといったところであろうか。

種名は、クロクモヤガだと思う。黒い腎状紋を筆頭に、他の紋も黒っぽい濃い目の色をしていることから名前の由来が来ているなら、的を得てる気がする。

今の時期に見られた事で、てっきり晩秋に誕生して、成虫越冬するタイプの蛾かと思ったが、普通に春と秋に誕生(活動?)しているタイプの蛾のようである。

幼虫の食草は、キク科のハルジオンやタデ科のギシギシが確認されているようだが、これから考えると、おそらく、それらと同所に生える似たような植物なら、殆ど行ける口なのではと推測したい。

最後に、このクロクモヤガの生息分布は、国内は、北海道から九州近海まで。海外の生息分布に関しては、この蛾の学名では、情報は殆どヒットしなかったが、ロシア南東部沿海州には生息しているのが分かった。おそらく、朝鮮半島やそれに続く中国東北部等にも生息しているのではと思いたい。