マツカサガイ

前回の祝日に、隣の隣の隣の自治体の川に、ガサガサをしに出かけた。平成の大合併で、自治体は大きくなり、高速道路を使い車で40分ぐらいの距離にある場所である。

その小川では、ドブガイの殻が直ぐに目に入ったので、タナゴも居るに違いないとは感じたが、網には、タイリクバラタナゴが直ぐに入った。

しかし、数回のガサのあと、別のタナゴが入ってきた。知識的に、ヤリタナゴだと、直ぐに分かった。

そして、そのガサの合間に、少し泥を掬ってしまった際に、小さな2枚貝が入っていることに気が付いた。元々、小さめのドブガイを3匹ぐらい持って帰ろうとしていたので、その貝も、バケツに落とし込んだ。

いざ、帰宅後に、捕まえた生物を仕分けしていると、先ほど捕まえた貝のひとつが、ドブガイではない事に気が付いた。そして、イシガイでも無ければ、これが、マツカサガイかと気が付いた。

名前は、マツカサガイ。大きさは、6センチぐらいになる貝らしい。私が捕まえたものは、4センチちょっとぐらいだったかなぁ。

家の近所の水系にも、ドブガイは結構居るし、イシガイも居なくはない。しかし、マツカサガイは、自然下では初めて見た。

最初は、マツカサガイと気が付かずにバケツに放り込んだのだが、改めて手に取るとドブガイやイシガイと間違いようがない貝だと実感した。殻は、分厚く、ドブガイの同サイズとは比べようがない。イシガイの幼体よりも、しっかりした頑丈な殻に思える。また、紋様の方も、マツカサ(松笠?)の謂れと思われる凸凹の紋様がクッキリと現れている。

さて、この場所には、ヤリタナゴがタイリクバラタナゴと同じぐらいの比率でいたが、ヤリタナゴが好む貝が、マツカサガイらしい。ヤリタナゴ自体は、近所の小川でも捕まえる事はあるが、マツカサガイは目にしたことがないので、イシガイや小さめのドブガイといったいった他の貝も、ヤリタナゴが産卵に使っていると考えたいが、ヤリタナゴのマツカサガイの嗜好性がいかほどなのかは知りたい気がする。マツカサガイの方が、多くヤリタナゴの稚魚を産出するなら、近所の小川にもマツカサガイを復活させたい気もする。

今回、捕まえたマツカサガイは、タナゴ釣りの愛好家が、ヤリタナゴが増えろと投げ入れ(たまにやってる思う)た個体群が増えていったものなのか、元々昔からその場所に居たものなのかは、今回一回だけ、そのフィールドに行った経験では、分からない。

ただ、小さめのマツカサガイ……とても可愛い貝だと思った。環境省のレッドデータで、準絶滅危惧種に指定されている貝である。茨城県のレッドデータでは、ワンランク上の絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。

ヒメタニシ

近隣で見かける所謂タニシと言えば、本種ヒメタニシだと思う。

用水路や田んぼ脇の側溝なんかに普通に居る。もっと黒くて丸くて大きいタニシ(マルタニシ?オオタニシ?………幸運な事にジャンボタニシは、見かけない)も時々出会うが、基本的に、近隣でタニシと言えば、この殻長25ミリぐらいで円錐形で色が薄めのヒメタニシである。

ただ、時々感じるのは、冬場に完全に水が干上がる側溝に今の時期に群れているヒメタニシは、水が枯れている半年ぐらいの間、何処に潜っている…潜んでいるんだろうという事である。

水が枯れない本流が近ければ、そこに移動、冬に水が無くなっても田んぼの土中、谷地の側溝なんかは、崖の落ち葉の下の腐葉土の下なんかに移動してしまうんだと考えられる。やばい……水が枯れたではなく、当たり前の年中行事のように湿った場所に、焦ることなく余裕で移動をしている気がする。言い換えるなら、半陸生と言っても良いのではと思いたくなる。こうした自然条件の変化への順応性を、果たして人類が持っているか疑問である。

また、このような行動様式の果てにカタツムリ等の陸生貝類が誕生していったのかなとも想像したくなる。

ところで、近所の水路によっては、ザクザクいるヒメタニシ。ヒメタニシに限ったことでは無いが、タニシ類を記憶を遡る中では、食した事が無いと思う。

今年は、食べてみようかな……。

ヤマナメクジ or ナメクジ

さて、数日前に、小学生の娘と一緒に近所の谷地を散策したときに、以下の写真のナメクジに出会っていた。水田に隣接する湿地の脇に無造作に置かれた板の下にいた。1匹ではなく、今年生まれと思われる個体が、サイズにバラツキを持たせながら、複数匹いた。

写真だと分かりづらいが、写真の個体で大きさは、6〜7センチぐらいだったのではないだろうか。写真だと大きそうに見えるけど、チャコウラナメクジのミドルから大きめサイズといった大きさである。

ところで、この場所の板をひっくり返したのは偶然ではなく、過去にその板の下に、10センチ程度のズングリしたナメクジ(当時は、ヤマナメクジの幼体だと考えた)が居たのを覚えていて、再度出会えるかなという思いで、板をひっくり返した。

その昨年の4月に板の下にいたナメクジの写真をアップしておく。

大きさは、8センチぐらいだったのではと思う。ゆえに、ヤマナメクジの幼体と判断したのだが、果たして、本当に幼体であったのであろうかと、今となっては振り返る。というのも、数日前に同じ場所で見かけたサイズにバラツキのあるナメクジ達が、この直ぐ上の写真の種のナメクジの子供達(系統)であったとしたら、直ぐ上の写真の個体は、越冬から目覚めた成体の可能性があると思ったのである。

そして、同時に、上の写真のナメクジ達は、ヤマナメクジなのか、ナメクジ所謂フタスジナメクジなのか、分からなくなって来たのである。

ここにも、この迷いが生じ始めるキッカケになる理由があって、それは、近隣の小水系に隣接する自然環境下で、最大サイズ12センチぐらいの大きめの在来ナメクジを複数箇所で見かける機会があった事に端を発している。その大きめのナメクジは、色は薄茶色系なのだが、ヤマナメクジと思いたくなるような大きなサイズなのである。ただ、紋様は、シンプルで、我家の庭の優占種である在来のフタスジナメクジと同じパターンなのだが、色合いとマックスサイズが、我家のフタスジナメクジとは違うのである。

こうなって来ると、今回、投稿しているナメクジは、サイズ的には、近隣の小水系に隣接する開けた環境下で見れる薄茶色の大きめのナメクジと同じなのだが、色合いや紋様は違い、上の写真でも分かる様に、成体の色合いや紋様は、近隣でたまに見かけるヤマナメクジに近い気がする。

ただ、近隣の雑木林で出会うヤマナメクジと、今回の投稿のナメクジは、かなり違う環境下に生息していると言える。所謂、ヤマナメクジは、ヤマナメクジと言われている事も少し関係しているのか、水辺から少し距離のある台地上の雑木林とかに棲息していて、マックスサイズが、もうちょっと大きいのと、身体の中央の線模様が、もっと目立たないイメージがある。

そうなって来ると、近隣の水辺環境には、雑木林に居るヤマナメクジと少し違い、我家の庭のナメクジの優占種である灰色のグレーのフタスジナメクジとも一線を画す在来のナメクジが数タイプ居るのではと考え始めた。

そして、今回の投稿のナメクジは、そのタイプの中では、かなり独自の進化を遂げているタイプのひとつの気がする。

近々、近隣で見かけるもう一つの大きめの薄茶色のフタスジナメクジの投稿もしてみようと思う。