クヌギカメムシ属の卵 Urostylis sp.

ちょっと前に、ウスバフユシャクの投稿をしたが、このウスバフユシャクの雌を見つけてみようと、少し冬枯れの雑木林内を散策してみた。15分程度の散策だったと思う。

生体反応は皆無に等しく、一回だけ、飛翔スピードがある小さな蛾を遠目に目にしただけであった。隣接した人工池(水は湧水である)を、もしかしたらアカガエルの卵でもないかと、氷の隙間を見て回るが、池の方にも生体反応は感じられなかった。

そんな中、無数にあるクヌギの樹肌の割れ目に、生き物らしいものを見つけて写真に撮ってみた。しかし、無数にあるクヌギの木の全てにいるわけではなく、いる木を見つける方が難しいので、早い段階でその木に巡り会えた事は幸運だったと思う。

大きさは、長さ1センチぐらいである。サイドに見える白い毛束のようなものが、蛾の幼虫の毛虫っぽくも見えなくないが、こんな寒い時期にこんなに凸凹した奇妙な幼虫がいるものであろうかとは感じていた。この時点では、逃げたり動いたりといった気配は感じなかったが、それも寒さのせいであろうと思っていた。

帰宅後、直ぐに調べてみたところ、蛾の幼虫ではなく、昆虫の卵である事が分かった。

その昆虫は、クヌギカメムシ属のどれか(一応、日本では、クヌギカメムシ、ヘラクヌギカメムシ、サジクヌギカメムシの3種が知られている)なのだが、確かに、この森にはクヌギカメムシ属の何れかがいるのは知っている。

大体11月ぐらいに産卵され、暖かくなった頃に、この粒々から1匹1匹孵化して来るとのことである。そして、この粒々が栄養満点であるらしく、クヌギカメムシの幼虫は、この卵の中で3齢まで成長して外界へとデビューして来るらしい。ちなみに、サイドに見える白い毛束は、中の幼虫が呼吸するための呼吸官の役割を持っているようである。

クヌギカメムシ属の何れかの成虫の投稿は、過去に、クヌギカメムシ?としてしているので、そちらを参照して頂きたい。

さて、このクヌギカメムシ属の生息分布は、調べてみたのだが、想像以上に情報を見つけられなかった。ただ、国内は、北海道から九州までは生息しているようである。海外は、納得のいく情報に辿り着けなかったが、樺太や千島列島や、朝鮮半島や中国の北東部に生息していると書かれている方もいた。

上記の3種のクヌギカメムシ達も、とても小さな差異で区別されているので、どのような隔たりで独自進化したのか気になるところではあるが、外見的な小さな差異を紹介するページはあっても、どういう背景で、その差異が生まれたのかを追求しようとするページには出会えなかった。想像より難しい種だと知る事になった。

一応、幼虫の時の色が、クヌギカメムシは赤っぽい色が入ってるという事(これは絶対なのであろうか?)なので、最近見つけた卵塊を少し持ち帰って育ててみて、孵化してきた幼虫の色合いを確かめてみたいとは思っているのだが……。

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