ヤマキケマン Corydalis ophiocarpa Hook.f. et Thomson. 福島県東白河郡標高200メートル

先週末に、福島方面へと少し足を伸ばして出かけた際に見かけた植物である。

今回の道中,何処かしこにも生えていたというわけではなく,この植物が視界に入ったのは、この一ヶ所のこの株のみであった。

自宅に帰り,この植物の種名を突き止めようとなったのだが、すんなりは行かなかった。キケマン、ミヤマキケマンと、それと思しき植物は出て来るのだが、なんかぴんと来ないのである。

そんな中、ヤマキケマンという種もあることを知る事になった。それでも,やはり、写真のものがヤマキケマンなのか自信は、持てなかったのだが、ある方のヤマキケマンの紹介に、花色が黄色というよりは淡い黄色という特徴があった。少し日陰に咲いていたこともあると思うが、第一印象は、その場所の少し光度の落ちた空気感の中に,ボンヤリと薄く淡く黄色い反射を生んでいる花は何であろうというものであった。

他に上の写真の個体をヤマキケマンとしたい理由があるとすると,現在の私の乏しい植物知識では、近似種達の一般的な分布情報からの類推もある。キケマンの分布は、西日本であり,フウロケマンの分布も然り,一方、ミヤマキケマンの分布は、東日本………では、本命のヤマキケマンの分布はというと、近畿以西の山地や関東以西と幾つかの意見があった。こうしたことからも分かるように,日本全国,少し高い所に生えている黄色いケマンを、多くのサンプルとの比較で正確に見極めて、出来るだけ正確な種名で紹介されていない可能性である。ただ、これも現状では、避けることは出来ず,読んだり調べたりする人の真偽眼が試されているだけだと思う。

最後に、この植物をヤマキケマンとして、都道府県が独自に定めるレッドデータと照合すると、5つの都道府県が、絶滅危惧I類に、4つの都道府県が絶滅危惧II類に指定しているようである。同時に,ミヤマキケマンとしては、三つの都道府県が、絶滅危惧Ⅱ類以上の指定をしているもの知った。中には、ダブる県もあったりで、やはり、しっかりとした種の同定の基準が確立されているのかなとの少し疑念の生まれる属である。

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This is a plant I came across when I took a short trip to the Fukushima area last weekend.

Along the way on this trip, this plant was not something that appeared everywhere. In fact, it entered my field of view only at this single location, represented by this one individual.

After returning home, I set out to determine the species name of the plant, but the process did not go smoothly. Names such as Kikeman and Miyama-kikeman came up as possible candidates, yet none of them quite felt convincing.

In the course of this search, I learned that there is also a species called Yama-kikeman. Even then, I could not say with confidence that the plant in the photograph was indeed Yama-kikeman. However, in one person’s description of Yama-kikeman, it was noted that the flower color is not a strong yellow but rather a pale, soft yellow. It may have been partly because it was blooming in a slightly shaded spot, but my first impression was precisely that: within the somewhat subdued light of that place, the flowers gave off a faint, hazy reflection of pale yellow. I found myself wondering what kind of flower could produce such an impression there.

Another reason I am inclined to identify the plant in the photo as Yama-kikeman comes from inference based on general distribution information of related species—limited as my current botanical knowledge may be. Kikeman is said to be distributed mainly in western Japan, and the same applies to Fūrokeman. Miyama-kikeman, on the other hand, is distributed in eastern Japan. As for Yama-kikeman, which would be the most likely candidate, there are various opinions, such as it being found in mountainous areas west of the Kinki region, or from the Kanto region westward. As these examples suggest, there is a real possibility that yellow Keman species growing at somewhat higher elevations across Japan are not always being identified with sufficient precision through comparison with a large number of specimens. That said, this situation may simply be unavoidable at present, and it may be that readers and researchers alike are being tested on their ability to discern reliable information from uncertain sources.

