トウキョウコオオベソマイマイ Aegista tokyoensis (Sorita, 1980)

近隣で時々見かける小さめのカタツムリである。

以下の写真は、今年の梅雨時に我家の庭で写したものである。今は、このカタツムリは、殻に潜り込み休眠状態である。

大きさは、殻径8-9ミリぐらい。このカタツムリに関しては、思ったより、大きく成長するんだなとの印象を持っていた。

最近、手に入れたカタツムリハンドブックによると、トウキョウコオオベソマイマイという種ではなかろうかとの結論に至っている。

ただ、このカタツムリは、元々我家の敷地にいたというよりは、何処かで捕まえて来たものを、私が庭の朽木(元々は椎茸かなんかのホダ木)に捨てたものが繁殖していると思われる。その証拠に、その朽木周りに、集中している気がするからである。

では、何処で捕まえたのかの記憶を辿っても、全然思い出せないのである。しかし、ラッキーなことに、少し前の写真を振り返っていたら、トウキョウコオオベソマイマイと思われる個体の写真が出て来た。写真のデータから、生息場所の一つは割り出せた。

その時の写真を殻高のイメージが湧くように、2枚アップしてみる。

殻高が分かるのをもう一枚。

このカタツムリは、とにかく軟体部の黒さが特徴のカタツムリの気がする。

上の一枚は、我家の庭を梅雨時の夜に活発に動き回っていた個体である。

以下は、同じく、昼間に活動していた個体。

ミスジマイマイ ? 

このカタツムリは、数日前に、近隣で見かけ、写真に撮っていた。

大きさは、殻径3センチ弱。この手の大きめのカタツムリで、近隣で一番見かけるカタツムリは、ヒタチマイマイだが、この時もヒタチマイマイと思い込みそうだった。

ただ気になったのは、ヒタチマイマイの特徴である火炎彩(虎紋様)が、目立ってないなという点であった。

そして、次に取った行動は、この場所から一キロぐらい離れた場所に、ヒタチマイマイを少し見つけれる場所を知っていたので、そこに赴き、そこのヒタチマイマイと実際に比べてみようと考え実行した事である。

その場所では、ヒタチマイマイの生体は見つけられなかったが、運の良いことに死体の殻のみの個体は見つける事が出来た。以下が、その写真。

ヒタチマイマイの殻

そして、同時にヒタチマイマイの典型的なタイプと、ミスジマイマイと思われる個体との決定的な違いに気が付いた。火炎彩(虎紋様)云々ではなく、そもそも一番外周の巻きにある3本の横ラインの太さのパターンが違う事に目が行った。

ほぼほぼ殆ど、ヒタチマイマイの3本線は、上と下が太くて、真ん中が細い……一方、ミスジマイマイは、上と下が細く、真ん中が一番太いという特徴があるのではということに、初めて気が付いた。

こうなって来ると、今回の投稿の主役の方のカタツムリは、ミスジマイマイなのかなと思う。そして、同時に、ミスジマイマイと同定したとしたなら、発見場所が私に取っては、意義深い場所となった。

基本的に、私の知識の中では、ヒタチマイマイとミスジマイマイの生息域の境界は、縄文海進で隔てられていた北側の常陸の地をヒタチマイマイ………一方南側の下総の地をミスジマイマイのようにイメージしている。ゆえに、私が暮らす旧常陸国の南端の近隣では、ヒタチマイマイによく出くわすのは合点がいく。そして、時たま、ミスジマイマイと思われるカタツムリにも出会うのだが、このミスジマイマイ達が、悠久の古来より、近隣に生息していたのかを疑っている自分が居た。極たまに見かける近所のミスジマイマイは、人家や学校といった人の生活区の中や隣接する空き地で見ただけであった事からも、近年誰かが飼育や観察後に野に放したものが繁殖しているだけではないかとの疑念を持っていた。

しかし、今回見つけた場所は、周りには、人家は、ほぼ無い緩やかな河岸段丘内のメダケの林である。何が言いたいかというと、近年ではなく、遠い何千年以上も前の時代に、既に、漂着や人々の交流や、更にもっと昔の時代にカタツムリ自体の陸路の移動により、この地で、2種が共生していた可能性もあるなと思いを巡らせ始めたのである。

ただ、ヒタチマイマイと違い、近隣で中々出会えないのがミスジマイマイである。

今度は、近隣の何処で出会えるのであろう……。

ミスジマイマイと思われる個体を横からのアングルで
ミスジマイマイと思われる個体を、逆さまにしたアングルで

モノアラガイ

最近、たまに遊びに出かける北の方角に隣の隣に位置する自治体内の小川に居るのは知っている。近隣近所では、見かけない(反陸棲?)の小さな巻貝である。

また、この貝の特徴として、殻が薄く内部の軟体部の紋様が透けて見えているという特徴も、個体差が殆どない特徴の一つの気がする。

大きさは、殻高で2センチあるかなぁといった感じである。近所でよく見るサカマキガイは、もう少し小さいので、これが、最近見かけなくなってきている(環境省準絶滅危惧種の)モノアラガイかと予想はしていたが、実際にそうであった。

さて、このモノアラガイを観察していると、ずーっと水中生活をしている貝というわけではなく、近くの抽水植物の茎なんかに登っている光景を、現場では目にしている。ただ、ジャンボタニシはともかく、在来のタニシの類が抽水植物の茎を高く登っている光景は見た記憶がない。ちなみに、在来のタニシは、コンクリートの壁は、登っている光景には出くわす。

さて、このモノアラガイが減ってしまった原因は、やっぱり農薬等で汚染された水や汚れすぎた水が原因なのであろうか。近所で見かけた事が無いが、近所でほぼ絶滅が確認出来たら、近所に再リリースするのもありかと思う。理由は、水質を知る環境指標的生物として使えると思ったからである。

ちなみに、このモノアラガイが居た小川には、少し陸の方(ところどころ被りながら)には、オカモノアラガイも生息していた。私の勘では、オカモノアラガイ(この投稿の主役はモノアラガイだが)は、暑さが苦手で、北へ北へ移動しているカタツムリの気がするが、我家から少しだけ北の地域には、まだ生息していることも知れた。

さて、このモノアラガイは、環境省のレッドデータで準絶滅危惧種、茨城県独自のレッドデータで、ワンランク上の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている淡水小型巻貝である。