シマヘビ Elaphe quadrivirgata
(Boie, 1826)

最近、自分の中では、近隣でシマヘビを見かけない気がしている。

シマヘビに多く出会えた雑木林でも、4,5年前を境に出会える蛇は、アオダイショウに代わった気がする。

自然界では、こうした現象はよく起こるが、9月の頭に車で4-50分のところにある場所に、ウナギ釣りに出かけた際に、久しぶりに見かけて写真に撮っていたので、紹介したいと思う。

ウナギ釣りに興じていたが、ふと背後の水門を見るといた感じである。

すぐに、典型的な紋様のシマヘビと分かったが、最近、近隣の自然下で出会うヘビがアオダイショウばかりだったので、少し嬉しく感じた。

シマヘビは、子供の頃より何処でも普通に出会えるヘビだったが、アオダイショウと比べるとそれほど大きくならない印象を持っていた。しかし、10年近く前に、長さはちょっと劣るが、アオダイショウの老体並みに大きく太いシマヘビに出会ってから、随分と大きく育つシマヘビもいるんだなぁとの感想を持っていた。

シマヘビが優占種だった雑木林でアオダイショウしか見かけなくなった理由を自分なりに考えているが、今のところ、答えは見つけれていない。温暖化?………シマヘビを好む天敵の出現?

ただ、その雑木林では、樹液の出るクヌギに集まる甲虫を狙ってか、シマヘビの綺麗なマムシに擬態したような幼体が待ち構えていると思われる姿が観察できたり、積み上げられた材木に座って電話してたら、積み上げられた材木の下からシマヘビの幼体が現れたりして、普段隠れている場所の手掛かりをもらったりしたのを覚えている。

さて、もしかして、シマヘビを見かけなくなったのは、温暖化の影響はないかとの仮説を自分なりに立てて、先ずはシマヘビの本来の生息分布を調べてみたのだが、意外だったことには、シマヘビの英名が、Japanese striped snakeというだけあって、日本列島の固有種と言いたくなるような生息分布であった事である。興味深いのは、アメリカ合衆国の広大なフロリダ州全般にもシマヘビは拡がっているようで、どういう経緯で持ち込まれたものが拡がったんであろうと興味が湧いた。

では、今度は、アオダイショウの生息分布も調べてみたのだが、こちらもJapanese rat snakeという英名が付けられていて、シマヘビ同様に日本列島に固有と言いたくなるような分布なのである。そして、どちらにも気候帯の嗜好みたいなものを、私は見出せなかった。

ちなみに、近隣では見かけたことがないが、幼き時から千葉県や九州の水田でよく見かけていたヤマカガシ(英名:Tiger Keel Back)という蛇は、中国大陸の方にも結構広く分布している蛇ということも知った。(現時点では、日本にいる他の蛇の海外分布は調べていない。)

シマヘビは、温暖な九州の地にも居たのを覚えている。学校の掃除中に、焼却炉の近くにいたシマヘビを捕まえた生徒が、皆に見せようとゴミ箱の中に入れて持ち歩いたのだが、そのゴミ箱の中のシマヘビは、小便臭というか、とても強烈な臭いを撒き散らしていたのを覚えている。

次は、何処でシマヘビに出会えるだろうか……楽しみである。

シモフリシマハゼ Tridentiger bifasciatus (Steindachner, 1881)

最近、ハゼ(マハゼ)釣りにハマっている。8月までは、ウナギ釣りにハマっていたが、9月になり、ウナギが釣れなくなったので、取り敢えず、お手軽なイメージのハゼでも釣ってみるかといった感じである。お手軽と言っても、食味的には、マハゼは、自分的には高級魚のランクである。

この日は、関東最大の汽水湖である涸沼と海を繋ぐ涸沼川で竿を出してみた。お友達らから、「デカいハゼは、テトラの中を狙え!」と言われてたので、半信半疑やってみた。

さてさて、テトラの隙間は沢山あるが、いざ仕掛けを落としてみると、予想してたより全然浅い。おまけに、アタリも全然感じないので、置き竿でしばらく放置。

メインは、流れのある本流をサビいて、ほどほどにクロダイの幼魚からの魚信を楽しんでいた。

時々、全く竿先に変化の起きない置き竿を上げてみるのだが、この魚が掛かっていることが殆どだった。

平均サイズは、8センチぐらいであったであろうか。

なんだ、この縞のあるハゼは?……未だに、名前を知らない魚がいるもんだと思いながら、釣れ上がって来ても、サイズ的に全部リリースした。

あまり鮮明ではないが、写真には撮っていたので、帰宅後、種名を調べてみると、シモフリシマハゼと種名が判明した。とにかく、過去の印象に残っていない魚なのは確かである。

