ヒガシニホントカゲ Plestiodon finitimusOkamoto et Hikida, 2012 2nd

数日前に、庭の草むしり中に、斜面の穴から飛び出してきた感じである。

小さい幼体であったので、力も弱く捕まえやすかった。

所謂、トカゲであるが、正式な種名は、ヒガシニホントカゲである。

もう少し大きくなると、雄は、背中の3本のラインが薄れて、茶色っぽい雰囲気が出てくるみたいである。ただ、大きくなっても、上のようなラインのはっきりした個体ばかりに出会う気もする。雌ばかりに出会っているのであろうか?

さて、このトカゲ(ヒガシニホントカゲ)は、同じ爬虫類のカナヘビと比べると、近所で全然出会えない気がする。そして、少し標高の高い山の中腹とかだと目にする確率が高くなる気がする。私の記憶で、1番高いところで出会ったヒガシニホントカゲは、標高700メートルぐらいの場所であった。

ちなみに、ヒガシニホントカゲは、準絶滅危惧種に指定しているのが、埼玉県と福島県。絶滅危惧II類に指定しているのが、栃木県。絶滅危惧Ⅰ類に指定しているのが、千葉県。他に、静岡県と滋賀県が、要注目種みたいな括りで扱っているが、どちらも、純粋なヒガシニホントカゲの領域かどうかには慎重なアプローチが必要だと思う。

ところで、元々は、日本国内にいるトカゲは、全部同一種に思われていたのだが、近年になって、大まかに東日本にいるのがヒガシニホントカゲで、近畿以西にいるのが、ニホントカゲで、伊豆半島や伊豆諸島にいるのがオカダトカゲと、遺伝子レヴェルで区別されるようになったのである。

では、どういう棲み分けになっているかというと、ヒガシニホントカゲは、ロシア沿海州にもいるようであるが、フォッサマグナが出来上がり、日本列島が東西へと分断された2000万年前ぐらいに種分化していったのであろうか。伊豆半島も違うプレートであるので、ここのオカダトカゲも、何かしらの微妙に違う進化を辿った可能性も否めない。

とにかく、フォッサマグナの形成された時代の前に、恐竜は絶滅しているが、同じ爬虫類のトカゲが今と殆ど同じ姿で存在していたと考えたくなってしまうが、真実は、もう少し多角的に、アプローチしないことには何とも言えない。

キビレ Acanthopagrus latus (Houttuyn, 1782)

 我家の近隣の生物とは言い難いが、7月の頭に九十九里浜に注ぐ河川の河口で釣れた魚である。

まだまだ10センチを少し超えるぐらいの幼魚であるが、同じような環境でよく釣れてくるクロダイ(チヌ)の幼魚と、なんか違うと感じた。

そして、これがキビレという魚かと思い調べたところ、やはりキビレなのかなとの結論に至った。

ヘダイはもっと頭部が張り出しているし、クロダイの幼魚にはうっすら縞紋様が見える。

ところで、このキビレは見たかった魚である。昔から馴染みのあるチヌの幼魚(チンチン)ではなく、このキビレ(キチヌ)という魚が、どのような生息分布をしているのかを学ぶキッカケが欲しかったのである。

という事で、キビレの生息分布を、クロダイ(チヌ)との比較も交えて眺めてみる事にした。

国内は、関東以西の太平洋岸が主な生息域で、兵庫県以西では日本海側にも生息しているようである。ただ、日本の領域である南西諸島にはいないとの情報もあった。海外は、中国の南部沿岸に多く見られて、遠くは、オーストラリア沿岸や、インドの沿岸やペルシャ湾の方まで生息しているようである。

一方で、同じクロダイ属のクロダイの方は、国内は、北海道南部を北限に、日本の沿岸部にはほぼ生息しているようである。ただ、奄美諸島以西の南西諸島には、ナンヨウチヌという似た種が生息しており、生息していないとのことである。海外の生息分布は、韓国沿岸、台湾沿岸、中国南部沿岸に生息しているようで、本投稿の主であるキビレよりは、クロダイの方が世界規模では限定的な生息分布を示している事が分かった。

チュウサギ Ardea intermedia (Wagler, 1829)

近隣で、白いサギはよく見かけるが、名前をしっかりとちゃんと調べてみたのは初めてかもしれない。

野生の鳥の警戒心はなかなかのものであるが、よく見かける白い鷺達でさへ、いや、よく見かける白い鷺達の警戒心は結構なもので、ずいぶん遠くからでも人の気配を感じると移動してしまうものが多い。

今回は、珍しく、10メートル圏内に近付けた。車を降りなかった事も功を奏したかもしれない。

この手の鳥類の大きさを表現する時に、どこからどこの距離で表現したら良いのか分からないので、表現し難いが、同じく、近隣でよく見かけるコサギと同じようなサイズに感じた。

多分、写真を撮っていなければ、コサギがいるぐらいの感覚で、側を通り過ぎてたに違いない。

ただ、写真を見返すと、コサギの独特の頭部の後ろの飾り羽や、背中の後方の長く伸びた飾り翅のふわふわ感も無い気がする。

こうして来ると、これがチュウサギかと思い、調べ始めたのだが、コサギの場合は、絶対的に、脚の指が黄色のようである。水面から出ている脚の先を見ると、ここで、コサギではないということが分かる。ちなみに、上の写真で黒く見える嘴は、チュウサギの場合は、冬季になると黄色くなるようである。

もうこの時点で、チュウサギと断定して良いと判断した。近隣には、ダイサギという白鷺もいるが、彼らは、もっと全然大きい気がする。嘴に関しては、チュウサギが1番ずんぐりとしていて、コサギやダイサギの嘴の方が、細く鋭い。

さて、このチュウサギの生息分布は、日本に生息する昆虫の生物地理学的な分布を眺めることに慣れて来ている自分からは、興味深いものだった。というのは、日本の昆虫に関しては、旧北区というユーラシア大陸の温帯以北に拡がっている種が多く、ゆえにヨーロッパとの共通性が多い種が多いが、鳥類というのには、その傾向は当てはまらないんだということを知る事になった。

このチュウサギは、生物地理学的にエチオピア区)と東洋区(インドや東南アジアの辺り)とオセアニア区に大繁栄している種と分かった。日本の領土辺りが北限の鳥であることも分かった。

そして、この白鷺達やアマサギを見てて思うのは、警戒心は強いものの、人間との結び付きは重要視している気がするのである。今回も餌を取りやすい田んぼという人位的な環境に集まって来ているし、まだ勘の状態だが、広大な新田の中より、近くに民家(集落)がある田んぼの方が、よく見かける気がしている。この辺の原因も、少しづつ感じていければなと思う。