ヤマアカガエル

今週水曜日、1月15日の晩、床に就こうと横になった私の耳元に、大きなサッシ越しに、なんとも奇妙な鳴き声が聞こえて来る。時間は、22時。

一瞬、このとても寒い時期に、盛りの付いた猫が奇天烈な声で鳴いてるのかと思いがちだが、私は、この泣き声の主を知っていた。(去年、突き止めていた。)

答えから言うと、アカガエル(ニホンアカガエルもしくはヤマアカガエル)だ。アカガエルの類が、ほとんどの種のカエルがまだ冬眠中のとても寒い時期に産卵行動を始めるのは知っていたが、1月15日というまさに真冬に産卵行動を取っている現場に自宅で出くわせたのは、幸運な気がした。

昨年は、3月8日辺り、3月にしては、少し冷たい雨がシトシトと降った日の晩に、この鳴き声を家の中から初めて聞いた。もしやとピンと来て、その鳴き声がする先の庭のタライに懐中電灯を片手に近寄ると数匹のアカガエルが、ポカーンと浮かんでいた。翌日の朝には、カエルは居なくなっており、卵塊だけが産み落とされていた。昨年の3月の日も雨のシトシト降る日の晩だったが、本年今回の1月15日も、1月にしては気温は高めであったが、日中、霧雨のような雨がシトシト降っていた日の晩であった。

ここで気になってきたのは、鳴き声の主は、ニホンアカガエルなのかヤマアカガエルなのか、どちらなのであろうということであったが、先程ネット上で見つけた音声のデータを聴き比べたところ、ヤマアカガエルの方ではないかなと感じた。

実際、我家の庭では、年に1回か2回、アカガエルの生体を目撃するチャンスに恵まれるが、昨年も10月13日に庭掃除の際に少し常に湿ったような環境から飛び出してきた個体を写真に収めていた。その時に撮った写真が以下のものである。

ニホンアカガエルとヤマアカガエルの違いは幾つかあるが、眼の後ろから始まる背側線が、真っ直ぐに見えるのはニホンアカガエルと言われている。またアカガエルの方が色素が薄く明るい色の個体が多いと言われている。また、ヤマアカガエルの特徴としては、後脚の黒帯がアカガエルよりクッキリしているとか、喉のところに全面にマダラ模様が存在するとかがある。

こうした特徴から上の写真を分析すると、上の個体は、背側線も波打っているし、後脚の黒帯文様もクッキリ鮮明だし、体色も濃い目のような気がして、ヤマアカガエルだと思う。

因みに、今度はニホンアカガエルと思われる写真を2枚以下にアップしてみる。

上の写真は、ほぼ2年前の2017年の12月24日に撮られている。この個体は、北浦湖畔で捕まえたものであり、この写真を撮った後に、我家の庭に逃した。

上の写真は、2014年の9月23日に撮られている。撮影場所は、我家の庭。

さてさて、こうした我家の庭にいるアカガエル達だが、元々庭にいたわけではなく、この地に引っ越してきた後に、近隣の市町村で見つけた卵塊やオタマジャクシを少し持ち帰って来て、タライに入れておいたものが成長したものである。所謂、我家限定の移入種である。ただ、帰巣本能みたいなものが強いのか、その後の年のアカガエルの定着率・産卵確率は高い気がする。

勿論、隣の市町村で卵塊を見つけれる場所が有るなら、同じような条件が揃う私の暮らす地区の里山でも、アカガエルの卵塊を見つけれる場所が有るであろうと、ここ数年は3月の頭のまだ肌寒い日も多い休日に、近所の里山の目星を付けている場所を、幾つか散策するのだが、一度も目にしたことはない。

多分、生息しているとは思うのだが………


2020年1月18日追記

本日は、朝からシトシトと雨が降る日だった。アカガエルが産卵行動を起こしそうな予感を感じる日だったが、予感的中。夜10時を回った頃、家の外から、ヤマアカガエルの雄のクルクル、クルクルという雌を誘う声が聞こえてくる。しかし、数日前と違うのは、鳴き声が、虚しく延々と続くことはない。今晩は、娘と一緒に耳を凝らして聴くのだが、鳴き声より無音の時間の方が長い。そして、泣き声も、前回よりか細い気がする。そのうち、クルクル、クルクルという鳴き声と明らかに違うニュニューみたいな鳴き声が一回だけ聞こえた。もしかして、メスの声等と想像を膨らませていたが、それを境に鳴き声は一切聞こえなくなった。

そして、本日は睡魔にも襲われていなかったので、ダウンジャケットを羽織り、庭の鳴き声が聞こえて来ていた睡蓮鉢を覗きに行くことにした。すると、焦げ茶の小さなカエルが目に付いた。しかし、眼を凝らすと、その下に5倍以上の大きさに見える色の薄い大きなカエルも居るではないか。まさに交尾中のような感じで二匹のお尻の方には、まだ崩れてない卵塊が球形に産み落とされていた。

しかし、印象的なのは、雌の大きさだった。大型とまでは行かないが中大型のヒキガエルといった大きさである。

今回産み落とされた卵塊の形や状態、また、育ったオタマジャクシを観察することによって、今回の卵塊の親が、ヤマアカガエルなのかニホンアカガエルなのかも突き止めてみようと思う。(あまりに寒い時期の産卵だと、過去に孵化しない卵塊も見ているので、室内に取り込もうか検討中である。)

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