ガマヨトウ? 成虫 Archanara aerata (Butler, 1878)

最近、この蛾を見かけて、写真に撮っていた。陽の当たらない暗い場所にいたのだが、運良く指に乗ったので、明るいところまで移動して撮影した。

爪との比較でも分かると思うが、この蛾は小さかった。前翅長1センチちょっとといったところだったと思う。

随分と小さいヤガ科のキヨトウの仲間だなというのが第一印象であったが、翅の間から腹部が長く飛び出しているのを見て、シャチホコガの路線も視野に入れた。ただ、シャチホコガの仲間にしては、小さすぎるし、なんか出立ちに個性がない。

調べていくと、ガマヨトウに似ているなと思うのだが、ガマヨトウの平均開張サイズの32ミリからみたいな条件には達しないような気もする。すかさず、ガマヨトウに似ている蛾で検索すると、 キスジウスキヨトウという種がいるが、そちらの種を紹介した写真には、上翅に小さな黒点のかたまりが見て取れたり、キスジの所以であろう翅脈の色が見て取れるものが散見される。

私には、上の写真の個体が、キスジウスキヨトウには見えない。ちなみに、ガマヨトウとして紹介される写真には、もっと光沢があるような翅の雰囲気を感じさせる写真もあるが、これは、現場での肉眼だとそういう風に見えてると言いたい。光加減によっては、金粉をまとってラメってるみたいな感じである。

少しテカリが分かってもらえそうな写真かと思う。

ちなみに、幼虫の食草は、ガマヨトウもキスジウスキヨトウも、ガマや、ヨシやヒメガマとの事であるが、この蛾を見つけた辺りには、そうした植物は定番にある。

最後に、ガマヨトウも、キスジウスキヨトウも、環境省のレッドデータで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されている種であるので、国内の殆どの都道県が、レッドデータで絶滅危惧種の類に指定しているのは言うまでもない。

最近、急に減ったと言うわけではないのか、ネット上には、ガマヨトウもキスジウスキヨトウも、殆ど画像が出回っていない。

結構、レアな種に出会えてしまったのかなと思う。特徴を掴む写真も、ばっちり撮れたし……あとは、これがガマヨトウである事を祈るだけ……。

ウスサビイロヤガ 成虫 Amyna sugiorum Kishida, 2010

数日前に我家の外灯下に来ていた蛾の一つである。

大きさは、前翅長12ミリぐらいだったのではと思う。このサイズで、この形だと、私はコヤガの仲間かコブガの仲間を当たる。

今回は、コヤガの仲間を調べていて、サビイロコヤガという種がサイズ的にも、紋様の配置的にも似ているとなった。ただ種名の謂れとなるようなサビイロ(錆色=赤茶色)はしていない気がした。すると、ウスサビイロコヤガという種がいる事を突き止めた。

しかし、調べていくと、ウスサビイロコヤガとウスサビイロヤガの二つの名前が存在する事を知った。何故二つの名前かと言うと、元々は、おそらくヤガ科コヤガ亜科サビイロコヤガという括りであったと思われるが、近年(20年ぐらい前?)ヤガ科アオイガ亜科サビイロヤガに種名変更されたんだと思う。確かに、前翅長12ミリぐらいだと、小(小さい)とも言い難いので、適切な種名変更だとは感じる。

そして、この辺りで、サビイロヤガの色合いや微妙な細部が違うタイプが、ウスサビイロヤガという新種として発表されたのかなと思う。

ゆえに、タイトルのところの学名に、岸田さん、2010年を意味する符号が使われているのかなと考えたい。

サビイロヤガの幼虫の食草は、イノコヅチと書かれた記事を読んだが、このウスサビイロヤガの幼虫も同じようなものを食べてる気はする。我家の庭に、ヒカゲかヒナタか、分からないけど、イノコヅチは生えている方だと思う。

ベニスジヒメシャクの一種 PT1 Timandra属

本日、昼休憩中に見かけて、写真に撮った。

ベニスジヒメシャクの一種であるのは一目で分かるが、5月に月が変わる前後、直近では先週金曜日に見かけていたベニスジヒメシャクの一種とは、今回のベニスジヒメシャクは、明らかに別種の気がする。

今回のベニスジヒメシャクは、以下である。

大きさは、開帳で30ミリぐらいだったと思う。

先ず、最近少し前に出会っていたベニスジヒメシャクのタイプ(一種)と違うところは、外横線がグニャグニャして見える点である。この蛾を見かけた場所からそう遠くない場所で少し前まで見かけていたベニスジヒメシャクの一種の方は、その線が、かなり直線的なのが特徴である。

また、少し前に見ていたベニスジヒメシャクの一種の方は、外縁の縁が彩られていた。また、触角も櫛髭状である個体にしか出会わなかった。上の写真の個体は見え辛いが、糸状の触角に見える気がする。

今回、敢えて外見上の差異から種を特定しようとしないで、ベニスジヒメシャクの一種として投稿している理由は、このベニスジヒメシャク達を外見上の見かけだけで判断するのは危険な気がして来たからである。

それらの外見上の特徴を参考にしながら、出現時期や生息環境等を加味しながら、慎重に検討して行った方が、説得力があるように思えてきた。

という視点では、少し前までによく見ていたベニスジヒメシャクの一タイプ(一種)は、明るい環境にいるイメージがある。おそらく、幼虫の食草は、スイバなんかだろうと推察する。

一方、上の写真の個体は、木が覆い繁る茂みの縁にいた。スイバなんかありそうもない他の雑木林でも、ベニスジヒメシャクの一種には出くわす事がある。

こうした様々な自然条件を加味しながら、今後は、これらのベニスジヒメシャク達に、のんびりで良いので、自分なりの考察を与えて行ければと考えている。

なんとなくだけど、サイズや外見的雰囲気から、上の写真の個体が、ネット上でフトスジベニヒメシャクやウスベニスジヒメシャクと紹介されているベニスジヒメシャクのタイプ達に近い気はして来ている。それら、2種の幼虫の食草は、タデ科のミズヒキ、イヌタデ、ミゾソバと書かれている記事が多かったが、私が、上の写真のようなタイプのベニスジヒメシャクが居そうな場所としてイメージしている環境には、確かにミズヒキ、ハナタデは確実に生えていそうな気がする。