Finally, if this plant is treated as Yama-kikeman and compared against the Red Data Books independently designated by each prefecture, it appears that five prefectures list it as Endangered Category I, and four prefectures as Endangered Category II. At the same time, I also learned that Miyama-kikeman is designated as Endangered Category II or higher in three prefectures. Some prefectures overlap in these listings, which leaves me with a lingering sense of doubt as to whether firm and consistent criteria for species identification have truly been established for this group.

コアジサイ Hydrangea hirta (Thunb.) Siebold 茨城県と福島県の県境付近 標高600メートル近辺

茨城県と福島県の県境付近に、植物観察をするお気に入りの場所があり,先週末に出かけてみた。

別に此処にしか無い珍しい植物ではないが、逆に茨城県の山なら普通に見ることが出来る植物である。

種名は、コアジサイ。

大概見かけるのは、このような軸が紫色がかっていて、花も薄紫っぽくて、葉っぱが、その場の他の植物達と比べると薄い黄緑色をしている個体達である。

ここで、このコアジサイの生息分布を調べていて興味を惹かれたのは、日本国内にしか生息してなくて、国内でもざっと関東以西から九州にかけて生息しているという点である。今回の個体の写真を撮った場所は、茨城県と福島県の県境より少し福島県に入った辺りだったが、この辺りは,まだ温帯の植物も生息しているエリアなのかという点も気に留まった。

このコアジサイの思い出としては、昨年,他の茨城の山で見かけた葉の色が薄く煤けた感じのコアジサイが気に入り,挿木をしてみようと枝を数本持ち帰って来たことがあった。細枝だったが、活着率は高く,2本ほどが根をしっかり出したのだが、今年,その差したコアジサイから出て来た葉っぱは、山で見たようななんとも言えない淡い色合いとは違い、普通の黄緑の葉っぱであった。まぁ、よくあることかもしれない。

トウコマツナギ Indigofera pseudotinctoria Matsum.

この植物は、特定の場所でよく見かける植物である。

この植物の印象としては、特定の場所には結構生えていて、雑草のような扱いを受けているが、数種の蝶がいつも訪れていて、花期も長く、見ているうちに庭木に欲しくなってくるといったところであろうか。

今まで、ちゃんと種名を調べていなかったが、おそらく、なんちゃら萩という名前なんだろうなとの予測はしていた。

そこで、今回、調べてみたところ、花の咲き方や花の形が、日本の自然のハギとは違う事を知った。そして、このような花の形で、長く穂状に咲かせる在来植物を調べたところ、コマツナギという種が浮上してきた。しかし、コマツナギの特徴である草丈1メートル未満という特徴は、私が見かけているものとはかけ離れ(大きいのだと草丈3メートルぐらいになっている)ていて、花色もコマツナギの花より濃い気がするのである。

そこで、更に調べを進めると、トウコマツナギという日本のコマツナギより全然大きくなる中国原産の似た植物がある事を知った。更に、このトウコマツナギは、新しく道路を作る際に、法面の緑化等に積極的に導入された経緯がある事を知った。

まさに、私がよく見かけている特定の場所というのが高速道路の法面や敷地なのである。おそらく、その場所の高速道路が整備されて25年ぐらいなので、その前にはその地には存在しなかった植物(低木)なのかもしれない。そして、高速道路を管理する会社が、一年に一回は、道路に逸出してきた個体は地際からバッサリと刈るのだが、翌年には元気に芽生えて来て、随分と元の姿に戻ってしまうのである。

さて、このコマツナギの本来の分布は、中国である。当初は、在来のコマツナギと同じ感覚で、法面緑化に使われたらしいが、外来種と分かると、その後使われなくなった経緯もあるようである。2000年ごろによく使われていたとの情報がネット上にあったが、私が、この高速道路のその場所が整備されたと記憶している時期と重なる。

道路の法面なんかもそうだが、河川や湖沼の改修なんかも、国土交通省の管轄だが、環境省系の知識や思想を持つ人達からすると、あまりに短絡的な計画が進行してしまっているケースは、よく見かける事である。