シモフリシマハゼの名前の由来は、眼の下の方から腹部にかけて見える散りばめられた小点が霜降りを意味し、写真でも見て取れる体側を走る横縞がシマを意味していると思われるのである。

生息分布の方は、国内は北海道から九州に至るまで。海外の生息分布は、ロシア沿海州、朝鮮半島、台湾、対する中国福建省や香港辺りから生息報告が上がっている。そして、興味深いのは、アメリカ西海岸の沿岸部。こちらは、大型船のバラストに混ざって移動してしまったんだと推測できる。

まだ食した事はないが、美味との事である。美味と表現されても、骨とか苦味のある場所を取り除いて食べるタイプの私には、好む味でないのは想像が付く。ただ、魚の腹わた等の苦味を最高の栄養として捉えるなら、食べやすい魚の予感もする。

いつか、食してみようと思う。

クロダイ (チヌ) Acanthopagrus schlegelii (Bleeker, 1854)

最近、少し車を飛ばし、海水の入るエリアに釣りに行くことが増えたのだが、下の魚種は、涸沼川という小河川で釣れてきた。飽きない程度に釣れて来る。

上の写真の個体で、体長15センチぐらい。

さて、種名はと言うと、幼魚ではあるがクロダイだと思う。子供の頃から釣りを趣味にする人達は多いが、釣りをする人には、とても馴染みのある魚である。

私は、少年時代を九州で過ごしたことがあるが、その地でも、チヌと言われて、海のウキ釣りの対象魚の王様みたいな位置付けにあった魚である。子供達には、チヌの幼魚の別名であるチンチンという愛称が、大いに受けていたのも思い出す。

私は、少年時代は、親と一緒に釣りに出かけるときは、もっぱら白砂のサーフで投げ釣りをしていたので、このクロダイが釣れて来る事はほぼ皆無であった。その環境で釣れてくるのは、クロダイではなく、真鯛の子であるチャリコである。

おそらく、子供達だけで出かける堤防での気楽なヘチ釣りで、ごくたまに釣れてきたかなという思い出ぐらいである。子供達の竿や素手竿(手釣り)には、クロダイよりも圧倒的にメジナが掛かった。そして、次に多いのはアイナメ。次に多いのは、カサゴやメバルだったであろうか。餌は、堤防にへばり付くフナムシで十分であった。

ゆえに、殆ど、我家の食卓に、クロダイが上ることはなく、しっかりとした味の記憶が残っていないのだが、1ヶ月ぐらい前だったか、近所のスーパーで、30センチぐらいのクロダイが格安で売っていたので、刺身に挽いて恐る恐る食べてみた。感想は、脂がかなり乗った美味しい味であり、へぇ〜って思った。

それでは、この日本全国津々浦々で釣りの対象魚として人気のあるクロダイ(チヌ)の生息分布はと言うと、国内は、北海道の南部から九州の奄美大島辺りまでで、海外は、朝鮮半島辺りを北限に中国沿岸や、南は台湾辺りまで生息しているらしい。そして、沖縄含む南西諸島には、クロダイではなく近縁種達が生息しているとの事である。

どうして、このクロダイの生息分布に拘ったかと言うと、今回釣行した河川では、クロダイばかりが釣れてきたが、それほど遠くない河川(例を上げるなら千葉県の太平洋岸の河川)では、同じような環境では、キチヌ(キビレ)という種が、優先種として釣れて来るのである。

当然、自分としては、このそっくりな2種の違いや、これまで辿ってきた進化の歴史が知りたくなってしまうのである。そして、2種の棲み分けに繋がる原因や環境が何処にあるのか突き止めたくなってしまうのである。

最後に、私のブログでは、基本的に家の近所で見かける事が出来る生物の投稿をしているので、今回のような海の魚を投稿するのは違うと思いそうだが、本当にそうであろうか?

私が住んでいる場所は、茨城県の洪積台地上の端にあり、今より海面が高かった縄文時代には、目と鼻の先の眼下にある現在の新田系のエリアは、海(海水が来ている)であったことが明らかである。その証拠に、近所の台地上には、ところどころ貝塚が見つかり、当然、クロダイの骨も混じっているのである。

増え続ける人口を養うために、そうした元々海であった場所は干拓されて食糧増産の水田へと姿を変えて、同時に、その地に暮らす人達のために、農地への塩害防止や、飲料水確保のために、汽水域が淡水化されていく。

日本で2番目に大きな淡水湖である霞ヶ浦が昔のような汽水湖に戻る時代がいつか来るんであろうなと予測しながら、この投稿を締めくくる。