クワクサ Fatoua villosa

やっと、この植物の名前が分かった。芽生えて間もない頃の瑞々しい薄緑の葉の形状から、これまでシソが野生化していると、正直思っていた。

ただ、大きくなり、葉の表面はザラザラ感が強くなり、茎の先端の方の所々に、紫色の小塊の花を付けるようになると、これはシソではないなと気が付いたのである。シソなら、茎の先端に花穂が出来るはずである。

では、何という植物なのであろうと調べたところ、クワ科のクワクサという一年草だと分かった。

さて、この植物の生息分布は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の生息分布の方は、韓国、台湾、中国南東部、フィリピンインドネシア、ニューギニア、オーストラリア東岸とニュージーランド。……所謂、環太平洋のアジア・オセアニア側には、濃く生息している模様である。そして、北アメリカの東半分にも、このクワクサは進出しているのである。他にも、飛び飛びに世界各地で確認されているようである。

ここで気になるのは、この拡がりになるまでに、どれぐらいの時間がかかったのかという点である。もし、近年の急激なものなら、世界的に、侵略的生物として捉えられているはずだが、そのような動きはない気がする。

おそらく、東南アジアの何処かが原産地だと推測したいが、近隣での生え方を眺めると、日向日陰の何処かしこからも生えて来るわけではなく、元々低木や樹木が半日陰を作り、その下で、雑草が繁茂し始めて土壌の表面も風通し悪く常に湿り気味のような場所に芽生えて来る気がする。抜いてみると分かるのだが、根は直根ではなく、フサフサの髭根がモワモワッと存在するタイプである。要は、地表近くの水分量が、この植物には好影響をもたらしてくれている気がする。

また、雑草が繁茂してても、年中日向みたいな強光線が当たるような場所には生えておらず、やはり1日のうちに半日陰や日陰になるような場所に多い気がする。

発芽率の方は、かなり戦略が感じられる。過去に、このクワクサが毎年、適度に生えて来てしまうのを防ごうと、種子が落ちる前に、ほぼ全草抜いた時があったが、休眠種が芽生えて来るのか、あまり発芽率を抑えることが出来ない印象を持っている。

利用法に関しても、あまりネット上に情報のない植物でもあった。

カントウヨメナ Kalimeris pseudoyomena or Aster yomena var. dentatus.(APG分類Ⅲ)

この野菊は、近隣の小川の土手やら田圃の畦やらで、夏の終わりぐらいから薄紫色の花を目にすることが出来る植物である。

今まで、この植物の紫がかった花びらの色から、この植物をノコンギク(野紺菊)と思いたがる自分がいたが、今回、少し気合を入れてちゃんと調べてみたところ、ノコンギクではなく、カントウヨメナという種であろうとの結論に至った。

ざっと、カントウヨメナとノコンギクの違いは、横から見た時の総苞の形で、ある程度見分けられる事を知った。ノコンギクの総苞を横から見た時に、筒状に少し長めなのに対して、カントウヨメナは、お椀状に短めであるらしい。横から総苞を見た写真を以下に載せておく。

さて、このカントウヨメナの生息場所であるが、川の土手等の湿り気のある日向に生えている気がする。薄暗い雑木林内とかでは、他の野菊に出会う気がする。

このカントウヨメナであるが、関東以北と近畿地方にも生息する野菊であり、近畿地方を除く関東以西には、ヨメナという微妙に違う野菊が生えているらしい。海外の生息分布の方は、ちょっと分からなかった。

トウネズミモチ Ligustrum lucidum W.T.Aiton

先ほど、ネズミモチの投稿をしたので、続けて、近縁種のトウネズミモチの投稿をしてみようと思う。

トウネズミモチもネズミモチと同じように、植栽によく植えられている常緑の中低木である。

名前は、トウネズミモチ。

違う場所で撮ったトウネズミモチの写真を以下に。

さて、このトウネズミモチの原産地は、中国南部と言われているのだが、世界分布を眺めると、ネズミモチ以上に濃く世界中に進出しているようである。おそらく、各国に植栽で植えられた個体達が、実を鳥に食べられて、鳥の糞と共に少しずつ生息範囲を拡げている結果かと思われる。日本への渡来は、明治初期と言われている。

ネズミモチと同様に、漢方の世界では女貞子と呼ばれ、滋養強壮、月経不順、若白髪、視力の低下等に効能があるらしい。

近隣では、人口的に植えられたものの側から少しづつ増え始めているように見えるが、鳥が実を食べる割には、急速な拡がりは見せていないようにも見える。鳥の糞から芽生えたと思えるエノキやムクノキが、無秩序に近隣の至る所から芽生えてくることと比べたら、圧倒的に、拡がり方は弱い気がする。

ところで、ネズミモチの投稿でも触れたが、少し前までは、各地で植栽されたであろうこのトウネズミモチも現在では、生態系等に関わる被害防止に関する法律の中では、重点対策外来種として、国民に対策に動き出すことが求められている種になっている。私も、この事実を今回初めて知ったが、現状として、社会が、そんな事を気にかけているように見えないのが本当のところである。

私は、今後は、ネズミモチとの間で交雑が出来るのか、またどんな拡がりの特徴を持っているのか等、少し意識を持って、観察していこうと思うようになった。

最後に、トウネズミモチとネズミモチの見分け方を簡単に以下に書いておく。

ネズミモチの実の方が、長く紡錘型であり、トウネズミモチの実の方が少し大きく丸型である。(ただ、全部が丸っぽいとも言えずに、ネズミモチの実のように少し紡錘型のものもあるが、大きさは、ネズミモチの実よりは確実に大きいとは言える。)葉も、トウネズミモチの葉の方が大きく、手っ取り早い見分け方としては、空にかざして葉の葉脈を見てみる方法がある。ネズミモチの葉脈はほとんど見えないのだが、トウネズミモチの葉脈はハッキリ過ぎるぐらい見えるのである。

トウネズミモチの葉の葉脈
ネズミモチの葉の葉脈