アメリカシロヒトリ 幼虫 Hyphantria cunea (Drury, 1773)

近隣のとある場所で、アメリカシロヒトリの成虫をごくたまに見かける場所がある。

そして、その地点から数百メートル圏内の桑の木で、何かしらの種類のヒトリガ科の蛾の幼虫を見かけたのだが、何というかヒトリガの幼虫なのか分からないでいた。(目撃したのは、本年の9月末)

もしかして、アメリカシロヒトリの幼虫ではないかとの勘が働いたが、その勘は正解だったようである。

上の写真の個体で4センチぐらいあったと思う。

よくアメリカシロヒトリの幼虫達が、桜の木の葉を丸坊主にするといったようなイメージがあるが、この桑の木には、確認出来る限りで4,5匹の幼虫が点在していた。しかし、蛹になるまでに、このクワの木の葉を丸裸にするとは思えなかったし、現在もこの桑の木の葉は大部分が残っている。

この場所のアメリカシロヒトリのライフサイクルも、普通にこの場所の生態系の一部に溶け込んでいるように見える。

アメリカシロヒトリの習性や分布に関しては、過去にアメリカシロヒトリの成虫の投稿の中で紹介しているので、興味がある方は、そちらを参照して頂きたい。

また、アメリカシロヒトリは、特定外来生物や生態系被害防止に係る法律の対策種にも選ばれていない。

ヤマトフクログモ? Clubiona japonica (L. Koch, 1878)

最近、近隣で、この蜘蛛の写真を撮っていた。

シチュエーション的には、コンクリートの壁面の継ぎ目に散見出来る蜘蛛の巣を捲ると、中から飛び出して来るといった感じである。

大きさは、体長12ミリぐらいあり、案外と大きい印象。

種名は、ヤマトフクログモとムネアカフクログモとで迷ったが、ムネアカフクログモの方は、8月いっぱいぐらいで姿を消す蜘蛛との情報があったので、そうなると10月も半ばを過ぎた今頃にも見れるのは、ヤマトフクログモの方かと考えた。

両種とも、大きさや紋様が酷似していて、外見的区別が難しい種のようである。他にも、マダラフクログモという種も紋様が似ているが、サイズは全然小さいようである。

ちなみに、ヤマトフクログモの巣も写真に撮ったので、以下に貼り付けておく。

縦長の袋状の巣が見えており、この辺がフクログモの名の所以なのかもなと思った。

さて、このヤマトフクログモの生息分布は、国内は、北海道から九州を経て、沖縄本島含む南西諸島まで。海外の分布は、確認出来なかった。

モクズガニ Eriocheir japonica (De Haan, 1835)

タイムリーではないのだが、本年の夏に利根川の河口から35キロメートルぐらい遡上した辺りに、ウナギ釣りに出かけた際に捕まえて写真に撮っていたカニである。

ウナギの餌にする小魚やエビを現地で捕まえていた際に、網に入ってきた。

大きさは、殻の横幅で6センチぐらいだったと思う。

雰囲気や色合いから、モクズガニだと、現場でも思ったが、そして、一番モクズ(藻屑)を表してくれている大きなハサミの部分も無いが、調べたところ、やはりモクズガニのようである。

ハサミは、捕食者たちとの格闘の際に、取れてしまったものと思われる。この状態で、どうやって餌となるものを口に運べるのか不安に感じるが、どうやら脱皮の毎に、再生出来るらしい。こう考えると、捕食者達に、ハサミを差し出し、本体は生き残るという戦略を遺伝子的に備えているようにも感じて来る。

ちなみに、モクズガニの生息分布は、国内は、北海道から南西諸島までいるようである。小笠原諸島には、オガサワラモクズガニという別種が生息しており、モクズガニは、海外は、樺太からロシア沿海州、朝鮮半島の東岸にも生息しているようである。そして、興味深いのは台湾や香港にもいるとの事である。一方、朝鮮半島の西岸と中国大陸の東岸の大部分には、チュウゴクモクズガニという別種がいるのである。

さて、このモクズガニは、子供の頃からお馴染みの蟹であり、大抵の河川の河口から汽水域には棲息していると思う。そして、海から山までの距離が近い地域では、随分と川を遡上した清流域でも見かけていた。ただ、基本的に水中生活の蟹であり、陸上で見た記憶は、パッとは出て来ない。

そんなモクズガニが、10年ぐらい前に、利根川の河口から90キロぐらい登った辺りの農産物直売所に活きたまま売られているのを見たことがある。これを見た時に、そこに作物を卸している農家が、そんなに遠くまでモクズガニを採りに行ってるとは思えなくて、利根川をどれぐらい遡上して来ているのか気になったことがあった。ただ、その近辺の支流をガサガサしても、モクズガニが網に入って来ることはないのである。

そして、今回、利根川のかの河口堰があっても、香取市(旧佐原)ぐらいまでは普通に遡上して来ていることが分かったのである。

また、このモクズガニは、蟹好きの間では、とても美味なる蟹として知られている。蟹味噌なるものの食べ方に馴染みのない私には、これまで、食材としては無縁の蟹であったが、海から少し昇った辺りの河川では、簡単によく目に出来る蟹である。今度、捕まえて、味わってみようかとも思案中である。