チュウサギ Ardea intermedia (Wagler, 1829)

近隣で、白いサギはよく見かけるが、名前をしっかりとちゃんと調べてみたのは初めてかもしれない。

野生の鳥の警戒心はなかなかのものであるが、よく見かける白い鷺達でさへ、いや、よく見かける白い鷺達の警戒心は結構なもので、ずいぶん遠くからでも人の気配を感じると移動してしまうものが多い。

今回は、珍しく、10メートル圏内に近付けた。車を降りなかった事も功を奏したかもしれない。

この手の鳥類の大きさを表現する時に、どこからどこの距離で表現したら良いのか分からないので、表現し難いが、同じく、近隣でよく見かけるコサギと同じようなサイズに感じた。

多分、写真を撮っていなければ、コサギがいるぐらいの感覚で、側を通り過ぎてたに違いない。

ただ、写真を見返すと、コサギの独特の頭部の後ろの飾り羽や、背中の後方の長く伸びた飾り翅のふわふわ感も無い気がする。

こうして来ると、これがチュウサギかと思い、調べ始めたのだが、コサギの場合は、絶対的に、脚の指が黄色のようである。水面から出ている脚の先を見ると、ここで、コサギではないということが分かる。ちなみに、上の写真で黒く見える嘴は、チュウサギの場合は、冬季になると黄色くなるようである。

もうこの時点で、チュウサギと断定して良いと判断した。近隣には、ダイサギという白鷺もいるが、彼らは、もっと全然大きい気がする。嘴に関しては、チュウサギが1番ずんぐりとしていて、コサギやダイサギの嘴の方が、細く鋭い。

さて、このチュウサギの生息分布は、日本に生息する昆虫の生物地理学的な分布を眺めることに慣れて来ている自分からは、興味深いものだった。というのは、日本の昆虫に関しては、旧北区というユーラシア大陸の温帯以北に拡がっている種が多く、ゆえにヨーロッパとの共通性が多い種が多いが、鳥類というのには、その傾向は当てはまらないんだということを知る事になった。

このチュウサギは、生物地理学的にエチオピア区)と東洋区(インドや東南アジアの辺り)とオセアニア区に大繁栄している種と分かった。日本の領土辺りが北限の鳥であることも分かった。

そして、この白鷺達やアマサギを見てて思うのは、警戒心は強いものの、人間との結び付きは重要視している気がするのである。今回も餌を取りやすい田んぼという人位的な環境に集まって来ているし、まだ勘の状態だが、広大な新田の中より、近くに民家(集落)がある田んぼの方が、よく見かける気がしている。この辺の原因も、少しづつ感じていければなと思う。

ブルーギル

数日前に、近所の用水路の終点で捕まえた。1,5メートル四方のコンクリートの枡を網でさらった時に、何か大きな魚が入ってきた感覚があった。

引き上げてみると、この魚であった。

この写真の個体は、体長17センチぐらいだった。ブルーギルとしては、大きい方だと思う。

この魚種との初めての出会いは、小学校6年生の秋に転校先の北九州の野池が初であった。転校前の関東時代には、ブルーギルは、伊豆の一碧湖にしかいないぞぐらいに思っていたから、遠く九州の地に既に繁殖している事を知り、感動したものだった。

しかし、九州の野池には既に沢山いて、中には、ブラックバスは居ないけど、ブルーギルはいるみたいな野池も沢山存在した。

その後は、特定外来生物に指定されて、少しづつ姿を見なくなり始めた最近まで、公園の管理された池から平地の至る所の水系で、普通に沢山見れた。

最近は、近隣では、明らかに減って来ている気はするが……

ところで、今回は、九州の新しいお友達と初めてブルーギルを釣りに行った日の思い出を回想してみようと思う。

私が、釣りや生き物が趣味と知ると、その学校の新しい友達から、山あいの霊園に付属した大きめな池にブルーギル釣りに誘われた。手ぶらで良いので、集合場所に自転車で来るように言われた。

集合場所に現れた少年達は、誰も釣竿は愚か釣り道具も持っていない。持参していたのは、駄菓子屋で100円で買える網とバケツのワンセットだった。

今日は、釣りに呼ばれてるんだよなと半信半疑着いて行くと、山間に澄み切った水を湛えた綺麗な池が現れた。その時の友達らが、共同作業でした事は、先ず背の低い竹(笹?)が生える林で、適当な竿になりそうな竹(笹)を見つける。

続いて、宙を見上げて、池に迫り出した樹木に絡む釣り糸や浮きや針を、あらゆる手段を使い回収する。そして、その糸を歯で食いちぎり、結び直して仕掛けにする。

餌はどうするのかと思ったら、駆け上がりにビッシリと付くヨシノボリの稚魚を網で救い、針に付ける。

あとは、ブルーギルの入れ食いである。そしてその日、誰が言ったか、その一連の流れを、ポチョン……ググッー……ザバァーと擬態語にして釣り始めたのである。ポチョンと仕掛けを投げ入れた瞬間にググって引があり、ザバァーと釣り上げるという意味である。

その地に引っ越す前には、お小遣いが出る度に、大型釣具店に釣り道具を買いに出かけ揃えていた自分からすると、目から鱗で、本当に、この新しい友達らの感覚がクールに映った。その日以降は、「今日学校終わったら、ポチョン・ググー・ザバァー行く?」が合言葉として使われるようになった。

さて、この現地調達の工夫に満ちた逞しいスタイルは、その後、私は海釣りの場で一人で進化させていった。釣りを初めたがっている友達が居ると、近所の海の岸壁に誘ったものだった。当然、バケツしか持たない自分の姿を見て、初めて釣りをしに来た友達は不審そうな顔をしているのだが、一瞬で、釣り人達の捨てていった釣り道具を解き、(海の場合は、割れた瓶の破片が沢山あるので、それをナイフがわりに)、仕掛けを作り、海に投げ入れるのであった。餌は、岸壁に幾らでも居たフナムシ。 入れ食いとまでは行かないまでも、クロ(メジナの子供)やアイナメが適度に釣れてきたものだった。

釣り人のマナーが悪かったから出来た子供の釣りスタイルだが、今の子供達にも、自然の中で創意工夫に満ちた遊びを忘れさせないで欲しい。