ウスモンミドリカスミカメ Taylorilygus apicalis (Fieber, 1861)

昨晩、我家の外灯下に来ていたカスミカメの一種である。

この日は、このカメムシが、複数匹来ていた。

大きさは、体長5ミリぐらいだったのではないだろうか。

種名は、ウスモンミドリカスミカメ。

生息分布の方は、国内は、本州以南……九州近海を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。小笠原諸島でも確認されているようである。一方、海外の生息分布を調べてみて、驚くことになった。というのは、世界中の温帯地域に、広範囲に拡がっているのが分かったからである。そして、意外だったのは、動物地理学的な新北区である南北アメリカ大陸の温帯地帯に濃く広く拡がっているのである。

そして、人類の移動を伴わないと辿り着けないような絶海の島嶼にも生息している事を考慮すると、何の植物と共に移動して行ったのであろうと好奇心がくすぐられる。

また、随分と寒くなってきたこの時期に、我家の外灯下に複数匹が現れたところも気になる。今年も、我家の外灯下には、色々なカスミカメの仲間が訪れたが、暖かいシーズンには、このカスミカメを見かけた記憶がないのである。

昨晩の久しぶりの雨が、昆虫界のライフサイクルに何かしらのキッカケを与える事になったのかもしれない。

ホシヒメヨコバイ Limassolla multipunctata (Matsumura, 1920)

先ほど、我家の外灯下に来ていたヨコバイの一つである。

大きさは、体長3ミリぐらいであった。

見たことのないヨコバイの気がして、調べたところ、ホシヒメヨコバイという種と判明。

随分と寒い時期に活動しているヨコバイと思ったが、成虫越冬するようである。勿論、目立たないだけで、成虫で越冬している昆虫は沢山いるとは思われるが。

生息分布の方は、国内は、本州以南………九州近海を経て、沖縄本島にはいるようである。海外の生息分布の方は、ちょっと分からなかった。

ネット上で、このホシヒメヨコバイを紹介しているサイトの大抵が、今の時期の晩秋の投稿なので、この時期に人目に付きやすいヒメヨコバイなのは間違いなさそうである。

オオフタホシヒラタアブ?  Syrphus ribesii
(Linnaeus, 1758)

最近、近隣で見かけて写真に撮っていたヒラタアブの仲間である。

大きさは、案外と大きくて、体長17ミリぐらいあったと思う。

随分と冷え込んできたこの時期に、雑木林の林縁で見れるアブの仲間も激減しているが、このアブは、この秋の冷え込んできた時期に目撃できるヒラタアブの気がする。

候補に上がった種は、オオフタホシヒラタアブとケブカヒラタアブがいたが、ネット上での情報や画像を見る限り、この2種の違いや説明を鵜呑みにするのは、慎重になった方が良いと思い、取り敢えず、タイトルの方は、オオフタホシヒラタアブ?の形にした。

おそらく、成虫越冬して、春先にも見ることが出来るタイプのヒラタアブかと思われる。(ネット上では、ケブカヒラタアブに関しては、成虫越冬すると書かれているサイトに幾つか出くわす。)

さて、上の写真の個体を、オオフタホシヒラタアブSyrphus ribesii
(Linnaeus, 1758)
として、世界の生息分布を眺めると、動物地理学的に旧北区には拡がっていて、スカンジナビア半島の北限の方まで、ヨーロッパには濃く生息しているのが分かる。そして旧北区の極東の日本近辺にも居り、ベーリング海峡を渡ったというか、北極圏をショートカットしたり、グリーンランド経由もありで、新北区のカナダやアメリカ合衆国がある北アメリカ大陸の高緯度地域にも比較的濃く生息しているのが分かった。

ちなみに、このオオフタホシヒラタアブに外見が似ている仲間としては、海外のウキペディアでは、ケブカヒラタアブSyrphus torvus (Osten Sacken, 1875)とコガタノヒラタアブSyrphus vitripennis (Meigen, 1822)が言及されているが、全て、同じような世界分布を見せてくれる。

なお、コガタノヒラタアブSyrphus vitripennis (Meigen, 1822)という種は、この通りの和名では日本ではほとんど認識されておらず、和名が変わったか、別種として扱われている可能性も感じる。

以上のような3種の世界分布を眺めた時に、共通しているのは、南半球には基本的に進出していないのである。幼虫は、アブラムシを食べるらしいが、アブラムシが宿る植物の拡がりと一緒だったのか、その拡がり人間が早める手助けをしたのであろうかとか、どのように、世界へと拡がっていったのか、凄く興味深い昆虫だと感じた。